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フィットネスジムで怖い腎臓病が増加中…(←え?)

話題のプロテイン記事について

表題のようなタイトル記事がでて、SNSで話題になっているようです。
記事の要約は以下の通り。
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プロテイン摂取の危険性

  • プロテインは腎臓に負担をかけ、腎機能障害を引き起こす可能性がある

  • 腎機能障害は自覚症状がなく、慢性腎臓病に進行すると、人工透析が必要になったり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高める

  • プロテインブームにより、慢性腎臓病患者が増加している可能性がある

  • 運動後のプロテイン摂取は、筋肉増強に効果がないばかりか、腎臓に悪影響を与える

  • 動物性タンパク質は腎臓に負担をかけるため、プロテインで摂取するのは危険

腎臓病の検査と予防

  • 健康診断の項目だけでは腎臓の状態を正確に把握できないため、尿アルブミン検査を受けることが重要

  • 慢性腎臓病の予防には、血圧コントロールとAGE(老化促進物質)の摂取制限が重要

  • 生の食品や適度な運動は腎臓に良い

結論

市販で販売されているプロテインは人体に必要なく、摂取は腎臓病のリスクを高める。そのため、プロテインメーカーやフィットネスクラブの宣伝に惑わされず、正しい知識で健康な腎臓を維持することが大切だ。

上記のように、語るのはAGEの研究に携わる医師。様々な意見はあるが、確かに一理ある内容ではあった。
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詳細は以下のYahoo!ニュースを参照してください。

フィットネスクラブで怖い腎臓病が増加中…健康と美容のために摂取するとかえって"死を早める粉"の正体(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

記事に思うこと

記事の内容はやや過激な主張が強い印象はあるものの、プロテインをあえて摂取する必要はないと個人的に同意する。

それに、プロテインの過剰摂取により腎機能の低下を招くことも事実で、数々の研究から明らかにされている。

しかし、今回この記事で物議を醸している一端は「フィットネスクラブを敵視したこと」なのではないだろうか。

運動習慣のない人が意を決してフィットネスクラブへ行き、運動することはすごく良いこと。加えて、健康意識の高い個人がさらに心身を鍛えるために、フィットネスクラブへ行くことも素晴らしいことだと思う。

薬剤師の立場としては、一人でも多く❝不必要な薬を減らしたい❞わけです。これは個人の見解だけどね。

薬局や病院が必要なくなる世界が最も望ましい社会だと思うし、国民一人ひとりが健康意識高く、適切な運動習慣をもって、多くの病気を防いでくれることがなにより大切。だから、フィットネスクラブという健康サポートをする施設は必要だと思う。

それに、慢性腎臓病や腎機能低下が増えてる背景は、プロテインの過剰摂取だけが誘因ではないし、高塩分食などの食習慣、運動習慣、ストレス社会もかなり影響しているのは間違いない。

少し脱線したけど、決して「フィットネスクラブ」が悪いのではなく、プロテインの過剰摂取が良くないという話で、「フィットネスクラブで怖い腎臓病が増加中」という煽った釣りタイトルはなんか引っかかるな。

そして、仮に、フィットネスクラブでプロテインを健康リスクも伝えずゴリゴリに販売してるならば、それはそれで良くない。

確かに、プロテインを摂取してトレーニングすれば美ボディになると思い込んでいる人が多いのは事実だろうし、トレーナー含め国民のへルスリテラシーを高めていく努力は必要だと思う。

なんで健康のことは学校で教えないんだろうかといつも不思議に思う。国はお金は与えてくれても、健康は与えてくれない。

なにはともあれ、記事のプロテインは必要ないという主張にはおおむね同意ながらも、フィットネスクラブがすべて悪いとは思わないしやや悪意を感じる。タイトルについてもミスリードを招きかねないなって個人的には思います。

プロテイン(たんぱく質)の摂取基準は?

世間一般で言われるプロテインと言う表現は、広義で「たんぱく質」を指す場合もあれば、分岐鎖アミノ酸(BCAA)などの製品を指す場合もある。

これが誤解を生む原因だと思うなぁ。細かい話をすると、、、

肉類を食べるのと、ホエイ・ソイプロテインを含むドリンク系を飲むのと、バリン・ロイシン・イソロイシンのようなBCAAのパウダータイプのものを摂るのではもちろん吸収率も異なる。

そして、日本人におけるたんぱく質の摂取基準については、目安が定められている。

小児、妊婦、成人(男女)、高齢者など年齢や性別によって異なるし、身体活動レベルや疾患背景(慢性腎不全、フレイルなど)、摂取する目的によっても、推奨用量が異なる。

日本人の栄養摂取基準2020では、具体的なたんぱく質の目標量が示されている。

厚生労働省;栄養摂取基準2020 たんぱく質の目標値

より詳しく知りたい方は、厚労省のホームページを確認してみてください。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

腎臓への影響は?

腎臓への負荷については、人種や個人によって異なるため、一概に「この量を摂ったら腎臓が悪くなる」とは言えないが、35%エネルギー未満であれば腎機能を低下させることはないだろうというメタアナリシスの研究はある1)。

ちなみに、筋力増強目的であれば、たんぱく質を1食あたり0.4g/kg・体重の目標摂取量とし、最低でも1日で1.6g/kg・体重を目安に摂取するが世界基準です2)。なお、一時的な腎臓への負荷はリスクとして避けられないだろう。

【Source】

  1. VAN ELSWYK, et al., A systematic review of renal health in healthy individuals associated with protein intake above the US recommended daily allowance in randomized controlled trials and observational studies. Advances in nutrition, 2018, 9.4: 404-418.
    https://doi.org/10.1093/advances/nmy026

  2. SCHOENFELD, Brad Jon, et al., How much protein can the body use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein distribution. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2018, 15: 1-6.
    https://doi.org/10.1186/s12970-018-0215-1

まとめ

最近、話題になっていた記事についてレビューし、プロテインの光と影に少し迫ってみました。

記事の主張は、プロテインの過剰摂取が腎臓に負担をかけ、最悪の場合、人工透析が必要になるという恐ろしいもの。

しかし、本当にプロテインは「死を早める粉」なのでしょうか?

薬剤師としての一意見としては、プロテインを完全に否定するわけではありません。過剰摂取が良くないことは事実ですが、フィットネスクラブを敵視するような記事の内容には疑問を感じます。

プロテインは、適切な量を守れば、筋肉増強や健康維持に役立つ栄養素。厚生労働省も、年齢や性別、活動レベルに応じたたんぱく質の摂取基準を定めています。

プロテインの摂取基準や腎臓への影響について正しい知識を身につけ、健康的な体作りを目指しましょう!

プロテインは毒か?薬になり得るか?
その答えは、使用する方ご自身にあります。

あなたはプロテインについてどう考えますか?

Noteとは別に、Xでは日々の気付きや健康の発信をしてるので、よかったら覗いてやってください。


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