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認知革命

「サピエンス全史」という本、上下巻合わせて約600ページという結構なボリュームです。
この中で、ああなるほどなぁ、と思ったのは「認知革命」という話です。

私たち人類は、ホモサピエンスという種族なんですが、他にも力の強い動物、素早い動物、さらにはホモサピエンスより脳みそが発達していた別の種族もいたらしいのです。ネアンデルタール人とか。
しかしなぜホモサピエンスがここまで繁栄できたのかは、「認知革命」「農業革命」「科学革命」という3つの革命を起こしたからだといわれています。

ホモサピエンスが生き残ったのは、脳のスペックが高かったからではなく、「認知革命」が大きな理由だといわれています。
「認知革命」は何か?というと、「嘘がつけるようになった」という革命です。
言い換えるとフィクションという概念を持った、ということです。
つまり、ありもしない嘘、フィクションを語ったり、それをみんなでまんまと信じちゃう力ですね。
このフィクションの力っていうのは、実は凄い破壊力を持っています。
例えば、隣の村のAさんという人がめちゃめちゃ強いという噂話があったとします。
すると、自分の目では見たことないけど、「ああ、そうなんだ!」って信じちゃうんですね。
あの山には鬼がいる、雪男がいる。あの大きな木には聖霊が住みついている、みたいなのもそうです。
一方で、他の種族には、この力が備わっていなかったといいます。
自分が実際に目で見たものしか信じられなかったんですね。
ここが勝負の明暗を分けたといわれています。

噂話を信じると、チームの団結力に大きく関わってきます。
他の種族は、すごいリーダーが隣村にいると聞いても、自分の目で実際に見てすごいと思った人しか信じられないので、リーダーの影響力が口コミとかで爆発的に広がっていくということがないのだそうです。すると、どうしてもチームの団結力が大きくなっていかないんですね。
せいぜい150人くらいがチームの大きさの限界だそうです。
ホモサピエンスは、噂が噂を呼んで数百人規模の巨大なチームを作り上げていくことが可能となりました。嘘が人と人とを繋いでいったんですね。

このフィクションの力は、現代でも大きな力を発揮しています。
一番わかりやすいのが「お金」です。
ただの紙切れなのに、みんなが一斉に「これには価値があることにしよう!」と信じ込むことで、お金に共通の価値が生まれます。
国家とか、宗教もそうですね。
フィクションこそが我々の世界を形作っているともいえます。
お金、国家、宗教、会社、結婚、法律、人権も本質的には全部がフィクションです。

そして、そんなフィクションの中で生きる我々が、そのストーリーに踊らされる側になるのか、自らフィクションを生み出す側になるか、どちら側に回るかで世界の見え方が全く違ってくるのだと思います。

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