【小説】置かれた場所で咲きなさい ~勇者一行の日常
「全部無駄だったな」
思わずこぼれた俺のつぶやきに対し、傍らを歩く賢者が、
「人生に無駄なことなんか一つもありませんよ、勇者殿。失敗も遠回りも、すべてはあなたを成長させ、いつか輝かせるための、貴重な礎……。『あの日、あんな経験をしてよかった』と思える日が、きっと来ます」
と、さわやかに答えた。
もし両手が空いていたら、俺はいら立ちのあまり髪をかきむしっていたことだろう。
「なんか良い感じにまとめようとしてんじゃねーよ。何日も準備してドラゴンに挑んだのに一瞬で負けた