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共働きをサッカーに例えてみる

仕事と家庭の時間管理がなかなかうまくいかず、イライラしてしまいました。こういう時、誰かのせいにしたくなるのですが、みんなが精一杯やっている結果なので誰のせいにもできませんし、自分の力のなさに辟易するのみです。仕方がないのでこないだ思いついたことを書いて気持ちを昇華させていただきます。こんなことにnoteを使ってすいません。

今回は子育て中の医師夫婦の働き方をサッカーに例えてみて、色々、考察してみたいと思います。ちなみに私は野球しかやったことがなく、サッカーは全くわからないので、その点はご容赦ください。

1: 子無しバリキャリ医師夫婦(カップル)をサッカーに例えてみる

子供が生まれる前の我が家はこれに近い状態でした。サッカーに例えると、2人とも相手ゴール前に上がって攻撃している状態です(相手ゴール=仕事)。そのため自陣のゴール(家庭)はノーマークです。誰もいません。ぶっちゃけ何点取られようが構わないのです。とにかくいかに点を取るかに集中していますし、とにかく点を多く取ることが勝ちというルールでゲームを行なっています。

実は当時、私はこの考え方でした。とにかくめいっぱい働いて、経験と知識、そしてキャリアを積んでいくのが全てと考えていました。しかし妻は少し違ったようで、側から見るとよく働いていましたが、内心はオンオフをはっきりさせたいという考えのようでした。特に結婚してからはなるべく業務時間内に仕事を終わらせる、週末は休んで自分の時間を取るようにするというスタンスをとっていました。

2: 一昔前の子持ち夫婦をサッカーに例えてみる

この項目だけ医師夫婦に限らないパターンです。

私の両親を例にしてみます。うちは父が働き、母は専業主婦で私と弟の面倒をみてくれました。妻の実家もほぼ同じです。私は今年で40歳になりますが、私くらいの年代の親は大体、同じ感じではないでしょうか。

この働き方は、サッカーに例えると父がフォワード(FW)、母がディフェンス(DF)という布陣です。この布陣になる理由は、子供が生まれるとサッカーのルールが変わるためです。子供が生まれる前はどれだけ点を取られても、ひたすら攻め続け、こちらの点数が取れればそれでオッケーというルールでした。つまり家庭や私生活が乱れても、自分の体調が多少、悪くなるくらいで仕事を一生懸命やっていれば社会的な評価も高くいられたのです。ところが子供が生まれるとここに点を取られてはいけないというルールが加わります。現実はもっとシビアで、生まれたばかりの赤ちゃんの面倒をみるには一瞬でも気は抜けませんし、一人で留守番ができるようになるまで10年くらい、独り立ちまでは20年くらいかかってしまいます。

この夫婦で分業するのは合理的かもと思ったことが最近、ありました(しつこいですが我が家は共働きです)。休日のある日、夜8時くらいに子供が寝てしまったのです。昼寝もしなかったし朝まで寝るかなと思い、妻が添い寝、私は別室で眠りにつきました(我が家は狭く、添い寝と別室で寝るのを交代で行っております)。その時、妻は忙しくて布団に入ったのが夜中の2時くらい、私も忙しくて3時過ぎに寝ました。さて翌朝、7時になっても起きてこないので様子を見にいくと、なんと子供が3時くらいに起きてしまい、6時前まで寝なかったというのです。結局、妻はほぼ徹夜で仕事に向かいました。この時、もしどちらかが専業なら、専業の方が子供と夜通し戦っても昼寝などで体力は回復できるし、働いている方も気兼ねなく仕事に行けるのになと思ってしまったのです。

ただやはり医師夫婦で専業主婦(主夫)になるのは特に医師の場合、かなりの決心が必要です。特にアカデミアで働いている場合、キャリアが途絶えてしまいます。少し子供が大きくなってから復帰しようと思っても先に書いた通り、10年単位で最前線から離れる必要が出てきますし、そこからキャリアを挽回するのは並大抵の努力では成し遂げられないと思います。もちろん専業主婦からアカデミア復帰し、業績を積まれている先生も知ってはいます。また医師の場合、非常勤バイトといった形で週に1回とか2回とかの頻度で医療に携わることは可能です。ただこの場合も最前線の医療や研究から離れてしまうという点では完全な専業主婦を選んだ場合とあまり差はないかもしれません。このあたりは夫婦間の話し合いが必須ですし、我が家はこの道を選びませんでした。

3: 共働き子持ち医師夫婦をサッカーに例えてみる

我が家のケースです。2人ともアカデミアで働いていて、子育てもしています。2人でセンターライン付近までポジションを下げ、ボランチとしてゲームをコントロールしようとしているという感じでしょうか。ただ実際のサッカーと違って、攻撃も守備も自分たちでやる必要があるため相手のゴール前に上がることもあれば、自分のゴール前に下がることもある、そんなイメージです。

結果どうなるか。仕事量は確実に減ると思います。「子育てに参加して時間がなくなった分、仕事の質をあげたら成果も上がった」なんてネット記事をたまに見ますが、そんなのは本当に一部の人たちだけだと思います。大半の方は時間がないことに焦りながら日中、なんとか仕事を終え、悠々、残業する人たちの白い目に耐えながら子供を迎えに保育園へ。その後、なんとか寝かしつけてから、ゾンビのように起き上がり、残りの家事や仕事に深夜まで取りかかるという感じではないでしょうか。そしてこれだけ苦労しても悠々、残業している人達に仕事量でなかなか追いつけないというのが実情かと思います。ちなみにこれはホワイト企業に勤める方たちのことではなく、アカデミアや大病院で働く医師や研究者を想定しています。

あとディフェンス面(家庭)に関しても問題が出てきます。うちは掃除など外注して、自動洗浄などのテクノロジーを駆使しているので、家事の負担は極限まで減らしていると思うのですが、やはり気になるのは子供との時間です。この点は妻がよく言うのですが、保育園に預けると仮に夕方6時に迎えに行っても一緒に過ごせるのは寝るまでの3時間のみ。週末も極力、一緒に過ごしたいがどうしても外せない仕事が入ってしまうこともある。そうなると専業の方に比べて、子供との時間が圧倒的に少なくなるのではないかというのです。たしかにこれは一理あります。

また基本的な話ですが、相手ゴールに駆け上がったり、自陣ゴールに戻ったりを繰り返しているとどうなるか。サッカーと一緒です。めちゃくちゃ疲れるのです。

ではなぜこの茨の道を歩んでいるのか。我が家の場合はとにかくキャリアを継続させることが共通した目標だと思っています。また個人的には今後の若い先生のために、こういう環境でもキャリアを継続し、業績を積めたという実績を作りたいという思いもあります。でももう少し楽したいなというのも本音です。これについては最後に触れます。

4: 子育て中の医師夫婦によくあるパターンをサッカーに例えてみる

私の周りでよくあるパターンで、夫がバリバリ働いて、妻が時短ないし非常勤バイトで週に数回働くというパターンです。夫が協力的な場合もあれば、実家の援助が得られる場合、援助もなく妻がほぼワンオペという場合まで、妻の負担に関しては幅があります。ただ共通しているのは妻の方が第一線を退いているということ。先にも触れた通り、そういう意味では2のパターン(夫が働いて妻が専業主婦になる)と大差はありません。

あとよくよく話を聞くと、やはり不満を持っている女性医師は多い気がします。また妻がバリバリ働いて夫が引くというパターンを聞いたことがないのも興味深い点です(これはあくまで私の周りのみですが)。

5: 夫婦で非常勤バイトしながら子育てする場合をサッカーに例えてみる

これはこの文章を書いていて思いついたパターンです。こういうケースもありだなと。

つまり2人ともディフェンスに回るという方法です。先にも書いた通り医師の場合、非常勤で週に2、3日、バイトをすれば十分に食べていけます。もし夫婦で同じように働けば大分、裕福に暮らしていけると思います。また働いている時間以外は自分の時間に当てられるので、子供の世話や家事をする時間も十分にとることができ一見、素晴らしい方法に見えます。しかしこの形態をとっている家族はあまり聞いたことがありません。

その理由は医師が働く目的にあると思います。少し前に画像の読影を専門とする放射線科医が自宅で好きな時に読影をするという働き方が話題になりました。その話を聞いた時に素晴らしい働き方だなと思ったのですが、放射線科の知り合いに聞いたところ、その方はこの働き方はしたくないと言っていました。その理由は、病院にいないから他の医師からのフィードバックが受けられるないから、また仮に読影が間違っていても誰も指摘してくれないからだそうです。

またよく研修医が終わったらバイトだけ月に2、3回だけすれば、月の大半は遊んで暮らしていけるんじゃないのという意見を言う人がいますが、大半の医師は安い給料の大学病院や、給料はいいかもしれないけれど大変に忙しい大病院で働かことを希望します。なぜか。やはり医師としての成長、キャリア形成を望むからだと思います。

サッカーで言うと、負けないけど勝てないというイメージでしょうか。個人的に、この働き方は子育てという面から見れば理想的かなとも思うのですが、なかなか浸透はしづらいかなとも思います。

6: まとめ

色々なパターンをサッカーの布陣に当てはめてみました。他の方の書いた記事を読むと私が主観が大分、入ってしまったなとか、間違っている部分もあるのだろうなと思ってしまったり。この投稿をきっかけに何かしら考える機会になってくれるとうれしいです。

7: 最後にボランチ夫婦を楽にするにはどうしたら良いか

さて、これまであげた夫婦の働き方ですが、いずれもメリットデメリットがあります。私たちが選んだ夫婦ボランチですが、やりたいことがやれている代わりにやはり厳しいことは厳しいです。それではどうしたら夫婦ボランチは楽になるのか。

いまの職場を決める時に上司と面談した際、共働き夫婦へのアカデミアの理解のなさを嘆いたことがあります。その時、上司には「時間が経ってリーダーが代わるしかないんじゃないの」と言われました。その時はなるほどと納得し、自分もその新しいリーダーになろうと思いました。しかしそれから約4年経ち、子供も産まれて周りをみてみるとそれは無理だろうなと思うようになりました。

この新しいリーダーについては長くなったので、次の投稿で触れていきたいと思います。長々、お付き合いいただき、ありがとうございました。

写真は冷凍つくねにクックパッドで作り方を知った照り焼きソースをからめたものです。

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