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あの日のFortnite全国第2位に会いに行った。3月の終わり、彼が高校生最後の日。

2019年8月14日。立ち上がりから3カ月を迎えようとしていた「群馬県eスポーツ連合」は、よちよち歩きの視察先に、舞浜アンフィシアターで開催された「第1回 全国高校対抗eスポーツ大会 STAGE:0」を選んだ。もちろん、地元群馬でぷよぷよeスポーツのランキングポイント大会を開いたり、国体の県予選をお手伝いしたりと頑張ってはいたけれど、「都会で開催する大きな試合が見たい!」というグンマーとしての欲望が抑えきれなかった。

噂に聞く「Fortnite」。群馬の高校生も出るのかなー?と事前に確認したら、なんと3校も出場するという。桐生市立商業高等学校の「弁財天」、桐生第一高等学校の「初心者連合」、群馬県立伊勢崎商業高等学校の「Aungel Make」。当日は、それまで生では見たことない、スケール違いの会場演出にも興奮し、一心不乱にスティックバルーンをたたきまくった。

第1ラウンド。なんと「初心者連合」が8位に入る。続く第2ランウド。あれよあれよと2位に輝く。そして迎えた第3ラウンド。まさかのビクロイ!嘘だろ、群馬。こんなに、強いとは!!TOTALで「初心者連合」は準優勝。それはつまり、909校、1,138チームの中で、2番だ。「おめでとう!」を伝えに、プレス対応で出てきた彼らに急いで会いに行った。

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そこには、所在なさげな桐一(桐生第一高等学校)の2人、小島ディエゴくんと遠藤一輝くんがいた。手にはキラキラ光る、クリスタル様の楯を大事そうに抱えている。記者に囲まれて次々と質問が飛び、ポツポツと誠実に答える二人。ひとしきり対応が終わるのを待って、「群馬県eスポーツ連合です!準優勝、おめでとう!!」と声を掛けた。

「群馬から応援に来たんです!すごかった!感動しました!!」興奮気味に伝えると、「ヤバイんすよ。学校に、言ってないんすよ」と、意表を突く答え。「いや、だってゲームだから。親にもギリギリで話したんす。やばい、これ、もう学校にバレますよね」。なんとも言えない気持ちが込み上げた。「どうして!いいじゃん!全国で2位だよ!堂々と胸張って、一緒に群馬に帰ろうよ!!」。思わず、大きな声を張り上げていた。

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1月の末、遠藤くん(@Roxas315)と会う機会があった。あの夏の日に聞けなかった分、ゆっくりと話をする。ゲーム、eスポーツを取り巻く世界は、数カ月間で大きく変わった。前より少し大人びた視線。はにかみながら自分のことを教えてくれた。

ありとあらゆるゲーム機がある家庭で育ち、両親も、兄もゲームをする。恵まれた環境で、幼いころからゲームに親しんできた。周りからはセンスがあると言われるけれど、強さの秘密は「努力」だと言い切る。そして、大切なのは「友達」「仲間」。ステージゼロの準優勝は、あくまでデュオを組んだ小島くんが強かったからだと何度も繰り返した。「高3の4月、相方に誘われたんです。あいつが、めちゃくちゃ強かったんすよ。まさか勝ち抜いて決勝行くなんて思ってなかった」。

4月には、地元群馬で就職するという。ゲームを楽しむ高校生の立場から、社会人として、大人として、子どもたちがゲームを楽しめる環境を作る側になっていく。小中学生にも人気のFortniteプレイヤーとしてアドバイスを聞くと「ただ長時間やってもダメ。だんだん頭が働かなくなってきて、操作もテキトーになる。イライラしながら敵に突っ込んでくだけじゃなくて、どうしてやられたのか、ちゃんと考えないとうまくならない。あとは・・・パソコンでやった方がいいかな」。夏の日のように誠実に、ポツポツと、自分の言葉でそう答えてくれた。教わったことを「LANらん♪群馬」に来てくれる子どもたちにも伝えてみる、と言うと、「もし良かったら、3月は行きますよ」と、なんともうれしい返事をくれた。

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そして3月。20日に開催を予定していた「LANらん♪群馬 vol.2」は、新型コロナウィルスの影響で中止になった。遠藤くんにも、会えなかった。3月最後の週末に、いたたまれなくなって、「社会人になる前に写真を撮らせてくれないか」と申し出ると快諾してくれた。

Twitterで、髪の毛を淡いピンクに染めてるのは知っていた。会うと・・・真っ黒になっている。「あれ!?ピンクじゃないの?」と聞くと、「明日から、社会人なんで」と、やっぱりはにかみながら笑った。さらに大人びた遠藤くんがいた。別れ際、「LANらん♪群馬」が再開して、その時に仕事の都合がついたら、遊びに来てくれると約束をした。

3月31日。高校生最後の貴重な日に、ありがとう。夏の興奮を、ありがとう。

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