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【MTG】マナドレッジのすゝめ ~サーチカードの選択~

Magic : the Gathering(以下マジック)の『ドレッジ』というデッキについての記事で、特に『マナドレッジ』の採用カードの可能性について考察する。
マナレスドレッジ(ピッチドレッジ)とマナドレッジの違いや基本的な戦略については過去の記事をまとめたこちらを参照していただきたい。


さて、マナドレッジはマナを供給する目的のカードを採用するが、それでも他のコンボやフェアに比べて土地の枚数は少なく、せいぜい8枚(バザール除く)が限界である。
また、その土地はサイドボードのための色が必要なため、大抵は5色出せる《マナの合流点》や《真鍮の都》が中心であり、他にはメインボードの《恐血鬼》の上陸用に《ダクムーアの回収場》と、概ね採用可能な土地は限られている。
しかもドレッジはマナ型であってもメインボードではマナを要求しない形が多い。つまり、マナドレッジの土地カードの要否はサイドボードの選択が要因と言える。サイドボードを力線やピッチのみにするなら、マナドレッジを選択する理由はない。


■メインボードでの土地の価値

先述の通り、メインボードでの土地の価値はあまり高くない。使用するのは《恐血鬼》を採用する場合の《ダクムーアの回収場》ぐらいで、マナを要する機会自体が少ない。
機会が少ないのはドレッジの戦略に由来する。そもそもドレッジの戦略はマナ型マナレス型問わず、「メインに勝利し、サイド1では対策カードを確認し、サイド2での先手勝利を目指す」ものだと過去に紹介した。つまり、メイン戦でのドレッジはドレッジ:ザ・ギャザリングを対戦相手に押し付けるために積極的にバザールを起動し墓地を肥やし、早いターンでの勝利を目指すコンボデッキとして動く。翻ってサイド戦では《虚ろな者》や少量のゾンビトークンを手札に溜めたスペルで守るクロックパーミッション的な振る舞いをするため、バザールを起動しないターンや発掘を行わないターンなどをつくる。
これがドレッジの基本なのだが、この動きの中で必要な土地カードは実は《Bazaar of Baghdad》だけなのだ。なぜなら、ドレッジの再現を打ち消しも除去もマナを使わずに行えるからだ。

つまり、ドレッジにバザール以外の土地は必要ないのだ。


■改めて土地の価値について

前項では元も子も無いことを言ってしまったが、悲しいかな、それが事実である(と筆者は思っている)。
そうは言ったものの、マナドレッジは存在するし、筆者はマナドレッジを愛用している。「テーロス還魂記」現在のマナドレッジは、ドレッジに土地は不要という前提の上であえて土地を採用する、言わば新たな戦略の萌芽なのだ。まだまだ試行錯誤の段階だ。

どの土地をどれだけ採用するか、これは他のデッキ同様にデッキに採用するカードによって決まる。今回は基本戦略がドレッジである以上はドレッジの戦略を維持、補助、あるいは強化できるカードでないと土地を採用する理由にはならない。
筆者がマナドレッジを選択した理由は色々あるが、今それを続けているのは《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》が登場したためだ。《虚空の力線》からの1ターン目《ラヴィニア》を許してしまうとマナレスドレッジは何もできない。実は筆者はメインに多少土地を残しつつサイドにピッチ除去を採用していた時期があるのだが、そのときに《ラヴィニア》に何も出来ずに負けることが何度かあった。先にも述べたが、サイド後のドレッジはクロックパーミッション的な戦略をするが、ラヴィニアはそれをほとんど否定しまっている。つまり、大抵の場合においてドレッジに最も効果的な対策は「墓地対策と《ラヴィニア》の組み合わせ」なのだ。

現在のドレッジは《虚ろな者》や《活性の力》の登場によって単なる墓地対策では詰まないようになった。そのドレッジに必要な土地とは《ラヴィニア》で詰まないことが第一であり、次いで《抵抗の宝球》や《The Tabernacle at Pendrell Vale》などのタキシングへの耐性を得ることが可能なものである。つまり、マナを出せる土地だ。


■マナを使うカードの採用

先述の通り、ドレッジはマナドレッジであってもメインボードではほとんどマナを要しないデッキである。しかし、《ラヴィニア》やタキシングへの対応と《恐血鬼》のためだけにメインに土地を採用するのは理由が弱く、また、マナによってサイドボードの柔軟性は上がるが、それでもやはりメインボードにおいて土地はノイズと変わらない。

その状況から脱却するためにメインボードにもマナを要するカードを採用したいと常々考えていた。その一つがハンドアドバンテージの獲得としての《森の知恵》と《壌土からの生命》の採用だった。
ドレッジはデッキの性質上、カードをドローする機会が非常に少ない。いや、バザールによる2ドローもあるが、実際には引かずに「発掘」してしまうために手札にランダムにカード引きこむことは難しい。
《森の知恵》を採用したことによってドローする回数は増えたが、そもそも《森の知恵》自体を唱えられるかは最初の手札とドロー2枚以内に含まれてないといけないため、活躍の機会はそうそう多くはない。
《森の知恵》、《壌土からの生命》の2枚は間違いなく強力なカードであり、戦術に柔軟性を持たせられていると感じたが、これだけではなく、もっと直接的に必要なカードを探せるカードが欲しいとも感じた。


■サーチカードの選択

上記の考えから、マナドレッジで使えるサーチカードを探した。
条件としては、
・2マナ以下であること(出来れば1マナ)
・サイドボードカードにアクセスできること
・メインボードでも使えること
・緑か黒か白であること

恒常的なアドバンテージという点では《森の知恵》と《壌土からの生命》が十分に優れているので単発のカードで問題はないと考えた。
色に関しては《裂け岩の扉》と《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の存在が大きい。《真鍮の都》のように5色土地も使えるが、バザールからもマナを出せるようにする土地カードとなるとこの2種類しか存在しない。
緑か黒であれば、サイドボード《活性の力》や《不快な群れ》などのピッチ
スペルのコストに充てれるのでなおよい。

・《むかしむかし》
初め、実は《森の知恵》よりも前に《むかしむかし》を試していた。《むかしむかし》は一見条件に合致し、採用の価値が高いように思えたのだ。しかし、初回以外で2マナかかることは非常に重く、そもそもトップの5枚程度では必要なカードが見つからないし、これがあるからと言ってバザールの無い初手はキープできない。過去の記事でも散々訴えているが、所詮ドレッジの内容は紙束と言って差し支えないのだ。
これは重さとサーチ範囲の狭さから没となった。

・《Ancestral Recall》
1マナで3枚ドローできるパワーナインの一角。ついにドレッジにもパワーナインを搭載する時がきたのだ。
いや、こなかった。
集合した紙束であるドレッジにおいてランダムな3ドローに価値は無い。爆発力を高められる可能性はあるが、それはオーバーキルだと感じた。《意志の力》や《否定の力》を残していればもう少し検討したかも知れない。
やはり必要なのはサーチカードなのだ。

・《ギャンブル》
色は望み通りではないが、何でもサーチができるし、デッキの性質上デメリットも気にならない。しかし、必要なカードを捨ててしまうリスクが土地単デッキなどに比べて遥かに高かった。
キープ基準にならないこともそうだが、例えば《活性の力》のコストとなるカードをサーチした場合、捨てたくないカードが2枚あることになる。これでは本来の目的を果たせない確率が高いため没となった。

・《悪魔の教示者》
強い。しかし2マナは重い。可能性は十分に感じられるが、ドレッジにおいて2マナを使用するということは「バザールを起動しない」もしくは「バザールを起動するがドレッジしない」という選択が必要になる。しかもこれで持ってきたカードを使えるのはさらに次のターン以降になりやすいのもドレッジの戦略に合致していない。それほどに2マナは重い。
すでに2マナ圏は《森の知恵》と《壌土からの生命》でギリギリなので1マナから探したい。

・《吸血の教示者》
強い。もともと1枚しか枠は無いので制限カードであることも気にならない。変則的ではあるが《ナルコメーバ》を積み込むこともできる。
しかし、そのターンの間に手札に入れるためには使用するタイミングを注意する必要がある。採用価値は十分にあるがFoilにするのが大h(ry
候補としては強力だが、筆者のデッキではすでに黒のピッチスペルを採用していなかったので、緑のカードに可能性が無いか探すことにした。

・《俗世の教示者》/《森の教示者》
色は緑だが、これなら《吸血の教示者》のほうがいい。Foil無いし。

・《ウルヴェンワルド横断》
強い《地勢》、強い《森の教示者》。ドレッジに基本土地は採用できないため《地勢》としては使えず「昂揚」を達成していることが前提となるが、ドレッジは墓地にカードを置くことが得意で、実はそのカード種類も多い。
具体的には、《虚ろな者》、《陰謀団式療法》、土地の3枚で達成できるし、《黄泉からの橋》や《血清の粉末》もあるので大抵は2ターン目時点で達成可能。また、これならばトップデッキしても強い。サイドボードに《薄れ馬》や《鋳塊かじり》、《石化した原野》、《ボジューカの沼》などを採用すれば柔軟性も確保でき、メインボードでも追加のバザールやリアニメイト先などを探すことができる。


■キミに決めた

そういう訳で今は《ウルヴェンワルド横断》を試している。
現在の社会情勢もあって大会参加などは1回しか出来てないが、そのときは追加のバザールを加えて傾きかけた天秤を強引に取り返すことに成功した。
サイドボードには《薄れ馬》しか採用できてなかったので柔軟性はまだ十分に確認できていない。
しかし、昂揚の達成は想定通り容易であり1マナであるためテンポが大きく削がれるということもなく、継続して試していこうと思えるポテンシャルがあり、もしかしたら2枚目の採用もあるのではないかとも感じている。


余談:サーチカードである小さな理由

これは書くか書かないか悩んだのだが、これからドレッジを使う人のために書いておこくことにした。
ランダムなドローよりもサーチのほうが欲しいということはすでに触れたので割愛し、もう一つの小さな理由について説明する。
ドレッジの弱点の一つにマリガンの多さがある。現在のマリガンルールでは、毎回7枚引いた上でマリガン回数分のカードをライブラリのボトムに置くロンドンマリガンと呼ばれるもので、ドレッジにとっては非常に有利なルールなのだが、実はこのルールはドレッジにとって不利な面もある。
確かにバザールに出会える確率は上がっているのだが、マリガンによってライブラリボトムに送ったカードはそのゲーム中絶対に使うことができないのだ。
《血清の粉末》による追放をしたあとに更にマリガンしてキープすると、必要なカードをボトムに送ってしまうことがままある。サイド戦では特にそれが起こってしまう。
つまり、ライブラリをシャッフルすることがドレッジにとって有用な場面が存在するのだ。フェッチランドを持たないドレッジにとってサーチカードとは効果以上にありがたい存在だと言えるのだ。


■あとがき

最初にも述べたが、現在のマナドレッジは新たな戦略の萌芽だと思っている。今回はサーチカードの採用について考えたが、今はなんとかしてプレインズウォーカーを採用できないか考えている。
さすがにメインでは不要だろうが、サイド戦の戦略を広げられるものを模索している。マナドレッジはまだまだ可能性の荒野にあるデッキなので早くオアシスに辿り着きたい。
これを読んでくださった方もぜひ未開の荒野マナドレッジを開拓していってほしい。

それでは閲読ありがとうございました。
よきドレッジライフを。
ぎゃ٩( 'ω' )و

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