【MTG】ドレッジのすゝめ ~ドレッジの「ッ」、能力篇~

Magic : the Gathering(以下マジック)の『ドレッジ』というデッキについての記事で、第四回です。
前回の記事では、ドレッジデッキの弱点や急所について紹介した。
あれを読んでみんなもっとドレッジにやさしくなってくれればと思う。

今回はドレッジと相性のよいテーマや能力について紹介していく。
オリジナルの墓地活用デッキや既存デッキへのブレイクスルーを求めているなら何かの参考になると思う。

※以下、特筆しない限り「ドレッジ」は「ドレッジデッキ」を指す


■おさらい

ドレッジの戦略はセルフリアニクリーチャーや《黄泉からの橋》を使った高速のビートダウンコンボであり、特に序盤のボードアドバンテージとテンポアドバンテージに優れている。
エルドレインの王権現在のドレッジはマナレス型が主流で、エターナル環境特有の豊富なピッチスペルにより打ち消しやハンデス、除去も擁し『メイン最強』と言われる。

反面、その性質ゆえに墓地対策に弱く、ピーキーなデッキ構成から意外な弱点も多数ある。
また、戦略に特化したデッキゆえにカード同士のシナジーが多くあり、プレイするためにはイベントやルールの処理を正確に行える必要がある。
詳細は前回までの記事を参照してほしい。


■ドレッジで使われるテーマ

ドレッジのリソースは墓地に置かれているので、当然、墓地を扱ったテーマやカードを墓地に置くテーマとは相性がよい。それぞれ挙げていこう。

・エキスパンション
『ウェザーライト』、『オデッセイ』ブロック、『ラヴニカ:ギルドの都』、『時のらせん』ブロック、『イーブンタイド』、『アラーラの断片』ブロック、『イニストラード』ブロック、『ラヴニカへの帰還』、『タルキール覇王譚』ブロック、『イニストラードを覆う影』ブロック、『アモンケット』ブロック、『ラヴニカのギルド』、これらのカードセットは墓地で機能する能力や、墓地を参照する能力のテーマを取り扱っている。

特にラヴニカ関連のセットではストーリー上にゴルガリ団が登場する。ゴルガリ団はまさに発掘を生み出したギルドであり、発掘以外にも墓地に関連する能力を持つカードが多い。

手札を捨てることをテーマとしたセットは、『ウルザ』ブロック、『マスクス』ブロック、『オデッセイ』ブロック、『オンスロート』ブロック、『イニストラード』ブロック、『アモンケット』ブロックがある。オデッセイは共鳴者と呼ばれるシステムとしてデザインされたカードが多数あり、イニストラードにはマッドネスとフラッシュバックのためのギミックが多く、不死というクリーチャーのセルフリアニメイト能力もある。マスクス(と時のらせん)にはスペルシェイパーが多数存在する。それ以外のセットはサイクリングに関連するものがある。

また、マナを使わないピッチスペルは『アイスエイジ』ブロック、『マスクス』ブロック、『神河謀叛』、『モダン・ホライゾン』にある。
他にも、ドレッジはマナコストが小さい能力やカードを重宝するため、土地とも相性がよい。土地と言えば『ゼンディカー』ブロックが強いが、マジックの歴史は長い。土地は土地単デッキを成立させるほどに多種多様なため、あらゆるカードセットに注目したい。

エキスパンションについては概ね上記の通りだと思う。他にも該当するものがあればご指摘頂きたい。

能力
ドレッジは戦略上、墓地にカードを置く必要がある。まずはその戦略を成立させている能力や相性のよい能力について列挙しよう。

 発掘/Dredge
 活用/Scavenge
 宿根/Undergrowth
 フラッシュバック/Flashback
 マッドネス/Madness
 スレッショルド/Threshold
 サイクリング/Cycling
 蘇生/Unearth
 探査/Delve
 回顧/Retrace
 永遠/Eternalize
 不朽/Embalm
 再活/Jump-Start
 脱出/Escape
 昂揚/Delirium
など。

太字のものはドレッジにおいて特に利用されている能力であるが、どうだろうか。対ドレッジに限らずヴィンテージやレガシーでよく見る能力が多いと思う。
マナドレッジが主流の頃はクリーチャー除去のために《蛮族のリング》や《陰謀団のピット》などが採用されることもありスレッショルドも見かける能力だった。残念ながら活用と宿根はいくらゴルガリ団の能力とは言え、エターナル環境ではあまり見ない。

・セットの偏り
エキスパンションや能力を見て気付いたかも知れないが、ドレッジの戦略を支えているカードの多くは、『オデッセイ』ブロック、『ラヴニカ』ブロック、『時のらせん』ブロックのものとなっている。
今後新たなセットによってドレッジに変化があったとしても、《イチョリッド》や《陰謀団式療法》、《ゴルガリの墓トロール》、《黄泉からの橋》、《ナルコメーバ》がデッキから抜けることはおよそ無いだろう。
逆に言えば、ドレッジの紙束をデッキに仕立て上げているのがこれらのカードなのだ。


■その他の可能性

エルドレインの王権現在のドレッジではほとんど見かけないが、スレッショルド探査、蘇生は過去に採用されていたカードがある。
スレッショルドについては前述の通りで、探査については《グルマグのアンコウ》があり、蘇生には《命運縫い》がある。また、少数派ではあるが現在のマナレスドレッジにおいても探査をもつ《甦る死滅都市、ホガーク》が採用されることがある。

筆者自信もホガークを使っているが、その感触から「召集」能力に可能性を感じている。
召集はラヴニカ関連のセットで緑白のギルド、セレズニアにあてられた能力だが、基本セット2015に採録された際に黒と赤にも採用されている。
例えば《終わりなき従順》は4BBの6マナのリアニメイト呪文だが、ドレッジであればゾンビとイチョリッドでマナを払わずに唱えられるだろう。
ホガークと違い手札に持つ必要があるが、従来のドレッジとは一味違ったドレッジを構築できるかも知れない。
また、宿根についてもレガシーのドレッジで《ロッテスの巨人》が使われることもあるので、全く可能性が無いとも思わない。

他にも、セルフリアニクリーチャーとして上陸をもつ《恐血鬼》や、《陰謀団式療法》と相性のよい頑強不死といった能力もあれば、《黄泉からの橋》と相性のよい想起もある。ファイレクシアマナというどんなデッキでも使える強力システムもマナを要しないという点で採用が容易だ。

もしドレッジを作るのなら、「墓地」、「死亡」、「捨てる」というキーワードに着目するといい。代替コストやコスト減少能力、マナ不要の能力なども重要である。
また、《戦慄の復活》を採用するなら強力な大型クリーチャーも見逃さないようにしたい。過去には《太陽のタイタン》が対象となり、その能力で追加の《Bazaar of Baghdad》を戦場に戻したりしていた。ドレッジはビートダウンでありながらもやはりコンボデッキなのだ。


■ヒントとなるデッキ

ドレッジ以外にも発掘能力やセルフリアニを使っているデッキや、採用カードや戦術が似ているデッキがある。
それらのギミックが構築の際のヒントになる場合もあるので、いくらか列挙しておく。
・ナルコブリッジ
 
ラヴニカ~時のらせん期のスタンダードに登場した元祖ナルコメーバデッキ
・フリゴリッド
 ナルコブリッジにイチョリッドやセラピーが入ったエクステンデッド版
・The Spy
 ナルコメーバ、戦慄の復活ギミックで勝利するレガシーのコンボデッキ
・ハーミットコンボ
 《隠遁ドルイド》を使ったヴィンテージのコンボデッキ
・ブリッジヴァイン
 黄泉からの橋と《墓所這い》、《復讐蔦》を使ったモダンの高速ビートダウンコンボ
・ホガークヴァイン
 ブリッジヴァインにホガークが入ったタイプ
・ホガークコンボ
 黄泉からの橋と《狂気の祭壇》とホガークによる高速ライブラリーアウトコンボ
・カニドレッジ(スタンダード)
 《面晶体のカニ》と《絞り取る悪魔》、《アガディームの墓所》を使ったアラーラ~ゼンディカー期のスタンダード版ドレッジ
・カニドレッジ(モダン)
 面晶体のカニ、《縫い師への供給者》、《復讐蔦》を使ったモダン版ヴァインデッキ
・マナレスドレッジ(レガシー)
 レガシー版のマナレスドレッジ。《Bazaar of Baghdad》が使えない分プレイングから特殊なデッキ
・サバイバル
 《Bazaar of Baghdad》、《適者生存》を使ったヴィンテージのクリーチャーコンボデッキ

■あとがき

今回でドレッジに関する記事は4本目となった。我ながらよくひねり出していると思う。
前回までの記事について、表題から内容が判別しづらかったので「○○篇」というのを付け足すことにした。

今回の記事は少し毛色が違うように感じられたかも知れないが、これは次回にいよいよ触れるプレイングへの布石である。
正直なところ、プレイングに関しては既に他の方が書かれているので今更自分が書くべきかは逡巡するが、せっかく色々書いてきたので恥を恐れずに書くことにした。

また、どこかの記事で触れた筆者自身のデッキについては、そのあとのオマケとして備忘録も兼ねて書こうと思う。

それでは閲読ありがとうございました。
ぎゃ٩( 'ω' )و


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