不思議な夢の話-其の弍-

社会福祉士国家試験の数日前、僕は不思議な夢を見た。

試験会場である早稲田大学の門で僕はドキドキしている。

すぐ隣には弟がいる。


「いや緊張し過ぎやかい(笑)」
夢の中で弟はそう言って兄をからかう。


夢の中の僕は受験票を握り、何かを待っていた。
すると、


「お兄ちゃーん」


妹の声がする。


向こうの方から妹と、凄く妹に似た紙袋を持った女の子が2人歩いてくる。


2人は僕と弟の側まで来ると、その紙袋を僕に渡してきた。


中にはカレーパンが入っていた。


「頑張れ!お兄ちゃん」
3人にそう言われ、僕は早稲田大学の試験がある教室に向かう。


そこで目が覚めた。


この話を妹にした。


「それ、ミクちゃんじゃない?」
開口一番妹が言う。


ハッとした。


僕が生まれた2年後に流産した妹が、もし生きていたら、夢の中でカレーパンの紙袋を持っていた女の子くらいの歳だっただろう。


夢の終わり際、2人の妹と、弟に「頑張れ!お兄ちゃん」と言われた。


きっとこの頼りない兄を心配して、カレーパンを届けたのだろう。


試験前日、東京の妹のアパートの近くのパン屋さんでカレーパンと予備でベーコンエピを買った。


試験当日、緊張でカレーパンしか食べれなかった。
こういう形でも、僕は支えられていた。


ありがとう、ミク。


いつか俺がそっちに行ったら、ベーコンエピ、一緒に食おう!


敢えてカレーパンと言わない、こんな兄貴でごめんよ(笑)


ちゃんと社会福祉士になったから、安心してな。

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