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デザイン態度でろくろを回せ@Designship2021

※こちらはDesignship 2021でスポンサー枠で登壇させて頂いた資料です。

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https://design-ship.jp/2021/session

Sponsor Speakersとして、デザイン活動を支える組織文化についてお話しました。役職についていない私が、組織のことについてお話するのは少々烏滸がましいかなと思いつつ、ゆめみで行ったデザイン態度の作成を通して気づいたことや、デザインと言う取り組みはデザイナーだけのものではなく、様々な人が組織内で出来ることではないか?という問を投げかけられるような内容にしたいと思い登壇させていただきました。

また、デザイン組織やチームづくりをしている人やデザインという活動を広げるために奮闘しているデザイナーや、デザインに少しでも興味がある方にデザイン態度について少しでも知って貰えればと思い書いています。

概要

ゆめみに入社した直後に始まった、会社全体に関わるプロジェクトを中心に、組織全体の制度や概念の整理から、ゆめみが大切にすべきデザインに向き合う際の姿勢とはなにか?を考え作成したアウトプットの話しを陶芸の所作を交えてお話します。
組織の中でまだまだ広義なものとして捉えられていないDESIGNを、どのように受け入れ、組織文化としていくかやその受け入れ環境を作る際に大事なことを実体験を元に共有します。


デザイン態度でろくろを回せ

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ごあいさつ

みなさん、はじめまして!
株式会社ゆめみで、デザイナーをしている田中翼と言います。
今回は、「デザイン態度でろくろを回せ」と題して、デザイン活動を支える組織文化についてお話します。

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ますは、簡単に自己紹介。2011年にデザインファームzibaに入社。大小様々なプロジェクトに携わり、その後、スタートアップや事業会社を転々とし、今年の7月に株式会社ゆめみにシニアサービスデザイナーとして入社しました。


なぜ、組織文化の話をするのか?

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今回なぜ…役職がない私が、組織文化の話しをするかというと....
デザイン態度と組織文化というものは密接な関係があり、組織の中で文化を醸成している私たちだからこそ無関心ではいけないからです。


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私がそう思うようになったきっかけは、様々な会社を転々とする中で、デザインに対するギャップを感じたからです。

ちなみに、みなさんの中でこのような経験はありませんか?

・すべてが決まってからタスクが降ってくる
・無理難題が多い(無茶振りの嵐)
・「いい感じにお願い」と言われる
・見た目を作ることへに対する期待値しか持たれていない


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いくつかの会社を歩んできた中で「スタイルとしてのデザイン」を期待する会社が多いと感じました。
そんな中で、「本来のデザインはこの部分なのか?」という疑問が生まれ、それと同時に、1人のデザイナーが出来ることにも限界を感じました。


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その気付きから、徐々に個人からチームに興味が広がり、現在は、組織やその文化に興味や関心が強くなったといった感じです。


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 これからお話する「デザイン態度」はデザイナーだけのものではありません。しかし、デザイナー達が持ち合わせているものでもあります。


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組織やチーム作りをしている方、デザインを広げるために奮闘しているデザイナー、デザインに興味のある職種の方、そういった方々に、デザイン態度について少しでも知っていただければ嬉しいです。


デザイン態度作成のきっかけとプロセス

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デザイン態度の作成は、ゆめみに入社後に代表の片岡からもらった、Slackメッセージがきっかけとなり、右も左もわからない状態でしたが、「なんか面白そう」という直感でプロジェクトに関わることにしました。


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簡単にプロセスをご紹介すると、「向き合うことへの理解」として4つの理解を深め、そこから得た情報を基に社内のメンバーからFBをもらい要素を抽出し「デザイン態度を作成」しました。
その後は、作成したものを組織の方針策定チームにプレゼンと言った流れで行いました。


デザイン態度とは?

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タイトルにもありますが、先程から出てくる言葉、「デザイン態度」これは何だとおもいますか?
正直、これを聞いてもピン!とこない方が大半だと思います。
私も、この言葉を聞いた時はみなさんと同じようにピン!ときませんでした。
私が、この言葉の理解を深めるきっかけとなった本があります。
その本にはこのように書かれていました。


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この本の内容から、私はデザイン態度を..「デザイン活動を支える組織文化」と捉えました。


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本に書かれていた「風土」を「組織文化」と捉えたのは…
外部から影響を受けにくい「風土」ではなく、時代の影響を受け徐々に変化する組織文化の方が、適していると思ったからです。


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突然ですが、「うつわ」とは何だと思いますか?


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私は、「デザイン活動に取り組む際の姿勢」を受け入れるための組織文化が
器だと考えています。


デザイン活動を支える器づくりに必要な4つの力

では、デザイン活動を支える器づくりには何が必要でしょう?
過去の実体験から大事なポイントを4つお話します。

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器づくりには、原動力が必要です。
ここで言う「経営層のコミットメント」とは経営層の支持を得るということです。

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具体的には…
・経営層自身がデザインの活動に対して組織的に価値を見出していること
・創造的な活動やその旗振り役に対してきちんと予算や権限が付与されていることです。

過去の失敗として、この2つがない状態で進めた結果、消費されるコンテンツになってしまったという経験があります…


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デザイン態度とは「デザインのプロフェッショナル集団が持つ組織文化である…」とご紹介しましたが、既存の組織文化を無視して言い訳ではありません。

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まずは...

組織がどのような「構造」なのか?
また、組織内にはどのような「制度や理論、手法」が導入されているのかを知ることが重要です。

これは、私がゆめみの全体像を把握するため作ったものです。
このように、視覚化することで組織の意図や関連性を俯瞰して見ることができます。


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他の職種の人がどのような考え方をしているか、何を大切にしているか、それはわかりません。
例えば、お互いに理解がない状態で、あるべき論を話してしまうと、お互い反発し合うだけになってしまいます。

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まず、他の職種を理解するためには...

「他のメンバーがデザインをどう捉えているのかを観察し対話する」ことが大切です。


以前ここを怠った結果、デザインを広げる際に、協力関係が上手く構築できなかったことがあります。

冒頭でもお伝えしましたが、

デザイン態度はデザイナーだけのものではありません。

閉じたなものにしないためにも、職種間でお互いの専門性を理解することが重要です。

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成果が出しづらく、数字として現れにくいため、評価がされにくい活動ですが、デザイン活動を支える器づくりにおいてはもっとも重要な要素です。

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人によってやり方は様々ですが、私の場合は...

・とりあえず、様々な職種の人と一緒に何かを行い実体験を生む
 例えば...
Notionを一緒に整理するや資料を一緒に作るでもいいです。
どんなに小さなことでもいいので一緒に何かをやることが大切です。

・センシングと言語化を使い、相手の思いや考えを視覚化する
例えば...
会議で視覚化をする役を担うであったり、UIであれば、ちょっとした雑談で出た内容をアウトプットするでもいいと思います。
大事なのは、相手の思いや考えを視覚化しデザイン観点から気づきを与えることです。

その際に意識することとして、可能な限り相手の土俵に立ち、相手が使うフレームを使い、そこにデザインというエッセンス加えることを大切にしてきました。

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このように、デザインの啓蒙活動は、地道で労力が必要なものです。

しかし、凝り固まったデザインの認識を少しづつ紐解いていくことが共感を生む第一歩となります。

こういった、地道な活動からデザインの認識を変え出来ることを増やし、徐々に共感の輪を広げることで、デザインに対するハードルを下げる効果もあります。
もちろん、専門性が必要な部分もあります。
顧客視点で「もの」「こと」を考え体験に落とし込む部分であったり、UIであれば情報の設計部分であったり、コンセプトの世界観を表すビジュアルやまだ想像もつかない未来の「もの」や「こと」を生み出す部分などはまだまだ専門性や特有の情熱が必要です。


ゆめみのデザイン態度ドラフト版の作成

器づくりに必要な4つの力を踏まえ、ドラフト版ですがゆめみのデザイン態度を作成しました。
そのアウトプットがこちらになります。

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あくまで、暫定的なものなので今後もアップデートする予定ですが、この5つのデザイン態度をゆめみで作成しました。


ゆめみのデザイン態度ドラフト版の作成を通して気づいたこと

この、デザイン態度作成を通し、私が気づいたことは…

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デザイン態度でろくろで回せということです。
どういうこと?思う方が多いかと思いますが...


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陶芸とデザイン態度は、その所作やプロセスに共通する点がいくつもあると思ったからです。

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陶芸は柔らかい土を使って形がつくられ、組織文化は人材という変化するものを基につくられます。


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例えば、陶芸の場合…
形を変化させるためには「ろくろ」の「回転スピード」や「手先のちから加減」が重要になってきます。
同様に、デザイン活動を支える器作りにもいくつかの力が必要です。

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1:土台から生み出させれるちから
企業や組織の構造や制度


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2:変化するものを支える力
様々な専門職の姿勢や実行するためのスキル


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3:内側から変化させるちから
組織内における各職種によるデザインへの共感


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これら、3つの力がデザイン態度という器を作る時に影響しあいます。
しかし、これだけでは形はつくられません。
形を作る為にはもう一つ必要です。それは…


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つくりてを動かすための原動力となる「経営層のコミットメント」です。
この力があることで「ろくろ」が回り様々なちからが生み出されます。


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陶芸の所作に置き換えると、このようなイメージです。
このような4つの力の作用によって、作られるもの… 
 それが…


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デザイン活動を支える器です。


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器は、食卓を引き立てる重要な要素です。


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デザイン態度も組織を引き立てる器です。


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その器には様々な「スキルを持った人」や、「デザイン思考やアジャイルと言った手法」「フレームワークやデジタルツールと言った道具」が盛り付けられます。


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盛り付けされたその器は、誰もがデザイン活動を出来るようにするための受け入れ環境として、組織内に存在するのではないでしょうか?


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このような考えから私は…
「陶芸の所作=デザイン態度」捉えています


私の考える「回る」ゆめみの組織

最後になりますが、私が考える「回る」ゆめみの組織についてお話します。

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陶芸は回りますが、彫刻はそれ自体が固定され動きません。
回る組織は何某かの態度があり、動かない組織はなにかが固定されています。


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今ある、多くの組織にはデザイン態度がなく、構造や制度、文化、人材、などが環境や事業の状況に合わせ削られ最適化され、出来上がったものではないでしょうか?


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ゆめみが目指しているのは、固定され削られる、彫刻的な組織ではなく...


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外の力を柔軟に受け入れ、形を変える陶芸型の組織と考えています。


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最後となりますが...
デザイン態度は、デザイナーだけのものではありません。


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様々な職種が、デザインに向き合えるようにするための組織文化であり...


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デザイナー達が、デザインに取り組む際の「姿勢」です。
今、このような時代だからこそ、スペシャリストの姿勢を知り組織としてその姿勢を受け入れることが、今後、重要なってくると考えています。

ありがとうございました!



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