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「ラグビーチーム」が学んだ「陸上競技4×100mリレーチーム」の『凡事徹底』。

ラグビートップリーグのNTTドコモレッドハリケーンズでチームアドバイザーをつとめる 福富 信也さんの話。(ニュース記事より抜粋)  

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福富 信也さんは、Jリーグ横浜F・マリノスコーチを経て 2011年より東京電機大学理工学部に教員として着任。Jリーグ監督に必要なS級ライセンス講習会の講師を務めました。最近では、2016-2017年北海道コンサドーレ札幌(J2優勝、J1昇格)、2018-2019年ヴィッセル神戸(天皇杯優勝)をサポートしています。

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ラグビーのNTTドコモレッドハリケーンズは トップリーグで毎年のように降格争いに巻き込まれ、昇降格を繰り返してきた歴史があるチーム。

それを払しょくするため2021シーズンは 大きな改革を進めているようです。

レッドハリケーンズは長年にわたって結果が出なくて 人間に例えるなら 糖尿病、高血圧などの生活習慣病のような状況だったそうです。それは 人間と同様に手術や劇薬によって治ることはなく 長期にわたって地道に組織の体質改善をしていくことが必要でした。

目指しているのは「自由自在に動ける〈1つの生命体〉のようなチーム」。

そして、そのテーマは「凡事徹底」(BONJI TETTEI)。

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2016年リオデジャネイロ オリンピック大会で 陸上競技「4×100mリレーチーム」は 銀メダル獲得という偉業を成し遂げました。

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その当時、まだ日本人で9秒台をマークした選手は1人もおらず 100m個人種目でメダルを獲得することは極めて難しい状況でした。

世界最速であったウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)の自己ベストは9秒58。当時日本人最速だった桐生選手は10秒01。100mを約10秒で走っているということは 1秒は10m、0.1秒は1mの違いに相当します。桐生選手とボルト選手のタイム差は0.43秒。フィニッシュラインでは 単純計算で4m近く差がつくことになります。

世界と日本とでは、個の力に それほどの差があったのです。

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しかも、9秒台の選手を抱えている国はジャマイカだけではありません。アメリカも、カナダも、イギリスも、トリニダード・トバゴも…。それなのに、日本チームはリレー決勝で 世界2位になれたのです。

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「凡事徹底」の魅力は『誰もが知っている当たり前なことを、誰も真似できないレベルまで徹底すること』。

個で相手を上回るのが難しいチームこそ「凡事徹底」が重要です。

「リレーで勝敗を分ける最大のポイントは何?」と聞かれたら、きっと誰もが「バトンパス」と答えます。

リレーのポイントは、陸上に関する素人であっても「バトンパス」だと知っているのです。

トップアスリートである陸上日本代表選手たちが 私たち素人でも知っている「バトンパス」を軽視することなく、世界のどの国よりも徹底的に研究し 練習し 磨き上げた結果、銀メダルをつかみ取りました。

まさに「凡事(=誰もが知っている当たり前なこと)」を「徹底」したのです。

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ラグビーでも 何のスポーツでも 同じなのだそうです。

個で相手を上回るのが難しいチームこそ「凡事徹底」が重要なのです。

福富 信也さんは「ラグビー界の凡事は何だ?」「ラグビーをやってきた人なら誰でも知っている重要なことって何だ?」と選手に聞いたそうです。

そして「レッドハリケーンズが大切にしたい凡事とは何なのか?」と問いかけて「それをもう一度見つめ直し、誰も真似できないレベルにまで徹底しよう」と 選手たちに伝えました。

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でも、「凡事徹底」の過程では「大敵」が現れます。

それが「ま、いっか」です。

この「ま、いっか」を撃退しない限り 凡事徹底は成し得ません。

「心が体を支配している。心が命じない限り、体は絶対に動かない。」

ラグビーの試合中も同じです。相手選手が視界に入り「この選手を放置したらピンチを招くかな」と気付いたとしても「たぶん大丈夫だろうな」。

「ま、いっか」と思ってケアするのをやめてしまったら たちまち失点してしまうかも知れないのです。

この相手選手をケアするために あと5m走っていれば防げた失点なのです。

分かっていながらも「ま、いっか」が生活の中で繰り返されます。

「ま、いっか」が生まれる背景には「あいつも やっていないし…」、「そこまでやらなくても良いでしょ」という基準の低さが存在します。 

アスリートが人々の尊敬を集めるのは 単に体が強いとか、スピードがあるとか、技術レベルが高いだけではないのです。

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「ま、いっか」と楽な方へ流されそうになる弱い自分に打ち勝ち、当たり前なことを誰も真似できないレベルまで徹底する、そんな高潔さが尊敬の対象になるのです。

今年の NTTレッドハリケーンズは台風の目になれるのか。

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今シーズン、NTTレッドハリケーンズは開幕から2連勝しました。

「開幕2連勝は実力だった」と証明し、上位陣にプレッシャーをかける意味でも、第3節 リコーブラックラムズ戦が重要だと話しています。 

「倒れたらすぐに起き上がる」、「最後まであきらめない」そんな当たり前のことができているか、スタジアムに足を運んで、厳しい目で選手たちをチェックしていただけると嬉しいです。

…と 福富 信也さんは語っています。

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<ラグビー トップリーグ2021 リーグ戦>
NTTドコモレッドハリケーンズ vs リコーブラックラムズ。

2021年3月6日(土)東大阪市花園ラグビー場 14:00キックオフです。

今から とっても楽しみです~🏉🏉🏉 

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