見出し画像

相談の本質

 note のサークル「じぶん綴り方」への投稿を想定した記事なので、そのような表現が含まれていることをご了承ください。

前提として〜私の”相談を受ける立場“

 私は、仕事柄相談を受けることが多い、といえると思います。

 ただ、悩み事相談みたいなものではなく、表面的なもの。「○◯をするには何に気をつければいいですか?」みたいな、技術論というか、手続きのお話が中心‥なのです。

 しかし、同業者ともよくそういう話題になりますが、相談を受ける時って、「Aについて相談にのって欲しい」と言われて、Aが本当にその課題の本質であることは、むしろ少ないといえます。

上手な相談方法〜3つのコツ

 相談にくる方への助言として、これは、私だけでなく、何かを専門家にお尋ねするときとして、いくつか思うところがあります。

①問題の初期であればあるほど、相談は適切で、確実です。これが、拗れてくると、解消はどんどん難しくなる。だから、早い段階、「まだ必要ない。自分で解決できる」と思っている段階で聞いてみるのが重要だと思います。

②それと、私は、タイムチャージでやっていませんが、タイムチャージの相談もあります。そんな時は特に、相談したい内容を整理していくこと。それがコツです。

③そして、適切な相談者を選択するのも大事。
たとえば(例外もあります。そう、例外なのです。私の印象としては、ほとんどが)、相続税が問題になるかもしれない相続の相談を、弁護士にした場合、期待する成果が得られにくい(この、微妙な表現は、どうか、税理士や弁護士の皆さんは、ご理解ください)。弁護士は、「相続」の専門家ではあるもの、相続税の専門家ではないのです。逆に、顧問税理士のいる零細企業だと、税理士になんでも相談するケースはよく見られます。でも、税理士は相続税の専門家かもしれない(そう、「かもしれない」のです。「法人税」に強い税理士も、資産税に強いとは限らない)けれど、相続の手続きや法律的な意味合いの専門家ではないのです。

効率的な相談をするためのコツって、矛盾していない?

 今、3つのコツをお話ししました。でも、この3つ、自己矛盾の塊です。
 ①の、早期に問題に気づくなんて、その分野の専門家でなければ気づく術もありません。だから、拗れる前に相談してくださいって、矛盾そのものです。拗れて初めて問題だと気づくのが普通なのです。
 ②の、問題点を整理してから相談に行きましょうって、整理できるくらいならば、相談する必要はありません。相談を受ける側としての経験から、問題点を的確に整理できたら、課題解決の9割は達成です。
 ③は、適切な専門家に、というのは、この時代には不可能です。専門特化、細分化しすぎて、ゼネラリストの専門家は皆無です。せめて、自分の専門外だからそこはこの方に聞いてください、と正直にご案内できる人こそが、本当の専門家だと私は思います。

私の場合
 わかりやすい専門性がないのが私の特徴だと私は思っています。(わかりやすくないだけで、ないわけではありません)。
 元々、私の仕事の上でのモットーは「スペシャルなゼネラリスト」を目指すことでした。私が今の仕事を始めたのは、1995年。この当時は専門性がないと生きていけない、とさえ言われていました(最近少し風潮が変わり、「繋がり」やネットワークが専門家の備えるべき特性として、強調されている気がします)。そんな中で、私は「スペシャリストは、点でしか役に立たない。でも、専門特化すべきという風潮は、きっと2−30年経つと専門領域への道案内するスペシャリストが必要なってくる」。そう確信して、今の仕事を始めました。その予想は当たっていると、今は実感しています。
 ですから、仕事の内容的には、表面的な、技術論、手続き論を、端的に答えるのが私の立場です。むしろ、相談内容を深掘りして時間がかかると、「そういうことはどうでもいいから、さっさと結論を言ってくれよ」などと言われて、相談の満足度は下がってしまう場合もあります。
 でも、スペシャルなゼネラリストを目指そうと思ってきた私は、そうやって煙たがられることがあっても、Aの相談に来たら、実は問題の本質はBだと気づいていただて、表面的な解決ではなく、本質的な解決ができた。そう思っていただけるように、やってきたつもりです。
 これは、効率が悪い。技術的表面的な解答ならば30分で済む相談対応が、数時間に及ぶこともある。数時間に及んだからタイムチャージで高額な報酬を請求することは非難はされないだろうけれど、それは私はしたくない。お金以上に、お話を真剣に聞いて、深掘りさせていただいて、自分の経験や知見と共鳴して。それで、ともに納得いく結論が出た時の喜びを目指して。

 なんか、かっこいいことをつらつら書いているアホか、と思われそうですが、この気持ちは、疑う余地なく、私の、ライスワーク、仕事での視点、立ち位置です。

自分のことを深く考えないとできない

 悩み事に限りません。私の仕事は、悩みの解決と言っても、困ったことの解決と、前向きなことをやりたいのに、行き詰まっているのを打破する解決があります。前向きな悩み、というところでしょうか。

 困ったことの原因、発生理由。逆に、やりたいことのエネルギーの源泉。そういうことに気づかないと、適切な対応はできない。

 それは、相談者のことを深く掘り下げる作業が伴います。
 深く掘り下げること自体が、かなり難易度が高い作業ですが、「始まり」を丁寧に見つけていくと、比較的見つけやすい気がします。個人ならば、出生から今まで、企業なら、創立から今までを丁寧に伺う作業は、たいていでてきます。
 そうすると、始まりを意識することは、本当に大事ですね。

 大事だと思っていたけれど、それを確信させてもらった Stand.fm の放送があります。

始まりを知ると自分らしく自由になれる

 さて、そうやって、相談者をうまく深掘りできた時。
 それは、パンドラの箱を開けたのです。
 開けたからには、その責任を取らないと。
 開けて、本質が見えました。それに対処して、相談者に寄り添う能力が、知識が、経験が、人脈が‥ありますか??
 ないから放置は殺人的責任放棄です。

これを考えるきっかけになった放送

 この、じぶん綴り方サークルの主催団体、れんげ舎の記事に、プレイバックことばの灯台 があります。私も出演させていただいています。
 1月配信のこの記事

 これは、この企画の制約で、一つに絞らなければなりませんでしたが、12月の3つの放送の集大成として、これを選択しました。その3つは、

悩みを深掘りすれば誰かと繋がれる
自分の声を聞かずに誰かの声を聞けますか?
一番困っていることを相談できると自立できる

でした。

 でも、この三つに限らず、相談者の「疑問」(上記の通り、悩みとは限らないので)の本質に共鳴するためには、相談者を掘り下げる必要があります。そして、掘り下げた後、自分自身、相談を受ける側が、それに応じられるほどまで、自分自身も掘り下げておく必要があります。それがないと、相談者が、自分の下を通り抜けて、一つも共感も、共鳴も、情報の共有すらできません。相手を掘り下げる以上、自分自身もそれ以上に自分自身を掘り下げる必要があると思うのです。そうでないと、表面では接点がない。でも、共感できる、そういう「通底」(上記リンクの1つ目の記事参照)した相談はできないと思うのです。

 これは資格や、なんらかのお墨付きの問題や、それで解決する話ではありません。そういうものを得て、オンラインサロンやセミナーをしているな、と思う広告に等しい記事や投稿を見ることもありますが、自分自身を深掘りしているか否か。note に綴りはじめたころの、こちらのマガジンの根底の意識はここにありました。

 今回のプレイバックことばの灯台 の記事に参加するにあたり、自分の相談業務について、意識を確認する機会を得ることができました。
 今までは、無意識にそうやってきましたが、意識して、対応し、そのためにますます自分自身を日頃から掘り下げて、深い深い相談にも応じられるようになっていきたいと、2022年の1月の抱負として思うのでした。

——-
画像は、みんなのギャラリーから、相談、で検索して気に入ったものです。ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?