見出し画像

読書 祈りの海

紹介文

〔ヒューゴー賞/ローカス賞受賞〕遥かなる未来、遠い星に植民して独自の文明を築いた人類の末裔の不可思議な姿を描く表題作をはじめ、出世作「ぼくになることを」や『順列都市』と同じ設定で描いた姉妹篇「誘拐」ほか、仮想現実、人工知能、人工生命などをテーマにしたヴァラエティにとむ全十一篇を収録する

Hayakawa Online

この記事は、アフィリエイト広告を利用しています。

収録作品

貸し金庫
 The Safe-Deposit Box (1990)
キューティ 
 The Cutie (1989)
ぼくになることを 
 Learning to Be Me (1990)
繭 
 Cocoon (1994)
百光年ダイアリー
 The Hundred Light-Year Diary (1992)
誘拐
 A Kidnapping (1995)
放浪者の軌道 
 Unstable Orbits in the Space of Lies (1992)
ミトコンドリア・イヴ
 Mitochondrial Eve (1995)
無限の暗殺者
 The Infinite Assassin (1991)
イェユーカ 
 Yeyuka (1997)
祈りの海
 Oceanic (1998)

感想

「あなたの人生の物語」を読み終えた時に、読んでみようと思ったグレッグ・イーガンの短編集です。
正直に言えばこの作品の方が数倍面白くてかなり衝撃を受けました。
この作者も「アイデンティティ」「自己の認知」という問題を中心とした作品を書いていると思います。
全ての作品で、自分の考えが試され揺るがされ深く考え込まされました。といっても、それは、完璧に面白い Sci-Fi になっています。

解説を読むとこの短編集は 1989-1998の約10年の間の作品だと言います。「貸金庫、キューティ、ぼくになることを、無限の暗殺者」が、1992年よりも前の作品です。
「百光年ダイアリー、放浪者の軌道、繭」が、1992-1994あたりの作品です。
「ミトコンドリア・イヴ、イェユーカ、誘拐、祈りの海」がその後の作品となります。なぜこの区切りで解説者は分けているかと言うと、1992-1994に、初の長編作品「宇宙消失、順列都市」を書いているからです。短編作家から長編を書くための作家への変化が短編にも現れていると言っています。

たしかに、この作品群の違いは読み終わった後で考えると納得のいくもののように思います。とても印象的なアイディア中心から、徐々に、もっと広がりのある世界観に作品が変化していっているような感覚を、読み終えた後で振り返ると感じました。

祈りの海が自分にとっては、一番読みにくかったので、しばらくは長編は読まずに短編集を読んでいく作家にしておくつもりです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?