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産後すぐ性別が分からなかった息子の話

息子は、産まれた翌日に小児科の先生に「お話があります」と言われた子どもでした。

お腹にいる時から中々股を開いてくれず、妊娠後期に安静の為に入院していた時にやっと「しっかりと見えました!持ってましたね(笑)」と先生に言われたのを覚えている。
私と夫は、認識する前から女の子だったら夫が、男の子だったら私が名前をつけると決めていた為、性別が分かった時点でもう名前が決まっていた。

男性器のサイズがちいさく、もしかしたら女の子の可能性もある為、色々検査しなくてはならないとのこと。
今は色々な事が済んで思い出話となりつつあるのですが、当時はすぐに様々な決断をしなくてはならず、産後すぐに『母親』という現実を突きつけられた。
もしも生物学的に“女”となった場合、彼は半陰陽と言われる症状?となるらしい。
こういった状態で生まれるのは、私たちが住んでいる北国では50年以上来で、市では初のこと。
彼は市内初の男(仮)と、私や夫、私たちの友人に泣きながら笑って言われた。
この『市内初の男(仮)』が思い出話になるように、笑いながら話せる日が来るから…と私たちは何度も笑いながら大泣きした。

様々な検査の中で、睾丸の中にちゃんと玉が入っているか・染色体的に性別はどちらなのか?という物があり、染色体の検査は結果が出るまでに時間がかかる為、産後14日を過ぎてしまう…。
その為、夫がすぐに出生届を出す時に役所に相談してくれました。
保険証の手続き等もある為、息子はしばらくの間戸籍上『◯◯(←苗字)未定』ちゃんとなった。
検査結果が全て出て、事実上“男”となっても、手続きが完了するまで彼は『未定ちゃん』とされていた為、例えば予防接種等で病院に行かなくてはならない時には毎回受付けで事情を伝えなくてはならなかった。
私はこれが苦痛で仕方がなかった。
だって、息子にはちゃんとした名前があるし、私は我が子に『未定』と名づける様なわからんちんな親と思われたくなかったから。

検査やなんやらを全て終え、事実上の“男”と認められた息子。
しかし、新たな問題も発生した。
彼は尿道が男性器の先端まで繋がっていない『尿道下裂』と診断される。
しかも、尿道が睾丸の所(男性器の根本)でとまっている為、「重度」という言葉がついてきてしまった。

尿道下裂の為、最低でも2回手術をしなくてはならないとのこと。
1回目は男性器の皮を切る手術
2回目は、その切った皮で尿道を作る手術

なぜ最低でもなのかと言うと、2回目の手術後、尿道がくっついてしまい男性器の先端から尿が出なかったり、尿道が破けて横から尿が出ることもあるらしい…。
もしそうなったら再び手術をしなくてはならないそう。

尿道下裂の話を先生から聞いた時に、放置していても死に至る病気とかではない。
ただ、将来的にもし子どもが欲しいとなった時にこのままだと困難になると言われた。


2回の手術での付き添い入院も、今となっては思い出になっているが、本当にしんどくて辛かった。
もちろん、小さな体で2回も手術した息子が1番辛かったと思う。
私たちのせいで、小さな息子に大変な思いをさせてしまったのが本当に申し訳なかった。

幸い、4歳の今の時点では経過良好の為、年1の受診で経過観察となっている。
息子には、思春期に入る前にこの事実をきちんと説明しようと思っている。

「市内初の男(仮)」が思い出話になる日が来たよと4年前の私たちに伝えたい。

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