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企業内診断士とPMI

前回の記事で中小PMIについて詳細記載いたしました。PMIについてご存知ない方は事前にこちらの記事を確認いただけると大変ありがたいです(2,000文字を越えますが。)

 PMIとはM&A成立後に行われる統合作業です。経営の統合、譲渡側と譲受側双方の経営者と従業員の信頼関係の構築、業務統合の3本柱があります。

 M&Aのエージェントが多数いますが、その後の統合作業まで担う業者は少数です。そこで中小企業診断士の界隈が支援機関として、PMIの啓蒙活動や、M&A検討に同期したタイミングでの費用イメージの明確化をして、ビジネスの枠組みを組み立てようとしています。

 これはプロコンの方がのみの話なのでしょうか?中小PMI支援マスターの認定を受けた際に実施された研修内容から、企業内診断士とPMIの関わりについて記載したいと思います。

1)自分の会社が売られた、買われた
 例えば人事評価制度のサクセッション・プランニングなどを知っていると、自分の何が評価されて昇進が判断されるか、を客観的にとらえ準備ができます。
 それと同じで、PMIの柱をしっているだけで、譲渡側の企業にいても、譲受側の企業にいても、ご自身が素早く環境の変化に対応できるだけなく、統合作業のキーパーソンにもなり得ます。
 先ほどの3本柱でいうと、①経営の統合では新たな経営の方向性、会社の向かう方向を素早く理解する必要性を感じながら、自分の周りのメンバーへどのように影響を与えていくか、考えることができると思います。
 また②信頼関係の構築でいうと、「譲受側」の業務が次々に導入されていくなかで、M&Aの目的やメリットなどを理解していないと、負担増や不便さなどを感じるメンバーが多くなると思います。説明会や個別面談などの泥臭い作業がなかなか設定されないのであれば、PMIガイドラインを参考に、その取り組みの有効性について、マネジメント層に説得的に声をあげ統合後の職場環境の改善に寄与できるかもしれません。譲渡側にいるのであれば、クイックヒットと呼ばれる、わかりやすく即効性のある就労環境の改善などの施策も立案可能です。
 ③業務統合については、秘密的に行われてきたM&Aのデューデリジェンスでは明確にならない、属人的な実務業務をまとめ、円滑な事業の運営の継続にむけたごうむ統合の中心を演じることも可能です。
 受け身になり 不安を感じるだけではなく、前向きなマインドでM&Aによるシナジー効果の発揮にむけて取り組みを行えます。会社が重視するのが、売上なのか利益率なのか、意思決定はトップダウンかボトムアップか、毎朝社是唱和から始まる朝礼があるのか、ないのか。2つの異なる組織が交わると、些細なことから2社の違いが意識され、ただでさえ不安になるメンバーが多くなります。そんな中で統合の全体を理解したメンバーでいるということは、非常に有益だと思います。

 参考にM&Aを活発に行っている日本電産がPMIで掲げているキーワードを4つ記載しておきます。

身体的・心理的な安全の確保
現場との対話
バリューの浸透
自律的なガバナンス

2)取引先が売られた、買われた、もしくは意図的に再編する場合。

 日本の1大産業である自動車業界でいうと、そのトップにいるトヨタのサプライチェーンには膨大な数の企業がいます。トヨタ自動車グループで15社、1次下請けで6,000社以上、2次下請けまで広げると35,000社以上、合計では40,000社と超える数になります。

 また自社ECが拡大してく中でも、既存の販売網の保全は重要です。少し古い事例ですが、パナソニックはその商品の販路である「街のでんきやさん」の承継支援を行っています。承継可能な販売代理店に廃業検討をしている別代理店を紹介し、準備→手順→実行のガイドを策定しています。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00437590

 企業内診断士としても、今そこにある危機としては製造業以外でも、取引先の事業承継問題があります。水平統合、垂直統合、異業種によるM&Aなど、サプライヤーの再編が進んでいく中で、資金力が増強されることでIT投資が可能になり、生産性向上につながる。サプライチェーンの安定化にむけてプラスの効果は大きいです。
 一方、M&A仲介業者は報酬が相対的に少ないためPMI支援を行うことは少ないです。PMI支援を行う独立のPMI診断士と連携できる企業内診断士の立場が、ありがたがられる時代がすでにきていると思われます。

 最後に、自分は埼玉士会主催のPMI研修を受けました。その研修の中で、受講生代表から選ばれた方がプレゼンする場があったのですが、その方はすでにPMIにかなり詳しく、実務経験も豊富そうでした。その方の資料に何度も出てきた出典の本をメモし、自分も読んでみました。非常に初学の方にもわかりやすい内容で、データも豊富でした。そちらの図書についての感想を明日以降 NOTE上で感想として紹介したいと思います。もしPMIにご興味ありましたが、最初に読む本としては最適かと思います。私のNOTEをフォローいただけると幸いです。

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