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二宮尊徳の生き方

人生は不思議と不思議の組み合わせで成り立っていると言っても過言では無い。

あれは1980年代の終わり頃だったと思う。
交流の会合があり、当時、東京の調布にいた自分は小田原の富水の地域との交流となった。
地域のリーダーであった先輩のS氏は、最後のスピーチで小田原の名士、二宮尊徳すなわち二宮金次郎の話しをした。

それはリーダーとしての生き方の話だった。

ある朝、起床し庭に出た尊徳は足の裏の感触に異変を感じたと言う。

その異変の原因は"霜"だった。

その時期に霜が張ると言う事。それはその年の夏が冷夏になる前兆だと言う。

尊徳はすぐに米作りを中止。蕎麦を作る事を命じたと言う。
蕎麦は成長が早く、時期によっては二毛作も可能。

予想通りこの年は冷夏に見舞われ、東北地方は大飢饉へと繋がる。

この時、尊徳の住む小田原は蕎麦に切り替えた事が功を奏し、飢饉を免れたと言う。

S氏はこの話しをリーダーは"1を知って10を見る感性を養わなければならない"と締めた。

これは今の自分にとって最大級の教しえとなり、今の仕事に存分に活かしている。

今年、F1の開幕四連戦が全て無くなると判断したのは中国GPを延期した2月11日だった。

何故なら中国はメンツで成り立っており、上海閥の総帥たる江沢民の会社であるJUSSがF1の主催者である。
国内イベントは梅雨知らず、国際イベントは絶対に無くす訳が無い。

メンツ丸潰れである。

武漢肺炎発祥の中国が国際イベントの延期。
更にその二週間後の全人代の延期発表は、心底凍った。

『これは最大級のマズイ事が発生している』を感じさせるに充分な出来事だった。

すぐさま雲南省に住む友人へ…と、思ったらどう言う訳か向こうから連絡が来た。そして彼もまた弱り果てていた。

そこでベトナムへの国境が閉ざされている事などを教えてくれた。
ベトナムGPもダメだな…と、直感した。

ロジスティックの問題もある。

実は構造上、ロジスティックの歯抜けは軌道修正が効きづらいのを知っていた。

1-2-3-4で組んだモノを1-2-4とはいかないのだ。それをやるのであれば、1から組み直しをしなければならない。
で、あれば無くなるな…と、判断した。

3月2日、F1のパーティーを請負う会社からベトナムのチケットを売らない様に指示が来た。

これはもう確定だった。

F1は比較的、感染が少ないオーストラリアへ向かった。F1村が全ての移動を終えるには一週間は掛かる。

そして無情にもその"一週間"で世界の地図は塗り替えられた。そこにはあの中国共産党が全人代を慌てて延期した原因。
これがあった訳だ。

二宮尊徳の教えは生きていた。

F1の年間の申し込み期限が迫る中、K氏は明らかに焦っていた。それは会話の中でも伝わった。最悪、前半四戦は会社の持ち出しでもやろうか?と言うアイデアは二番目のオプションとして持っていた。

しかし"二宮尊徳の草鞋の裏"の感触は、自分に対し『冷静になれ!自分のセンサーをフルに働かせて感じ取れ!』を指示していた。

奇しくも昨年、三十年来の友人である映画監督の五十嵐匠が"二宮金次郎"を作り公開した。

この部分は映画のストーリーにも活かされている。

ともかく、いま世界は変わってしまったのだ。

スタートアップだ起業だ、カッコイイのは良いけれど、
本当のリスク管理が出来ないのは、タダのマヤカシである。

モータースポーツに関わって30年。国際感覚は誰にも負けないと自負しております。国内外のモタスポに関する問題を常に提起していきます。