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【読書】ファラデーとマクスウェルの創った物理学

読書レポート444

物理学を変えた二人の男
ナンシー・フォーブス  
2016年9月13日発行

現代物理学を創った二人の人生を時代背景も含め、しっかり描いている

200年前、電磁気が科学ではなく自然哲学の範疇にあった時代の研究者マイケル・ファラデーとその研究成果を数式で表したマクスウェルの物語り
これは特に現代物理学を中心とした科学という領域が自然哲学から生まれてきた物語りでもある
光や重力までも説明しきろうとしていた

ファラデーは、CERNで実験が続く現代の量子物理学にもつながる場の理論に基づく実証主義的実験研究者であった
片や、マクスウェルは数学にとどまらない思考を持って理論物理学の礎を築いた
マクスウェルの思考の方法は「類似」の考察だった
成果の範囲も幅広く、海洋通信ケーブルの敷設にも携わる上に、光の三原色を発見し色覚科学でも才能を発揮し、更に土星の輪の観測もしたという
ファラデーの力線を束と密度に置き換えた
気体分子運動の理論では、物理学に統計を初めて取り入れもした

統計が統計学になっていなかった頃にベイズが取り組んだ成果がチューリングマシーンへ、そしてAIへと活用されたように、マクスウェルの広範な研究は、人間の過去の研究が現在の科学に結果として大きな影響を与えているという再認識させるものでもある

ファラデーは、磁力から電気を作るという発電機とモーター、変圧器を発明した
原子の存在が証明される前に電気分解の法則を確立させたファラデー
磁場と力線という考え方は、場の理論を確立して後のヒッグス場のように素粒子論、量子物理学に道を開いた
おもしろいのは、マイケル・ファラデーは数学的な知識が足りない実験者であったことだ
数式ではなく言葉で物理現象を説明しようとしたために造語も多く残した
科学者という言葉ももファラデーのために作られたような造語であった
全てはマクスウェルにより数式で説明できるようになる事で理論として証明された
方程式は後からついてきたものだったのだ
それはアインシュタインやニールス・ボーアたちに引き継がれる新しい物理学だった

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