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次は、いつ行こうか

アメリカ発祥の、超・大容量で安いスーパー。コストコのことをそう知人から教わったとき、ブクブクに太った欧米人家族がショッピングカートを満杯にしているシーンが思い浮かんだ。きっと、食いしん坊でケチな人たちに人気なのだろう。必要なときに必要なだけ買う我が家には縁がなさそうだ。
ところが今年、妻からお願いされた。「生後4カ月になる息子のオムツを買いたいから、コストコに行きたい」と。たしかに、大量に使うものだし、お金を気にせず交換してあげたい。そこで、車を借りて大阪市内から1時間半かけて和泉倉庫店へ。
開店してまだ数十分なのに、700台を超える駐車場はすでにいっぱい。奈良や和歌山ナンバーも目につく。移動する労力と時間がもったいない気がするけれど。すれ違った50代くらいの夫婦の両手には、商品ぎっしりの手提げバッグ。しかもコストコのロゴ入り。私たちは食いしん坊でケチです、と言っているようで思わず妻と笑う。
「こんなに買う人いるの!?」
入口にあるショッピングカートは普段のスーパーの4倍ほどで、骨組みも頑丈だ。操縦するのに妻はてこずっている。店内に入ると見上げるほどの高さまで、電化製品、生鮮食品、衣料品が大量に陳列されている。POPはほとんどなく、ほぼ品名とプライスのみのまさに倉庫状態。見慣れない海外製品も多くワクワクしてくる。
オムツ・プレミアムタイプ156枚入り。いつもの2倍だ。でも安い。1枚あたり18円。近所ならスタンダードタイプでも20円を超える。抱きかかえるようにカートに放り込む。これからは上質なオムツだぞ! 息子も満足げに見える。
「うわぁ、デカくて美味しそう」
妻が指さしたのは直径約45cmのピザ。プリプリのエビやホタテがふんだんに載っている。その隣には50貫はありそうな寿司の特選盛り。ネタはどれも大ぶりでつやつや。ゴクリと生唾を飲み込む。焼きたてロールパン36個入りが目に入った。きっと食べきれない。でも名物の一つだ。買わずにはいられなかった。数十種類もあるチーズも欲しい。絞り切れないので2つ選ぶ。さらにロブスターのスープ。さっきのパンに合いそうだ。つい手が伸びる。生ハムがあったよ、と妻。手にしているのは国内製。それはどこでも買えるから、と高級な海外製に替える。
気がつけばショッピングカートは山盛り。アメリカ映画で目にしたことのあるベルトコンベア式のレジを流れていく商品たちを見ていると、さすがに反省の気持ちが湧いてくる。買い過ぎた。でも心は弾んでいる。買い物がこんなに楽しいと思ったのはいつ以来だろう。
帰宅後すぐにオムツが無くなる日を妻に確認する。「2ヶ月も先なの? それまでに行こうよ」

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