ヤングアダルトニューヨークを見ながら

数年前、かなり体調が悪く、やっと回復した翌日に映画を観に行った。ちょうど、レディースデーなので安く見られてほくほく。
ちなみに、観た映画は。

ヤングアダルトニューヨーク。
原題がWhile we're youngな時点で微かな胸騒ぎがした。
で、見終わって思ったことは。
サブカル拗らせてるこどもおばさんやおっさんこどもにはきつい映画やー!ということ。

かつてのちいさな栄光を引き摺りながら大学の講師で生計を立てているインディーズ映画監督のジョシュと、ドキュメンタリーの巨匠を父に持つコーネリア夫妻。ジョシュが大学の講義で出会った映画監督の卵のジェイミーと妻でオーガニックのアイスクリーム職人のダービー。その出会いと別離を描いている映画だがかなり痛いとこをつかれた。
若い人に無理してついていき、同世代の旧友に距離を置かれたり、憧れられていい気になっていたら、出し抜かれて唖然として途方にくれていく様は写し鏡を見せられたようでざくざく刺さる。
終盤、ジョシュが、ジェイミーが完成させたドキュメンタリーのやらせを見つけて詰問するも、逆に周囲から冷たい目で見られるシーンは勘弁してくれと泣きたくなるくらい。
だからこそ、うちひしがれたジョシュへのコーネリアのささやかかつ優しい気遣いにほっとする。
ジョシュも、コーネリアも、そしてこの映画を見る層の大半もジャンクフード食べると消化するのがしんどくなったり、少し無理して激しい運動や寝不足したりすると体にきたり、良かった視力が下がったりするそんな年頃。
そして、無限にあるように見えた時間に限りあることを思い知らされるジョシュが、今まで後回しにしてたことをしていく終盤に少し元気づけられる。が、ラストシーンでジョシュとコーネリアが目にした光景はやはり苦い。
彼らはまた次世代のクリエーターワナビーに憧れられ、踏み台とされ、傷つきながらも少しずつ前に進むんだろうな。そんな気持ちが脳裏を過る映画。

(文責・コサイミキ)

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