重大犯罪と防犯カメラだらけの都市
夜のファストフード店で中学生が被害を受けた事件の犯人が捕まったという。新聞でもテレビでもネットでも見かけた。
あれこれデマや憶測は飛び交っていたようだが、捜査機関側としては事件から3日後くらいには犯人を特定し、4日目には踏み込む態勢を整えたというのだからスピード解決の部類に入る。
どうやって捕まえたのかといえば、防犯カメラやドライブレコーダーによる記録映像を追って、不審な人物や車両を見つけ出したのだとか。そうしてみると、それだけ至るところにカメラが設置されているのだな、と思う。
実際、たとえばまったく無関係の人間を襲う通り魔のような事件だと、被害者の交遊関係、恨みを持っている人物はいないかといった線で捜査をしても空振りに終わる。つまり、現場で捕まりでもしない限り、映像記録などがなければそのまま犯人不明、迷宮入りとなってもおかしくないのだ。いかに街中のカメラやドラレコが人を追跡することに対して大きな役割を果たすかがよくわかるというものである。
これだけカメラだらけの社会になると、重大犯罪を仕出かして逃げおおせることなど可能なのだろうか。とてもではないが、逃亡犯としてやっていけるだけの自信はない。犯罪をする予定がなくてよかった。
倒叙ミステリのように、犯人の立場から犯行を描き、自分なりに巧いこと隠し切れたと思った罪がいかにして暴かれるのかを追ってゆくタイプの物語があるが、自分だったら即効でボロを出しそうだ。街中で事件を起こしても次の日にはお縄だろう。
闇バイトなんかもそうだが、結局のところ犯行はすぐに露見し、捕まって刑務所へぶち込まれるのだから、悪いことなどするものではない。どこに防犯カメラが潜んでいるのかわからない現代ならなおさらだ。
監視社会のようで、カメラの増殖は息苦しいという向きもあろうが、そうしたカメラ群を活用して捜査機関がいかに犯人を追うかを広く一般に公開すれば、もっと犯罪の抑止効果になるのではないか。どうあってもバレると思えば、人間、悪いことはしにくいものだ。
ネットが完全な匿名の場ではないように、都市部において自分の素性を隠せるような場はそうないのだろう。