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【読書】野沢尚の 魔笛

読書レポート454

魔笛
野沢尚
2002年9月20日発行

凄まじい爆弾犯罪小説の迫力
オウム真理教犯罪を下敷きにして、公安の捜査員が犯罪者として警察官と対決する
こちらの身体もキリキリと痛むような必死の緊張感が伝わる描写
プラスチック爆弾から始まり、武器の種類や構造の説明の緻密さ

渋谷のスクランブル交差点で10kgのプラスチック爆弾が爆発する
小ぶりのビルを破壊できる量のようだ
2000発以上の粒弾が被害を凄惨なものにする
即死が20人、重症者も多く、日を追うごとに死者数が増えた
犯人は公安の捜査員だった
教団に信者として侵入捜査を始めたことで、教祖から悪魔の笛を植え込まれてしまったことによるものだった
駅は見えてきたか、、、
こんな言葉がこの捜査員の心に植え込まれた爆弾でもあった
犯人は公安の捜査員としての自分と、犯罪者としての自分がひとつになっていた
教団の洗脳についても、読むのが嫌になる程説明されている
スクランブル交差点爆破事件の捜査で動く刑事の中で、犯人像に近づけそうなきっかけを掴んだ男がいた
職務規定を犯し殺人罪で懲役している女と結婚をした刑事だった
刑務所にいる妻の意見をFAKのやり取りで参考にして犯人を追い詰めてゆく
犯人は刑務所にも仲間を送り込み、刑事の妻の殺害を狙う
最後は奥多摩の大型研修所セミナー会場に集まった進学受験を目指している小学生とその親達の数100人がターゲットになった
刑事は爆発処理部隊SBSSの1人を連れて乗り込む
そこには犯人が従業員として潜んでいたのだった
会場の建物ではプラスチック爆弾の時限装置がスタートしていた
犯人は刑事に逮捕されることも期待していた
身体に5kgのプラスチック爆弾を巻いていた
SBSSの男はギリギリの判断で爆破を回避させる
刑事は犯人に銃で撃たれながらも手錠をかけた
公安は刑事と犯人2人の抹殺のため狙撃する
公安はなんとしてでも公安捜査に関わる情報を公にさせたくなかったのだ
狙撃からも逃れて警察に連行しようと辿り着いた先でも公安部長が犯人の引き渡しを求める
血みどろの刑事達の闘いは、胎児達の勝利で終わった
犯人による公安部長への報告の形で公になり、それまでの公安による秘匿事案まで問題視されることとなった
犯人は死刑判決
異例の早さで執行を迎えた

リアルさと迫力に、胃が痛くなりそうになると休憩しながら読み終えた

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