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北東西協議体、一つの成果物を

協議体ってなに?という方は、このマガジンの1本目などをご参照ください。

再開の後

活動再開の話題の後、しばらくご無沙汰してしまいましたが、コロナ禍の中、市の開催基準が多少緩和されたことも手伝って、毎月の会議は継続できていました。

そのおかげで、私が所属する2層協議体(北東西=ほくとせい)が、コロナ禍以前に取り組んでいた居場所リストですが、一つの区切りとして、完成させることができました。

居場所リストの再確認

コロナで会議ができなくなったのが、昨年2月。1月に校正をして、2月から配布を始めよう。そういう状態だったので、2年近く遅れての完成となります。第7波の後に再開したものの、この間に残念ながら閉鎖になったり、規模を縮小せざるを得ないところもありました。何名か、代表の方がお亡くなりになっていた、というケースもありました。そのため、掲載内容を全て再確認することになり、ここまで時間がかかったわけです。

高崎市の2層協議体の取り組みは、北東西のような地域資源を整理しているところ、買い物支援や、ゴミ出し支援、移動支援など、多岐にわたっています。それぞれの地域の特性に合わせた、優先順位が高い、あるいは、できることから始めようの精神で、住民自身でできることという要素も加味して、それぞれが実践しています。最近では、それを有償ボランティア組織化する活動も増えてきました。その中で、実は、地域資源の整理、そして、北東西のように、居場所リストに取り組んでいるところは少数派と言って良いと思います。そして、実に地味な活動です。

居場所など、地域資源情報の必要性の向上

しかし、福祉の現場からは、地域資源情報を求める声が増えているというお話を、コーディネータさんから聞きました。介護保険によるサービスの不足を補うため、というのがその一つの理由です。これは振り返ってみると、私も母の世話をしていた時に、デイサービスの利用のほか、母が私が留守の間に安心して過ごせるように、地域の居場所がないか、と、ケアマネさんに相談したこともありました。そして、介護保険の利用が、費用を抑えるために制限が増えたことも影響して、このニーズが増えていると考えられます。
また、コロナによる外出制限で、フレイルは問題になっています。一定の年齢以上の方は、一度中断すると、復活が難しいため、コロナによる制限が緩和されても、そのまま外出しない方が一定程度残ってしまったようです。そういう方々のケアプランを作成する際に、地域資源の活用が重要になってきた、というのも理由のようです。

完成、配布が2年近く遅れたことで、ニーズが高まった中で、まさに万全を期して配布スタートになったと言えるかもしれません。

成果物を誰に発信するか

配布は、地域の民生委員、区長などのほか、上記のニーズから、ケアマネさんも候補に上がっています。高齢の方が集まりやすい公民館や、薬局というアイデアも出ています。
そう、薬局は、私も同感なのですが、特に高齢者福祉では、より密接な話をする機会もあり、数(医療機関などより多いという意味)の上でも、分布(よりメッシュが細かい)の意味でも、これからは、地域の高齢者への情報源として大事だ、という意見もあるようです。
それらにどうやって配布するのかは、来月の議題となりましたが、今月は、掲載させていただいた方にご報告を兼ねて優先配布しようということになりました。

作ることより配布をキッカケにした情報交換と、意識の維持

そして、本日、私が配布担当となったところに配布に行ってきました。医療関係のために定休日のところを除いて、全てに配布することができました。

居場所リストは、私は、そこに上がっている地域資源を活用していただくだけが効能ではないと考えています。定期的に更新が必要なものです。これによって、地域資源情報への関心が維持されやすくなります。本日も、それを実感しましたが、郵送などせず、お届けすることで、情報交換になるし、協議体をしっていただく絶好の機会になります。更新するということは、その機会が将来にわたって確保できたことを意味します。

本日も、中でも4人の方とはある程度の時間を割いてお話をさせていただくことができました。
こういうお話ができることが、実に楽しみです。

関心深いお話がたくさん出ましたが、ここでは一つだけ。

地域活動の高齢化と後継者不足

地域活動の高齢化と、後継者難という話題が出ました。
協議体活動自体が、高齢者自身が、できることをする、し続けることで、ケアが必要な側になることを遅らせる、という狙いもあります。実際、地域活動をしている皆さん、とにかくお元気で、今日配布に回った中で、最高齢は90歳(そういう年齢の方が、地域の居場所を主宰しているということです)。平均してもおそらく80代前半くらいだと思われます。それは、まさにできることをして地域貢献して、年を重ねてもお元気で居続ける、という目的を達成している典型です。でも、裏返すと、後継者がいないために一線を引けないという側面も否定できません。以前にちょっと関係を持たせていただいた、都内の町内会は、規約では役員の年齢は75歳上限なのに、75歳未満が1人もいないから、そのまま継続している、なんて極端な事例でもありました。

後継者とはどのくらいの世代をいうのか‥とりあえず、60前後ではないかと思われます。私は、そのさらに次の世代までは若くないですが、私より少し上くらいが、ここでいう後継者と考えられます。

地域活動への無関心と後継者不足は環境の賜物か

その世代って、男は稼いで、女は子育て。しかも、東京ならば、通勤1時間は当たり前だから、男は自宅周辺のことは無関心。女も、今のような公園デビューがどうのこうのではなく、また、ママ友とのお付き合いではなく、ママ敵ともいうべきライバル視の関係。そして、地域活動が面倒だからできるだけ避けたい。そんな考え方のど真ん中ではないでしょうか。後継者はいないのではなく、そのような活動で自分達も支えられてきた、ということすら気付かずに、現役引退をした世代ではないか。そんなふうに思いますね、というところで、この話題は区切りとなりました。

環境が変わったのに家族と地域に求める機能は変わっていない

話はいきなり感がありますが、家族制度は昭和23年にできて、当時の家族構成を前提に設計されています。だから、家族が担う役割も、それを前提にしています(世界的には、日本の家族制度は、相当な役割を家族に求めているそうです)。そして、それだけマンパワーがある当時の家族でも不足した時は、地域が支えている。支えられる地縁が当時はあったから、それが想定できるわけです。
でも、もはや、三世代同居、兄弟も3人以上という前提はすっかり消滅。でも、今の家族制度と家族に期待される家族の機能は、変わっていない。だから、当時家族に期待していた機能を地域に期待したらどうか、という提案も聞いたことがあります(地域家族という発想)。しかしこれは地域も同じで、プライバシーと人権が最優先され、もはやかつての地域の機能は、現在の地域の特性では機能しようがない状況です。

後継者がいない、というのは、そういうことが背景にある気がしました。

来年以降の活動に向けて

さて、常に地域資源情報に注意を払い、しかし、北東西協議隊は、来月から次の地域課題に取り組む相談をする予定。歩みが遅いことは否定しません。でも、拙速に、何かを追いかけるように、そして、理念も、筋の通った考えもなく、裏打ちする検討もなく、目立つから実践される取り組みよりも、長い目、これから、何十年にわたって君臨してしまう高齢化社会の課題解決には、北東西のテンポと細かさは不可欠ではないかと思います。


トップの画像は、北東西編集、地域の居場所一覧の表紙です

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