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人は「得」よりも「損」を恐れる。

利益や損失に関わる意思決定のメカニズムをモデル化した、行動経済学の理論に「プロスペクト理論」があります。
この理論にはいくつかの要素がありますが、今回は「人は、得よりも損を重視する」という内容についてお伝えします。

私たちは、「得をした嬉しさよりも、損をしたガッカリ感を強く感じる」という心理傾向があるそうです。
たとえば、5万円をもらったときより、5万円をなくしたときのほうが、より大きく心が揺さぶられる感じがしませんか? 5万円もらった嬉しさを「+100」とするなら、5万円なくしたガッカリ感は「-200」くらい、という感じです。

要するに、同じ5万円という金額によってもたらされる価値(嬉しさやガッカリ感)は、金額に対して正比例ではありません。
この理論では、金額が同じだと、損をした場合、得をした場合の約2.25倍の価値を感じるとされています。そのため、私たちは得をすることよりも損を避けることを優先する傾向があるんですね。

この心理は、すでにビジネスに多用されています。
たとえば、「この化粧品を使うと肌のハリが増します」と言うよりも、「この化粧品の成分が不足すると、肌のハリがなくなりますよ」と宣伝されたらどうでしょうか。
前者よりも購買意欲が高まったのではないでしょうか。
この手法は、「フィア・アピール」(フィア:恐怖)と呼ばれています。

また、反対に顧客の不安を取り除くことで購入を促す手法が「リスクリバーサル(リスク保証)」です。
私たちは商品を買おうとするとき、「買って損をしたらどうしよう」という不安がつきものです。この不安を解消するリスクリバーサルの例として、
・返金保証
・カスタマーサポート
・修理保証
などがあります。

確率論では説明できない人間の行動心理を把握すると、ビジネスにおける打ち手も変わってくるかもしれませんね。

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