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2022/06/27 現在分かっているサル痘

(※今回の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
YouTube(医療系学生あつまれ!POC薬剤部)
GuridoRadioの内容
https://www.youtube.com/playlist?list=PLOua3kDTQ8BoPUZQTDIXSTBnLGEnJvccg

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
今皆さんは何をされているのでしょうか。
POCのぐりどらと申します。薬局で薬剤師として働きながら動画制作、音楽活動、体操を通じて皆さんの健康寿命を延ばしていこうといった活動をしております。

今日は「今話題のサル痘についての注意点」というテーマでお話ししたいと思います。

本題に入る前にお知らせをさせてください。

お知らせ!こんなことも僕やってます!

Note

YouTube(医療系学生あつまれ!POC薬剤部)
GuridoRadioの内容
https://www.youtube.com/playlist?list=PLOua3kDTQ8BoPUZQTDIXSTBnLGEnJvccg

で公開されています。是非皆様の利用しやすいものでご視聴いただければと思います。
よろしくお願いします。

【今回の参考文献】
国立感染症研究所HP
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-monkeypox-intro.html
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220621/k10013681681000.html

改めまして、POCのぐりどらと申します。
今日は「今話題のサル痘についての注意点」というテーマでお話ししたいと思います。

サル痘ってどんな病気?


サル痘とは、1970年にコンゴ民主共和国で初めてヒトでの感染例が報告されたサル痘ウイルスによる動物由来感染症です。
サル痘という名前ですが、サルも感染することがあるというだけで、もともとの宿主はネズミの仲間のげっ歯類ではないかと考えられているそうです。
サル痘ウイルスは新型コロナウイルスでいう所のデルタ株、オミクロン株のように、アフリカの異なる地域にそれぞれ別の系統が分布しています。
また、系統の違いによりコンゴ民主共和国などの中央アフリカのサル痘ウイルスよりも、ナイジェリアなどの西アフリカのサル痘ウイルスの方が病原性が低いことが分かっています。
これまでに報告されているサル痘患者の大半はアフリカからのものですが、近年はナイジェリアやコンゴ民主共和国などから報告されています。

サル痘の症状は?


サル痘は1980年に世界から根絶された「天然痘」に病態がとても良く似ており、症状だけでこれら2つの疾患を鑑別することは困難と言われています。
しかし、サル痘では人から人へ感染する頻度は天然痘よりも低く、また重症度も天然痘よりもかなり低いことが知られています。
オランダの症例では潜伏期間(ウイルスが体に入ってきて、症状が出るまでの期間)は平均8.5日。大体1週間くらいで症状が出てくるそうです。
アメリカで報告された症例では皮疹、だるさ、寒気、リンパの腫れなどが見られたそうです。
アフリカの症例では致死率が1~10%とされています。これは現在も流行している新型コロナウイルスの致死率が0.3%なので非常に高い数値ではあります。(致死率は累積陽性者数と累積死亡者数で計算しました)しかしながらサル痘の患者数が少ないので非常に高くなっている可能性も考えられますので今後下がることもあるかもしれません。また、2003年にアメリカで集団発生しましたが、その時には死亡例はありませんでした。

なんで急に流行っているの?


先ほどもお話ししたように、サル痘は天然痘に病態が似ています。その天然痘ですが、1980年に根絶、世界中からなくなったと言われています。天然痘は致死率が非常に高い病気でワクチンなどの対策がされていたのですが、天然痘の根絶後、種痘の接種歴のある人が減っていることでサル痘患者が増加してきているのではないかと懸念されていました。
簡単に言うと、今までは天然痘ワクチンを打っていたから落ち着いていたが、打っていない人が増えてきたから注意が必要、と言うことになります。

サル痘の予防は?


サル痘は「サル痘ウイルスを持つ動物に噛まれる、引っかかれる、血液・体液・皮膚病変に接触する」「サル痘に感染した人の飛沫を浴びる(飛沫感染)」「サル痘に感染した人の体液・皮膚病変(発疹部位)に触れる(接触感染)」によって感染することが分かっています。
ワクチンに関しては、天然痘ワクチンが有効と言われています。コンゴ民主共和国でのサル痘の調査では、天然痘ワクチンを接種していた人は、していなかった人よりもサル痘に感染するリスクが5.2倍低かったと報告されています。
しかし、1976年以降日本では種痘は行われていませんので、昭和50年以降に生まれた方は接種していません。
イギリスでは、今回の流行を受けて、サル痘ウイルスに曝露するリスクの高い性的活動性の高い男性に対して天然痘ワクチン接種を推奨しています

注意するべき人たち


注意するべき人は20歳から40歳の比較的若い男性です。
このデータを見てください。

イギリスで報告されているサル痘患者の年代と性別
(UKHSA publication gateway number GOV-12598)

これはイギリスの症例データですが、症例の多くが先ほど挙げた20歳から40歳の男性に集中しており、女性の報告数はわずか3例になっています。
その理由として、今回の感染者のうちゲイやバイセクシュアルなど男性と性行為をする男性の間で発生したケースが多いと言われています。
790症例のうち、女性はわずか3例。ほぼ100%が男性と言っても過言ではないでしょう。
また、ペットショップの店員さんは注意するべきかもしれません。と言うのも先ほど説明した2003年のアメリカの集団感染はペットとして輸入された小動物(プレーリードッグ?のようなげっ歯類と言われています)を介してアメリカにウイルスが持ち込まれ、71人が感染したと言われています。


世界各国の対応は?日本は大丈夫なの?


世界各国の対応としては6/23にWHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるかどうか検討されました。この「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」は「他の国々に公衆衛生上の危険をもたらすと認められ、緊急に国際的な調整が必要な事態が発生したとき」に宣言が出されます。
これは英語で「Public Health Emergency of International Concern」というもので、頭文字をとってPHEIC(フェイク)と呼ばれ、過去6回、出されています。
ちなみに過去にPHEICが出された事例は2009年の新型インフルエンザ、2014~2016年のエボラ出血熱、2014年のポリオ、2016年のジカ熱、2018~2020年のエボラ出血熱、2020年の新型コロナウイルスです。
少し大げさかもしれませんが、新型コロナウイルスと同様に注意しなければならない感染症かどうかを決めている最中です。

最後に


現在わかっている範囲では感染の拡大は殆ど男性同士での性的接触になります。専門家の意見としては、「新型コロナウイルスのように広まるものではない。直接の体の接触が主な感染経路であり、講演会の会場のような場所で広がるようなことはない」と言うものがあります。
ですが、新型コロナウイルスのように様々な形にウイルスは変異していきます。感染経路としては飛沫感染もするとのことなので、またマスクが離せない状況が続くかもしれません。
また野生動物の間で感染が広がってしまうと完全に排除することは難しくなります。
皆さんそれぞれが気を付けていきましょう。

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