デジタルプロダクトデザイナーの観点からみるWeb3の世界
久々にnoteを開き記事を書いてみました。こにちは、ゆめみでデザイナーをしているTsubasaです。
約1年ぶりに書くこの記事はYUMEMI Design Advent Calendar 2023の記事になります。
なので、堅苦しく書かずにゆるく書いてます。
2023年の1年間、ゆめみでクライアントのサービスやプロダクトを支援しながらNFTのプロダクトを社内で開発していました。
開発しプロダクトをリリース後に見えて来たデジタルプロダクトデザイナーの観点からみるWeb3の世界についてゆるく記していこうと思います。
インターネットの進歩
まず、インターネットの歴史から紐解いてみたいと思います。
(今更感あるけど)
インターネットの歴史を振り返るとここ数十年で飛躍的に進歩していると言えます。
進歩の要因としては技術革新と社会的変化の両方を反映しているのではないでしょうか?
ARPANETの誕生 (1960年代末)
アメリカ国防総省の高等研究計画局(ARPA)が、ARPANETと呼ばれる最初のネットワークを開発。これがインターネットの前身。TCP/IPの導入 (1983年)
トランスミッション・コントロール・プロトコル(TCP)とインターネット・プロトコル(IP)が開発され、インターネットの基礎となる通信規約として採用される。World Wide Webの誕生 (1989年)
ティム・バーナーズ=リーがWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)を発明。これにより、インターネット上で情報を簡単に共有できるようになりました。ブラウザの登場 (1990年代初頭)
最初のウェブブラウザ「Mosaic」が登場し、一般の人々にもインターネットの利用が広がった。検索エンジンの進化 (1990年代後半)
Googleなどの検索エンジンが登場し、インターネット上の情報を効率的に検索できるようになりました。ソーシャルメディアの台頭 (2000年代初頭)
Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアが登場し、オンラインでのコミュニケーションと情報共有が一般化。スマートフォンの普及 (2000年代後半)
iPhoneをはじめとするスマートフォンの普及により、インターネットへのアクセスがいつでもどこでも可能になった。クラウドコンピューティングの発展 (2010年代)
Amazon Web Services(AWS)などのクラウドサービスが普及し、データの保存や処理がインターネット上で容易になりました。IoT(モノのインターネット)の拡大 (2010年代後半)
インターネットが家電製品や自動車など、さまざまな「モノ」に組み込まれ、日常生活に深く浸透。5Gの展開 (2020年代)
5Gネットワークの展開により、より高速で安定したインターネット接続が可能になり、新たな技術革新が期待されています。
通信技術を起点に情報の流動性を創り、更に向上させるためにハードウェアが進化し、新たなサービスが生まれ社会現象にもなったと思います。
この点は聞こえはとてもいいですが、この流れの転換点では様々な心理的なバイアスがある中で徐々に一般化していったと思います。
インターネットの進歩とデザインの関わり
ただ、技術革新や社会的変化の影には必ずそこもはデザインの力も作用していると思います。
特にインターネットの歴史とデザインプロセスの関わりは、UXの進化を通じておこったことだと歴史を振り返ると思います。
極端な話しをすると、デザイン思考は、ユーザー中心のアプローチを重視し、技術の発展と伴って変化するユーザーニーズに応えるための重要な手法の一つです。
そのため、技術革新と社会的変化によって進歩してきたインターネットとは切り離せないのではないでしょうか?
ARPANETの誕生
初期のインターネットは、主に軍事や学術目的で使用されていました。この段階では、ユーザビリティよりも機能性が重視されていましたが、ユーザーのニーズを理解し、それに応えるデザインの重要性が徐々に認識され始めた。TCP/IPの導入
この技術革新は、異なるネットワーク間の通信を可能にしました。 デザインプロセスでは、異なるシステム間の互換性と使いやすさを考慮する必要が出てきた。World Wide Webの誕生
ウェブの登場は、情報のアクセスと共有を大幅に容易にしました。 これにより、ウェブデザインが重要な分野となり、ユーザーインターフェース(UI)とUXの設計が中心的な役割を果たすようになった。ブラウザの登場
ブラウザの普及は、一般ユーザーにインターネットを開放しました。 これにより、より直感的で使いやすいUIの設計が求められるようになった。検索エンジンの進化
効率的な情報検索のために、シンプルで直感的な検索インターフェースのデザインが重要になった。ソーシャルメディアの台頭
ソーシャルメディアの普及は、オンラインコミュニティとインタラクションのデザインに新たな次元をもたらした。スマートフォンの普及
モバイルデバイスの登場により、レスポンシブデザインやモバイルファーストのアプローチが重要になった。クラウドコンピューティングの発展
クラウドベースのサービスは、アクセシビリティとユーザビリティの観点から、シームレスな統合と使いやすさを重視したデザインが求められるようになった。IoTの拡大
IoTデバイスの普及は、物理的な製品とデジタルインターフェースの統合を必要とし、ユーザーエクスペリエンスの設計に新たな課題をもたらした。5Gの展開
高速な通信技術により、リアルタイムでのインタラクションや新しい形式のメディア(例えば、AR/VR)のデザインが可能になった。
ここまで、インターネットの歴史とデザインの関係性について記してきましたが、この流れはWeb3という新たな概念がインターネットのように普及する際の流れにも似ている所があると考えています。
また、世間にWeb3という新しい概念が登場し、技術革新や社会的変化が起こるときには必ずデザインにも影響があると考えています。
Web3とこれからのデザイン課題
ここからは仮説になりますが、Web3が普及すると仮定した場合、デザインはまた新たな局面を迎えるのではないかと思ってます。
Web3は、分散型技術、ブロックチェーン、暗号通貨、NFT、スマートコントラクトなどを基盤としているため、今後UXやUIの設計に新たな課題をもたらすのではないかと思っています。
ユーザビリティの向上
現在のWeb3アプリケーションは複雑で、一般のユーザーには理解しにくいものが多いです。そのため、より直感的で使いやすいインターフェースの設計が求められる。教育とガイダンス
ブロックチェーンや暗号通貨などの概念は多くのユーザーにとって新しく、理解が難しいものです。デザインにおいては、教育的な要素を取り入れ、ユーザーがこれらの新しい概念を理解しやすくする必要がある。セキュリティとプライバシー
Web3はセキュリティとプライバシーを重視しています。ユーザーが自身のデータや資産を安全に管理できるように、透明性と信頼性の高いデザインが求められる。アクセシビリティ
さまざまなユーザーがWeb3テクノロジーを利用できるように、アクセシビリティを考慮したデザインが重要になる。インタラクティブなエクスペリエンス
Web3は、よりリッチでインタラクティブなオンライン体験を提供する可能性を秘めています。そのため、AR/VRなどの新しい技術を活用した体験の設計が求められる。クロスプラットフォーム対応
Web3アプリケーションは、デスクトップ、モバイル、タブレットなど、さまざまなデバイスでスムーズに動作する必要がある。コミュニティとの協働
Web3はコミュニティ主導のアプローチを取ることが多いため、ユーザーのフィードバックを取り入れ、コミュニティと協力しながらデザインを進化させる必要がある。
上記の仮説を踏まえるとUIやUXデザイナーの需要は更に高まると同時に新たな概念やテクノロジーを活用したデザインが必要となるためデザイナーとしてのハードルも両職種にたいしては高まる気がしてます。
ここまでは、これからこんなデザインの課題が出そうだよねとう話しでしたが、更に詳しく記すと以下のようなことが求められると考えています。
ウォレットを中心としたインタラクション
Web3では、ウォレットが主要なユーザーとシステムの接点となります。 ウォレットの操作が直感的でなければ、ユーザーはWeb3のエコシステムに参加する際に困難を感じます。したがって、ウォレットのUXデザインは、ユーザーがスムーズにシステムにアクセスし、操作できるようにするために非常に重要となる。複雑性の簡素化
現在のWeb3技術は、多くの場合、平均的なインターネットユーザーにとっては複雑で理解しにくいです。この複雑性を簡素化し、よりアクセスしやすくするためには、UXデザインが中心的な役割を果たすと思われます。ユーザーが直面する問題を理解し、それを解決するための直感的なデザインが求められます。Web2とWeb3の統合
Web2とWeb3の相互活用は、異なる技術とプラットフォーム間のシームレスな体験を提供する必要があります。この統合をスムーズに行うためには、UXデザインが鍵となります。ユーザーが異なるシステム間を移動する際の摩擦を最小限に抑え、一貫性のある体験を提供することが重要になります。NFTの活用
NFTは、デジタルアート、ゲーム、メディアなど多岐にわたる分野で利用されています。NFTを活用したサービスを設計する際には、単に技術的な側面だけでなく、ユーザーがどのようにこれらのアイテムを体験し、価値を見出すかを考慮する必要があります。これは、UXデザインが特に中心となる領域になります。教育とガイダンスの提供
Web3の概念や技術を新しいユーザーに教えるためには、教育的なアプローチが必要になります。UXデザインは、ユーザーが新しい情報を理解しやすい方法で提供することが今よりも重要になってきます。
NFTのプロダクトをリリースして見えてきたこと
ここまで、インターネットの歴史から紐解いてデザインの関わりやWeb3における今後のデザインの課題やUIやUXデザイナーの需要の高まりを仮説も交えて記してきました。
2023年にクライアントワークを行いながらプロダクトをリリースして見えてきたこととしては….
これからはUIも重要だけどUXがより重要になる
これは、リリース後に様々な方から問い合わせを頂き、新たな企画を練る中で感じたことですが、Web3の中で使われている技術はあくまでツールにすぎず、ツールとシステムを複合的に考えビジネス的なエコシステムとシームレスな体験を考える必要あると思ったからです。デザイン思考の重要性の増す
正直、Web3が普及するのはまだ先の話しだと思うし、もしかしたら普及せず別の形態になるかもしれなが、現状のWeb3の仕組みはとても複雑だと思います。 だからこそ、技術的な複雑さをデザインでユーザーにとって理解しやすいものにすつためにはデザイン思考またはデザインという営みの重要性が増すと考えています。組織もサービスもコミュニティベースになる
Web3の話題が出る中で最近多く目にするDAOの話がありますが、Web3自体が分散型ネットワークなので、それを活用しようとするとサービスも組織もDAOもコミュニティベースになる考えています。しかし、コミュニティは簡単には作れません。よってコミュニティマネージャーなどの重要性が高まったり別のサービスが生まれる可能性もあるのではなでしょうか? (DAOがこれまでの組織形態にどんな影響を与えるか?はまた今度…)
リリースしたプロダクト
Web3の一般化に親和性の高いそうな業界
これは、個人的な仮説なので信憑性ないと思いますが、異業種の様々な人とお話した中で僕が思ったことです。(界隈だとそう言われているよねという内容も含まれてます。)
金融サービス
分散型金融(DeFi)は、伝統的な銀行業務に代わるものとして注目されるかも。アートとエンターテイメント
NFT(Non-Fungible Tokens)によるデジタルアートや音楽の所有権の管理が注目されている。ゲーム業界
ブロックチェーンベースのゲームやNFTを活用したゲーム内アイテムの取引が拡大するかも。サプライチェーン管理
透明性と追跡可能性を提供するブロックチェーン技術は、サプライチェーン管理に革命をもたらす可能性があるかも…不動産
不動産の所有権や取引の記録にブロックチェーンを使用することで、より効率的で透明な取引が可能になります。また、NFTを鍵として活用することに注目が集まるかも…ヘルスケア
患者のデータ管理や医薬品の追跡にブロックチェーン技術を活用することで、カルテの情報連携やセキュリティ問題の解消に繋がり、注目されるかも…教育
認証や学歴の管理にブロックチェーンを使用することで、より透明で信頼性の高いシステムが構築でき、活動内容が転職活動などでも利用され、注目されるかも….
最後に
プロダクトデザイナーの傍ら、取締役(デザイン担当)をしていますが、ビジネスもデザインもアートも好きです。テクノロジーや日常・業務の課題から新しい価値を発見しビジネス化するのにも興味があります!最近はBtoB系のサービスが気になっているので、もし興味がある方がいらっしゃいましたら、ビジネスやプロダクトデザインやアートの話しを聞かせてください!
X:https://twitter.com/guri_283
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?