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モニターヘッドホン探訪記 SONY MDR-M1ST

2019年に発売されたときにかなり話題になった次世代モニターヘッドホン。
サウンドハウスで3万円で買いました。

かの有名なCD900STの後継機ではなく、別の意図を持った製品らしい。

一部引用

ソニー・ミュージックスタジオ レコーディングエンジニア 松尾順二氏:まず、MDR-M1STはMDR-CD900STの延長にあるモデルではない、という事は申し上げておきます。

CD900STを持っているからこの発言は「確かにそうだな」って思えるぐらい音が違います。

ソニー・ミュージックソリューションズのモニターヘッドホンということで、どうしてもCD900STとの比較みたいな形になりますが、M1STを検討している方は900STをご存知だと思うので比較する形で記載します。

M1STは低音側にピークのあるような帯域バランスです。高音側にピークがないため高音の伸びはなく、一定の所まで出た音が急にストンと出なくなるような感じです。この影響なのか、初めて聴いたときは「なんかベールがかかったような感じするな」と思いました。AKGのK553MKIIを聴いた時の違和感に似ています。ボーカル帯域が強調されたCD900STよりもフラットですが、低音に焦点のあったフラットといった感じで、CD900STが進化した製品では全くありません。一聴するとM1STのキャラクターが全然異なることがわかると思います。

また900STより7506よりのウォーム感があります。音場はヘッドホンの一回り外側で鳴っている感じそこまで広くはないですが、CD900STほど近くもないです。解像度は高く、中低音側の聞き分けが簡単になります。

装着感はかなり改善されています。ヘッドバンド、イヤーパッド共に厚みも増して柔らかくなっています。特にイヤーパッドは立体縫製でかなり改善されているため耳が痛くなりにくいです。

総評
トラックメイキングが普及し、低音の情報量が増した音楽が増えてきた2010年代後半に開発された本機の特徴は、その低音側の再生性能にあるでしょう。低音側の情報量はCD900STの比ではないぐらいに増しているため、そういった音楽を制作したり鑑賞するにはいいヘッドホンです。他方、3万円の価値があるかと言われると、若干高い気がしないでもないというところです。実売2万円のaudio-technica ATH-M50xと比べると、M1STの方がアコースティック楽器が柔らかく聞こえますが、そういった楽曲を録音したり鑑賞したりしないのであればM50xの方が1万円節約できる選択肢です。


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