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与える人と奪う人

人は、3種類の人間がいるといわれています。
1)ギバー(Giver):惜しみなく与える人。自分を犠牲にして人に尽くす自己犠牲型のギバーと、相手によって自身の関わり方を変える他者志向型ギバーがいる。
2)テイカー(Taker):自分の利益を優先させる人。与えるより受け取る方が多くなるように行動する。愛想が良く気前が良いテイカーもいるが長期的に見て自分がどれだけ受け取れるかで行動を変える。
3)マッチャー(Mucher):損得のバランスを考える人。相手によって自身のスタンスを変える。相手がギバーならギバーとして振る舞い、相手がテイカーならテイカーとして振る舞う。与える量と受け取る量が一致することを目指す。

ちなみに、それぞれ存在する割合は、ギバー25%、テイカー19%、マッチャー56%というデータがあります。

『GIVE & TAKE~「与える人」こそ成功する時代~』(アダムグラント著)では、「与える人こそ成功する」と言っています。
これはどういうことでしょうか?

理解する上で参考になる実験結果があります。
ギバー、テイカー、マッチャーの中で最も仕事の成果が悪かったのはどのタイプだったか?というものです。
実験の結果、最も仕事の成果が悪かったのは、ギバーの属性の人たちでした。
ギバーは自分の仕事を後回しにして、人の仕事を手伝ったりします。その結果として自分自身の仕事のパフォーマンスが低下するとされています。
そして、次にパフォーマンスが悪かったのは、テイカーでした。
テイカーは、最初は自分が有利になる状況を作り出すので短期的には高い成果を出すのですが、長期的に見た場合、徐々に敬遠されていくので仕事のパフォーマンスは下がっていきます。
では、残ったマッチャーが最もパフォーマンスが高かったのでしょうか?
そうではありませんでした。
最もパフォーマンスが高かったのは、同じくギバーでした。
マッチャーは相手によって行動を変えることによって、自分の仕事を順調に進めつつ、相手が手伝ったら自分も手伝います。
中期的な人間関係においては最も成果を出す可能性があると言えます。

しかし、長期的な関係性で見た場合、最も成功しているグループはギバーでした。
与えることで短期的には自分のパフォーマンスが損なわれるように見えても、長期的に見るとそうした行動によって培った「信用」が人的、技術的なネットワークをつくり、自分の評判やチームとしての成果の向上の要因になるそうです。
ただこれは、理想的なギバーとしての振る舞いです。愚直にギバーとしてのあり方を実践するだけでは、テイカーに搾取されてしまいます。
つまり、この点が最もパフォーマンスの高いギバーと最もパフォーマンスの低いギバーを分ける戦略なんですね。

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