ビジネス苦手と語彙は大事だという当たり前の話

常々ビジネスの話が苦手だと感じていたけれども、語彙の不足が原因なのではないかと思い当たったのでメモを残しておく。

ビジネスの人はソリューションという言葉を頻繁に利用する。このソリューションという言葉はITビジネスの話をする上で大変便利だ。

「当社は◯◯技術を利用した△△システムを活用し、▢▢を効率化することが可能です」という文言よりも、「当社は◯◯技術を利用した△△システムを活用し、▢▢を効率化するソリューションを提供しております」とする方がビジネス感が3倍増しくらいになる。(なるよな?)

しかし、私はソリューションという語を使いたくない。ためらいがある。あくまで私が感じる印象としてだが、胡散臭さが拭えないからだ。

実際になにかの問題をIT技術で解決する現場においては、ソリューションという抽象的な何かは存在しない。必ず具体的なシステムがあり、システムを構成するインフラとアプリケーションがあり、それらはソースコードによって実装されている訳だ。

これら具体的な成果物がなければビジネスはビジネスとして成立しないが、その前段では必ず揉め事、会社どうしの都合の押し付け合い、言った言わないの問題、残業、クソみたいな進行管理、手伝いもしねえのにやれと言う人々、発注しといて検収もしない顧客、言葉が通じない人たちなど、あられもない現実と直面しなければならない。ITビジネスの話をするビジネスパーソンたちは、こういった現場のあれこれを一旦脇に置いて話を進めるのである。

無論、会社のプレゼンをする際に「当社は罵声と怒号が飛び交う大変活気のある職場から皆さんの問題を解決するシステムをお届けしています!!」なんて言う必要が無いのはわかっているんですけども。

ソリューションのような抽象的なレイヤの語彙を気兼ねなく、衒いなく駆使できればITビジネスは楽しいのかもしれない。しかし、往々にして言語ゲームに陥りがちな実態を横で眺めながら、そこに沢山の金の往来を確認してしまうと「これっておかしいよな」と素朴に感じてしまう。

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