総合商社

総合商社とは何か

ここでは「総合商社に入社する為のHOW TO」なんていう事を記載するつもりはない。
私が当業界にいて感じた事をつらつら書いていくのみであり、総合商社への効率的な就職を目指す人が読むべき内容ではない事は事前に触れておく。

総合商社で得られるスキル
すごく抽象的な言葉になるが、間違いなく「嗅覚」が得られるスキルの一つである事は断言できる。
「嗅覚」を具体的に言語化する事は非常に難しいが、例えば「キーマンを見つける嗅覚」、「儲かりそうな商売を見つける嗅覚」、「会話の中で相手に刺さる言葉を上手くみつける嗅覚」が該当すると思う。

ご存知の通り、商社はクライアントにとってある種「単なるコスト」である。実際に商社勤務時代には、クライアントに価値を提供出来ていない社員も多く見てきたし、その方々は、漏れなくコストになっていたと思う。ただ一方で、当たり前であるがクライアントに価値を提供している商社マンは、一定数存在する。ただ残念ながらマジョリティはコストに該当する商社マンであると感じている。よく言う「パレートの法則」で、2割の価値を提供する商社マンが全社を支えている。というのが、人が商品である商社では如実である。
では、その差は何かというと、「嗅覚」が私の結論である。

私が大変お世話になった先輩商社マンは、新しいクライントを創る際にまず取り掛かっていた内容は、オリジナルの組織図の作成であった。相手が上場企業であれば、HPに組織図の情報が載っているが、大体は組織構成止まりであり、一定の管理職以下の社員の方々の名前は公開されていない。オリジナルの組織図とは、まさに細かく、現場レベルまで社員、もしくは社員数とキーマンを炙り出し、マップ化する事である。
これにより何が出来るかというと、新原料の提案を行う際に、適切・最適な提案ルートがクリアに、見えてくる。この規模間の原料提案であれば、決裁者は〇〇さんになるから、そのブレーンになっているこの人にまずは提案してみよう。等々である。
この作業において、「嗅覚」が求められるポイントは、やはりキーマンの特定である。商社は「初めまして」の面談で、これらの事を網羅的に行う必要があるが、簡単な作業ではない。最初の打合せでそこまで聞けないとなれば、それが伺える人は誰なのか、その人に会う為に次回のアポイントをどの様にして約束するか、という点までをものの1時間で考えないといけない。
この点が新規クライアントに対する所作において、明確に差が出る。

商社マンに限定した事ではなく、他業界の営業マンにも同じ事が言えると思う。
現在私はコンサルタントとして、クライアントと話をし、営業力改善の為に、営業マンとヒアリングする機会が多くある。業界は様々であるが、新規の顧客との打ち合わせで、「提案する商品の説明」という目的のみを実施する社員と、それ以外にも多数の目的を持って営業を行う社員との差は明確である。
「嗅覚」のポイントとは若干ずれてきている気もするが、言いたい事はどこに、どの様、どのタイミングで何をすべきなのか、という観点は非常に重要で、この点は商社で非常に鍛えられるスキルであると思う。

商社マンの市場価値
商社から転職活動を行い、コンサル業界に移籍した身として、実体験で商社マンの市場価値というのを肌身を持って感じた。
商社マンの転職活動におけるネガティブな点は以下二つ。

①給料が高く、それ以上でオファーしなければ来てくれないだろう、と思われる点。
②抽象的なスキルで、具体的なスペシャリティがない。

この二点に尽きると思う。
実際、商社マンの給料は高く、むしろ日本の労働市場で時給換算した際に、最も高い金額を叩き出す業界の一つであると思う。
転職市場では、前職の給料がどの程度か、というポイントは思っているより重視され、私もこれが理由でお断りを受けた企業が複数存在する。
さらに給料が高い一方で、スキルを明示する事が難しい。商社マンの強みは「人間力」という言葉を耳にする機会が多くあるが、そういう結論になるのも納得である。
ただ商社業界も変革期にあり、いわゆるトレーディングから事業投資にビジネスモデルの移行が実施されている。その為、事業投資の経験がある商社マンはこの限りではないだろう。私はトレーディングのビジネスしか担当した事がない。

ポジティブな点としては、やはり日本の労働市場では唯一無二の存在である事だと思う。
個人的には、商社とコンサルは似て非なる。と思っており、両社共に決まった商品・サービスを持ち合わせておらず、人が商品である。一方で、コンサルは明確なスキルをクラアイントに明示しており、いわゆる引きの営業である。一方で商社は押しの営業で、明確なスキルを明示しずらい環境である。その他プロフィットポイントの違い等存在する。
つまり商社マンはある種、自社の商品・明確なスキルを持たず裸で勝負する唯一のビジネスマンである。そんな環境で研鑽された人間は、業界関係なく魅力的に映る事は確かであろうと思う。

書いてると非常に長くなってきたので、続きはまた今度気が向いた時にでも記載しようと思う。
また、商社業界だけでなく、コンサル業界についても、また纏めて記載していこうと考えている。

初めてクラシックを聴きながら作業を行っているが、非常にはかどる。
実はクラシック音楽についても、2年ほど前にふと感じている考えがあるので、これもいつか書こう。

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