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MECE(ミッシー)

ケーススタディ

ある会社の大阪営業所は、西宮地区まで営業範囲に含めて営業をしています。一方、同じ会社の神戸営業所も、西宮地区を営業範囲に含めて営業しています。尚、どちらの営業所も全く同じ商品を取り扱っているとします。ちなみに、西宮地区では、この会社の製品が非常に人気があり売上高も他の地区に比べて好調のようです。
では、この会社は営業範囲を、どちらかに完全に移管すべきでしょうか?それとも、このまま、2つの営業所が競いながら、西宮地区で販売を続けるべきでしょうか?

教訓

西宮地区は、どちらか1つの営業所に決めてしまうのが良いでしょう。ダブリがあると必ず、ムダが発生します。この例題の場合、たとえば西宮地区を神戸営業所の担当に決めて、大阪営業所の営業マンを若干名減らす対策が考えられます。モレがあるとチャンスを逃がしてしまいますが、ダブリがあるとムダが発生しやすくなります。「モレもダブリもない状態」をミッシー(MECE)と言います。

MECE(ミッシー)とは"Mutually Exclusive Collectively Exhaustive"の略語で、「それぞれが重複することなく、 全体としてモレがない」という意味です。慣用句では「洩れなく、ダブリなく」となります。ロジカルシンキングにおいて欠かせない思考法です。

例えば、「人」を「男」と「女」に分けると、それはMECEとなりますが、「旅行」を「国内旅行」と「海外旅行」と「日帰り」に分類すると、明らかに重複があります。「パソコンのOS」を「Windows」と「Mac OS」に分類すると、「Unix」が抜けてしまいますので、漏れが発生します。

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MECEでないと何がまずいのか?

ロジカルシンキングの教科書などでは、MECEを徹底せよと書かれています。なぜMECEにでなくてはいけないのでしょうか?

よくあるまずいターゲティングの例を紹介します。携帯電話の販売強化というテーマで議論しているとしましょう。どのような相手に対してどういう販促が効果的か? といった話です。MECEによる漏れとダブりを認識していない場合は、思いつくままにターゲットが出てきてまとまらなくなってしまいます。

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この例では、ファミリー市場と20代社会人とシニア市場はダブっていますし、スマートフォンもしかりです。さらに、30代のビジネス市場や、法人市場は市場の定義から漏れてしまっています。典型的な抜け漏れダブりがある例です。

問題なのは、このような議論をしていても議論をしている人がMECEの考え方をちゃんと理解していないと、自分たちが抜け漏れのある議論をしているということに気づかないことです。MECEを意識していないということは、全体像をつかめていないということです。もちろん、全体像を捉えた上で、例えば法人市場は力を入れないという結論にいたるのは構いません。初めから法人市場を漏れて考えてしまうのと、全体を捉えた上で結論に至るのでは意味合いが違います。


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