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【読書】アイエンガーの 選択の科学 を読む

選択の科学
シーナ・アイエンガー
2010年11月15日発行

しかたがない という選択は日本ならではのもの

選択できないことのストレスや不満は身体機能にも影響する
動物園の動物もそうだ
犬やネズミでも実験されている
犬に電流刺激のストレスを与え続けると、電流停止スイッチがある箱の中で過ごした犬と、停止スイッチがない箱の中で過ごした犬では以後の反応に大きな差が出たと言う
マーティン・セリグマンの実験だ
刺激を止める選択がない箱で過ごしてしまった犬の場合には、以降逃げられる場所であるにも関わらずじっと怯えながら刺激に耐えるだけだったと言うのだ
絶望感を感じている人間のように思えてならない
精神面と身体面で病んでしまうのだ
症例も指摘されている
介護施設で実験されたケースでも洗濯の自由度と充実は老人たちにも大きな違いを見る事ができたと言う
自己決定感が大事だと言う
著者はシーク教徒だった
宗教と信仰は意思決定の大部分を決められている
宗教は健康や幸福に影響を与えているのかと考えたそうだ
その後の2年間で9つの宗教について600人以上の信者達にインタビューをしたと言う
自己決定権を持っていると思うかどうか
楽観主義か悲観主義か
宗教の性格が原理主義的か自由主義的か
結果、悲観的なのは無神論者だった
自己決定感を持っていなかったのだ
宗教上の制約は自己決定感を損なうものではなかったことが確認できたと言う
信仰には選択に関する物語りがある
物語りの影響は個性の違いにも現れる
日本では北山忍の元で調査をしたらしい
レストランで緑茶と砂糖を頼んだら、ウエイターは驚いた上で、砂糖を切らしていると答えた
仕方なくコーヒーに注文を変えたらちゃんと砂糖が付いて出てきたというエピソードは日本の文化の側面を示したものだ

個人主義のもとでは、選択は機会という観点から考えられている
アメリカ、オーストラリア、イギリスは個人主義指標のスコアが高い
集団主義は日本のように和を重んじる
集団を円満にするためだ
過去の歴史を通じても、一般的な人間の行動規範だ
グアテマラが最も集団主義的な国らしい
日本とインドはスコアから言えば中間的な国である
二つの国での違いは、選択の物語だ
著者は、日米の比較をかなり研究している
幸福をもたらすものは、選択そのものではなく、選択した者が義務を果たすことだと言う
確かに日本の中途半端な個人主義は無神論的で、テレビの下世話なニュースに影響されている
規範となっていた物語が見えなくなってしまっている
自由意志で結婚相手を先達したにも関わらず離婚する比率も高くなり、子供の連れ去りまで発生する
結果として生涯独身者も男女問わず増加しているようだ
日本人の場合は、残念ながら幸福感からは遠ざかっている
選択した者が義務を果たすべく、親が子供たちを教育できていない
親も離婚に協力したり、子供の連れ去りを主導的に計画したりする
自分のためだけに喜びを追求し、結果的に連れ去られた子供の不幸や不自由さや制限を作り出してしまっている
こうした選択の自由さには義務感のかけらもない
古来、結婚とは家族の絆と結束を強めるものであった
今の日本にはその義務も物語が失われてしまっていると思える

旧共産圏の人々が感じてないるという資本主義、民主主義での  からの自由と  する自由の違い  
多すぎる選択肢はあるが、経済的にできる選択は少ない
著者の研究も心理学、社会心理学、行動科学などの成果を多く取り入れている
矯正された選択について
選択を左右するものについて
選択をつくる外的要因について
延命措置などの、選択の代償について
豊富な選択肢は必ずしも利益にならないという消費行動について
選択と偶然と運命という現実に目を向けたり
幼くして視力を失いながら、インドからアメリカに渡り文化の違いを強く感じて育った著者なら他ではの論考は今後も深く考察されてゆくのだろうと感じた

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