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言葉、音、かたち

保坂和志さんが「一度発した言葉は、地球に刻まれる。」というようなことを書いていて、言葉というかそれ以前に、音も同じようなものだろうと思った。

一度発した言葉は、音は、地球に、空間に刻まれる。

それは誰かが聞いているとか、聞いていないとか、そういう事とは関係がない。

ただ、この世界に音が、言葉が響いたと言う「事実」が場に残る。そういう感覚を味わってみたいと思って、最近、そういうことを意識しながら、音読することがちょっとした趣味になっている。

自分が読んだ言葉を、自分で聞きながら、自分に言い聞かせながら読む。そうすると、黙読するよりも、ずっとゆっくりと、読むことになる。そのゆったりとした、時間を楽しむ。

そうすると書いてある言葉がゆっくりと、自分の中に染み込んでいくような感覚がある。その場に響いている音楽として、自分が音読した言葉を、音の響きを聞いていく。

言葉は形を持っていて、文字としての文様であったり、音としてのつぶであったり、またその連なりであったり。目に見えない言葉がある形を持ってこの場に、世界に存在するようにする。音読することでそういうことが可能になっているようなそんな気がする。

意味以前のそういう言葉の姿かたちを意識することでより深く意味を理解しているような気がする。意味がわからないまま、ただの音として言葉が体に響いてくる、そのことによって意味として理解する時も、より深く、理解できているような気がする。

意味以前の言葉の形を意識すること。それには何か意味があるのかもしれない。

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