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私事ではありますが56

雨である。
小樽市民が狂喜乱舞したりしなかったりする潮まつりだというのに。
私はしない派である。
潮まつりの期間中は大体仕事をしているのであった。

花火大会の後は渋滞がすごい。
むしろそっちが名物である。

雨が降っている。

仕事の話が噛み合わない人ってどこにでもいる。
定期的に遭遇する。
相手にとっては「さざなみさんは何言ってるかわからない」だろうが私にとっても「貴様が何を言っているのかわからない」となる。
相手の仕事がどこまでか確認すればわかりやすいと気づいた。

諍いのない職場などあるわけもなく、いろいろな話を聞いている。
余計なことを言いがちなので先輩に「私は誰にでもいい顔しますからね!」と謎の先手を取った。
しかし、これを公言するのとしないのとでは雲泥の差が出る……と思っている。

仕事を悉くミスっていることに今日気づいたが後の祭りってやつである。
今後気をつけよう。

以前一緒に働いていた後輩にLINEを送った。
ここではT君としよう。彼が働いている職場に動きがあると、情報筋から仕入れたのだ。
彼は「メガネ、長身、(多分)理系、偏屈、ひねくれ」という私の大好きなタイプの人間だ。明け透けに言えば若干コミュ障でもある。
ほぼdisりのように聞こえるだろうが、彼は非常に優しい男である。
気の利くところもあるし、誰よりも周りを見ている。
しかし表現が不器用すぎて誤解を生みそうなのだ。
照れ隠しと予防線のためなのか、不機嫌そうに「〇〇やりゃいいんすよね(訳:忙しそうなので私が〇〇やっておきますね)」みたいな言い方をする。
それなのに「さざなみさんいい人そうだから、本当に無理しちゃダメっすよ」とか言う。チョロい私は「こいつ……かわいい後輩め!!!」と贔屓にしていた。
前職場で付き合いがあったものの、時々元気らしい、という話を多分お互い人伝てに聞いて、本格的な安否確認をせず今日まで過ごしていた。
確か最後に会ったのは、前職場に遊びに来てくれた時だ。
初めて会った時から、彼はいつも思い詰めた顔をしていた。新卒で働いた会社が合わず(確かブラックな会社だったと記憶している)、調子を崩していた。
数年前久しぶりに会った彼は、やはり思い詰めた顔をしていた。
「あれ!T君じゃあないか!」と声をかけると恥ずかしそうに「見つかっちゃいました?」とはにかんだ。
新しい職場はどうだい?と聞くと表情が曇る。
「ま、仕事なんざ失敗したって死ぬわけじゃないんだからさ!」
私は能天気に言った記憶がある。その当時、私は前職場で手放しにうまくいっていたわけでもなかった。
それに私自身、仕事上の問題が山積しているような状況に少し参っていた。己に言い聞かせるのと同じ気持ちではあったのも事実だ。
その日の夜、T君からLINEが入っていた。
「失敗しても死ぬわけじゃないって言ってもらえて救われました」のような内容だった。
責任感が強いがために、そして正義感も強いT君はきっと生きにくいと感じることがあったのかもしれない。
どことなくぶっきらぼうに、しかし気を回して仕事をする彼が私は大好きだ。
しばらくしてから、T君が系列の職場で働いていると知った。
そして今日に至る。
ラインの返事は「今もその職場での仕事は続いていること、いろいろあるけれどなんとかやっている」という内容だった。
律儀な彼は「退職する前に挨拶に伺いたかった」とも言ってくれた。
私が不精なために連絡をしなかったのが悔やまれる。
これからのT君に幸多からんことを。そして「死にゃしない」をお互い忘れずに生きていこうと思った。

至極眠たい。
そして今日も今日とて仕事である。

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