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パスタとスパゲッティ

パスタとスパゲッティの境目とはどこなのか。
先日の記事でスパゲッティについてコメント欄で話をしていたが個人的には「お前はパスタ」「お前はスパゲッティ」「お前は……なんだ?」の三種類に分類されると思っている。

まずはソースの種類だ。
たらこ(明太子を含む)、ナポリタン、和風(ツナと大葉とか)は間違いなくスパゲッティ。
カルボナーラ、四種のチーズパスタ、アラビアータ、ボンゴレ、スープ、などはパスタ。
ニョッキ、クスクス、ラビオリは理解するまで「なんだお前は」である(余談だが間違えてニョッキをニャッキで検索したためかわいいイモムシのクレイアニメが出てきた)。
この違いはなんなのか。
まずはスパゲッティとパスタの違いだが、パスタは小麦粉を練った食品の総称でありスパゲッティは一形態を指していることは有名である。
麺類を愛する諸兄姉におかれてはこのような議題はあくびが出るほどに退屈なものと思われる。が、パスタ=スパゲッティの気取った呼び方などと勘違いしている者が、令和も6年を過ぎて未だ存在することは看過すべきではない、憂慮される事態と捉えることができるだろう。
思わず熱くなってしまった。私はFSM教を信仰しているので仕方がないのだ。
○○スパゲッティーの料理名は、スパゲッティを用いたパスタ料理のことである。
そして先述した、たらこ(明太子を含む)、ナポリタン、和風(ツナと大葉とか)は基本的にスパゲッティで提供されることが多い。
私が見たことがないだけでペンネのナポリタンとか、フィットチーネの明太子パスタとかマカロニの和風ツナ大葉パスタがどこかにあるかもしれない。
それに引き換え、カルボナーラや4種のチーズパスタなんかはフィットチーネの時もあるし、アラビアータもショートパスタで出てくることがある。この辺りは4種のチーズパスタ以外、麺であることすら伏せられている。
スパゲッティを用いたパスタ料理は日本生まれ、日本育ちのものが多い気もする。
これはきっとスパゲッティが日本のパスタ界の古参なんだろう。Wikipedeiaを読むとやはり古参のようだ。
確かにギリ昭和生まれの私の実家には頑張ってもマカロニ、後はスパゲッティしか置いていなかった。パスタに種類があることを知ったのは相当大人になってからだ。
あのラザニアだってパスタだし、マカロニもだってパスタ、スパゲッティもパスタ、ファルファッレもラビオリもパスタだ。ラビオリなんて具が入ってる。
ファルファッレはかろうじて見た目(デュラムセモリナ感)でパスタとわかる。
ラビオリ、お前はもう具が入ってるじゃないか。具が入っているのにそのカテゴリはどうなんだ?

日本の麺類はうどん、そば、そうめん、ひやむぎ、ほうとうやきしめんなんかもある。
よく考えると、小麦粉を練って作ったものの総称がパスタと呼ばれる。
ということは、イタリア人からするとうどんだってほうとうだってきしめんだってパスタ。
あまりにも乱暴じゃないか。
うどん、ひやむぎ、そうめんの違いは太さである。
あのスパゲッティだってカッペリーニ、スパゲッティーニ、スパゲッティ、リングイネ、フィットチーネなど想像するスパゲッティが本当はどの種類なのか意識していなかった。流石にフィットチーネが出てきたら「珍しい、フィットチーネだ!」と思うが、これは1.8㎜なのでスパゲッティだなと思いながら食べることは稀だ。
Wikipediaによると、毎日のように新しいパスタが生まれているらしい。
恐るべしパスタの繁殖。そしてパスタへの情熱。
日本人も確かに麺類への情熱は熱い方である。
他の国から来た麺類であるラーメンだって日本流にアレンジして国民食と言えるほどの人気だ。
パスタ料理もイタリア人が見たらびっくりするようなものがあるという。ナポリタンなんてその最たるものだ。
ケチャップをかけて炒めたスパゲッティなんてふざけている、と思われても仕方ない。しかし、海苔をご飯の内側に敷いてアボカドとサーモンとよくわからないマヨっぽいソースを巻いたものだって、今ではれっきとした寿司だ。れっきとしてるかは微妙かもしれないが。アメリカでも日本でも最早メジャーな寿司になった。
いつかナポリにもナポリタンをウリにしたレストランができるといいなぁ。

ナポリタンを例にとって、ペンネのナポリタンは存在するのかを調べてみた。もちろん存在した。
じゃあたらこソースのペンネは?と思い調べるとあるにはあったがナポリタンより少ない件数だったように見える。
調べ方にもよると思うが、やはり彼らはスパゲッティとして、スパゲッティで作られる機会が多すぎたのではないだろうか。
喫茶店やレストランで「ナポリタンください」「たらこパスタ一つ」と注文して、「ペンネのナポリタン」と「ファルファッレのたらこパスタ」が出てきたら些か面食らうだろう。麺だけにというわけではなく、なんとなく釈然としない気持ちにならないだろうか。私は釈然としないし、かつ丼を注文してソースかつ丼が出てきたのと同じくらいショックを受けると思う。
嘘は……嘘は吐かれていないけど……。と二日くらい引きずるだろう。

昭和は遠くになったし、最近では平成ですら遠くなり始めた。
パスタをスパゲッティと呼ぶことは、何故だか禁忌に近くなりつつあるがスパゲッティは麺の種類である。
これからも恥じることなく、胸を張って、特にナポリタンとたらこソースの時はスパゲッティと呼ぶことを固く誓ったのであった。

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