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見知らぬ土地からの手紙 (小瀧忍)


拝啓、ラブレターフロムカナダ笑! 元気ですか?あたしは元気です!
日本を出て3ヶ月も経って、やっと手紙を出せました。生きてるよぉ。
えーっとここは東部の町、「キャンベルトン」というところですきっと知らないよね〜
今日はここで一泊!なぜ、こんな無名な町で!その顛末を今日は知らせたくて手紙を書きました。
今朝ペルセっていう大きな岩のある町から赤毛のアンで有名なPEIへバスで行く予定で、ここキャンベルトンで乗り換えだったのね。
川の向こうでバスを降りて重いリュック背負って橋を渡り、ようやくPEI行きのバス乗り場に到着。空調の効いたカウンターでほっと一息、
TICKETを買おうとしたら、あぁ、1時間前に出発しましたって言われちゃって、えーっだってまだ30分前だよって時計を見せたら、
オーレイディ、ここはアトランティックタイムで川の向こうはイースタンタイムだよって、最初訳分からなかったんだけど、「時差」なのねぇ。不思議。
というわけで24時間後のバスに乗るために一泊笑!
今これを書いてる宿からも向こう岸が見えるんだけど、あそこが1時間前だって。
人は何故か線を引くよね。時間、国境、肌の色、生まれた家、男女。まぁその線を飛び越えるのも人間だけどねぇ〜。
美術の時間にとってもきれいな線を引いていたことを思い出して、あなたに手紙を書きました。いい線引いてる?
じゃぁ、また書きます!グワシ!

ニューブランズウィック州 キャンベルトン





企画: 03. 見知らぬ土地からの手紙

 SCOOLに宛てて、様々な遠い土地から手紙が投函され、ここに集いました。
 手紙とは不思議な連絡手段です。手紙は、それを受け取る人にとっては、遠く離れた場所で書かれ、何らかの具体的な運搬手段を通じて、ある時間経過を伴って、此処に辿り着きます。その手紙を通して、受け取る人は、自分がいる世界とは異なる世界を感じることができます。
 SCOOLに展示された手紙の総体は、いわば、どこか今よりも前に書かれた遠く離れた土地の物語の集積です。手紙の文章を読んでいただきながら、手紙が投函された、ある場所、ある過去に思いを馳せてみてください。

企画作品一覧



修了展示 『Archipelago ~群島語~』 について

佐々木敦が主任講師を務める、ことばと出会い直すための講座:言語表現コース「ことばの学校」の第二期の修了展が開催された。展示されるものは、ことば。第二期修了生の有志が主催し、講座内で執筆された修了作品だけでなく、「Archipelago ~群島語~」というコンセプトで三種類の企画をもうけ、本展のための新作も展示された。2023 年8 月10 日と11 日に東京都三鷹のSCOOL で開催。

『Archipelago ~群島語~』展示作品はこちらからご覧ください。



「群島語」について

言葉の共同性をテーマとし、言語表現の新しい在り方を試みる文芸誌『群島語』
2023年11月に創刊号を発表。

今後の発売に関しては、X(Twitter)Instagram で更新していくので、よければ是非フォローお願いいたします!

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