【AD.02】物事の本質を理解せよ

前回のおさらいと新たな課題

前回の勉強会では「コンセプト」について学んだ。

・コンセプトとは複数のアイデアから生まれるもの
・アイデアは個人レベルであり、個々の対話で共感領域が生まれる
・その中から、アウスヘーベン(止揚)して、コンセプトになる
・新しいコンセプトは新しいモノの見方を生み出す
・アイデア出しはプロセスに関わる人すべてを巻き込んでやるべき
・それが多くの人が共感できるコンセプトを生み出す

ということで、コンセプトを決めるためのアイデア出しを社内で開催した。

営業部門、開発部門、製造部門、業務部門、管理部門からそれぞれ1~2名選抜してもらい、まずはこの集まりの目的と、私がK社長から教わった事を説明した上で、この会社の新規事業について各自の立場で様々なアイデアを出してもらう事にした。

しかし、このアイデア出しは、私が想定したような形では進まなかった。

参加者はみんな真剣にアイデア出しを行っているのだが、どうしてもこれまでの成功体験や先入観に縛られ、新しいコンセプトにつながるようなアイデアはほとんどでなった。

「みんなが頭を柔らかくしてアイデア出しができるようになるためには何をするべきか・・・・・」

そんな悩みを抱えている時にK社長から勉強会のお誘いが届いた・・・。

GAFA経営者が学ぶ「無分別智」

今日は、アメリカの経営者、GAFAの経営者も学んでいる「無分別智」について勉強したいと思います。

K社長の勉強会テーマは唐突で、しかも難しい・・・・・

正直、マーティングと「無分別智」がどう関係するのかピンとこなかった。

しかし、アップルのスティーブ・ジョブズや、facebookのザッカバーグ、アマゾンのペゾスといった、革新的サービスを生み出した人達がこぞって学んでいるという事に大きな興味が沸いた。

「無分別智」とは、大乗仏教の根本的立場を示す重要な語で、人間は言葉によってモノ/コトを概念化し分別するのですが、そのような分別知によっては捉えることのできないさとりの智慧を無分別智と言います。
出典:http://labo.wikidharma.org/index.php/%E7%84%A1%E5%88%86%E5%88%A5%E6%99%BA

解説:無分別智

ようするに、新しいテーマやコンセプトに基づいた新規事業を考えるのであれば、これまでと違った視点を加えて議論する必要があり、そのためにはこれまでの視点に問わられずに真っ白な視点でもう一度世の中を取らえ直す事が重要。
その力を養うため、GAFAの経営者達を含む、シリコンバレーで活躍するベンチャー企業の経営者は「無分別智」という考え方を学び、実践することで、新しいサービスや価値を生み出してきたと言う事だ。

アイデアの前に哲学・社会学を学ぶべし

K社長の話は続く・・・・

「無分別智」とは「分別」という西洋文明の概念だけではない「直感知」であり、コンセプトの作り方やデザインに大きな影響を与えています。
片や、日本の経営者には一部を除き、経営者、マーケターやデザイナーにもまだそのような考えを生かせていません。
人間の生き方、企業組織の在り方、社会と個人との関係、人間の本質に関わる・・我々は何者なのかを突き詰めていく事が、企業が新たな事業を考える上で大切な事だと思います。

ここであることに気が付いた。
「新規事業のアイデアを出そう」というお題こそが、そもそも間違いであり、新規事業を考える前にアイデアのベースとなる、これからの時代の「人間の生き方」「企業組織の在り方」「社会と個人との関係」「人間の本質」についてしっかり議論した上で、新規事業を考えるべきであった。

この気づきをK社長に伝えたところ、このような返答がかえってきた。

その通りだと思いますよ。私も昔は師匠によく「マーケティングの勉強なんかする前に、まずは哲学や社会学をしっかりやりなさい。」と言われたもんです。
マーケティングの歴史は50年程度、哲学や社会学は1000年以上の歴史があります。マーケティングの目的である「顧客を捉える」というのは「人間や社会の本質を理解する」という哲学や社会学がベースになっており、このベースがないと、数字やアンケート等を読み解いて生活者を捉えることは難しいと思いますよ。

目から鱗だった・・・・・
そんな風に考えた事はこれまでなかった・・・・

哲学や社会学に対する興味が一気に高まった・・・・

「これから勉強しようと思ったら、どんな本を読んだら良いでしょうか」

スティーブ・ジョブスが無分別智を学んだのは、鈴木大拙の禅の教えからだといいます。
私は師匠にアリストテレス、プラトン、デカルトが基礎だと言われました。ですので、私はただそれを実践してきました。

なるほど・・・スティーブ・ジョブスは禅の教えを学び、その考え方をiPodやiPhoneのアイデアに活かした事は知っていたが、「禅」という長い歴史の中で培われてきた文化や考え方が、「iPhone」や「IPod」、「iTune」や「MacOS」の中に生きている事を使っている人が感じるからこそ、多くの人に支持されるのではないか・・・・。

ならば、先にK社長が紹介してくれた、アリストテレス、プラトン、デカルトの中にも多くの人が共感できる、新たなコンセプトの源泉が沢山詰まっているのではないだろうか・・・・

K社長が、これまで様々な新規事業を成功させてきた理由の一旦を理解したような気がした。

K社長の話は続く

新規事業開発やマーケティングに携わるMBAの方たちは、一般的に経営、経済、簿記などを学ぶのですが、私に師匠は、「実学として、人間を学びなさい」と言われました。
つまり、哲学、現象学、文化人類学、社会学、美学、心理学、そして宗教学を学ぶ、つまり、リベラルアートを学ぶなさいと言ってくれました。

「そんなに一度に勉強できません・・・・・」
一瞬意識が遠のきそうになった・・・・(苦笑

じゃあ、最近私が読んでいる本をいくつか紹介しますね。

続く

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