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還りたい私


私にとって親は
心配をかけてはいけない存在だった
どの家庭でもあるようなことだけど
育つ過程で家にいろいろあったり
兄がやんちゃだったり


大人になって
兄と電話で話していて
お互いの親に対するイメージが違うので
驚いたことがある
そう、兄にとって親は
何があっても守ってくれる存在だった


28歳のとき母が具合悪くなって
親子関係は逆転し
私にとって親は
私が守る存在になった
それは亡くなったあとでも変わらない


それが最近
子どもの頃の何気ない日常の風景が
頭に浮かぶようになった
家族と過ごす団欒
ひとり遊ぶ雪の日
それはささやかな幸せの日常


そして今日
また母との子どもの頃の一コマを思い出した
そのとき、ふと思った
そうだ、私はこの時に還りたかったんだ


いつまで経っても
本来、母は母で子どもは子ども
そんな関係に戻りたかったんだ
肝心の親はもういないけど
大切なのは自分の中
安心した私から涙が溢れてくる


ずっと辛く悲しい思い出が大きくて
それ以外のことが見えなくなっていた
母も病気になってからの
子どものような母しか思い出せなかった


でもこれからは
若く元気な母が私の中にいて
私はどこか子どものような安心感とともに
過ごせそう
肩の力も抜け思い切り腕も動かせるかも
もうしっかりしなくていいんだから
その分きっと愉しめる
ヒャッホーなのだ



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