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[Review/Grime]Manga Saint Hilare - Make It Out Alive

PAKINです!

前回のReviewする宣言通り、早速記念すべき1回目のレビューをば。前回宣言した通り、基本的に「俺がいいと思ったもの」を紹介しますので、超絶甘口です!

今回はこちら。

Manga Saint Hilare - MAke It Out Alive

Bandcampは下記。(7ポンドなので、大体1000円ちょっとかな。)

AppleとかSpotifyにも。

https://orcd.co/makeitoutalive

つい先日(2日くらい前?ちなみに本記事を書いているのは2020年4月4日)リリースされたばかりの、Grime草創期から活躍しているベテランMCの最新アルバム。

Manga Saint Hilare(古い音源ではManga名義)はGrimeのドリームチーム、Roll Deepのメンバー。2004年と本人のバイオグラフィーには書いてあり、その時から活動していた、まあベテランです。(Roll Deepについてもきちっとどっかで記事にしたい。)

彼のBandcampをのぞいてみてもらうとわかる通り、定期的なリリースはしてきたのですが……

ドッカンと跳ねたバズった曲があるというより、言い方が悪いかもしれませんが、「中堅」という感じの立ち位置のMCです。確かな仕事をするMCですね。職人と言った感じ。勿論、ベテランだし、シーンでも重要なMCなんですよ、特にRoll Deep入りしてるMC、全員スキルはTopper Topでございます。

ただ今作は2020年最高のGrimeアルバムになる可能性あります。

全15曲、52分。最近の海外ラップミュージック(そしてポップス全般)の傾向として、再生数を上げるために短い曲を10曲入りでパッと出す、的なものが多いんですが、本作は真逆。流石や。

早速レビューですが。

一曲一曲が非常に練られている上に、聴き疲れせず、アルバムとしての統一感を失わないまま、頭からお尻までいつの間にか聴き切ってしまうことができる味わい深い一品です。

つまるところ、フロアだけでなく、電車移動中、お家での作業中、夜のドライブ、いろんな現場で使える!このアルバム流しながら色々な楽しみができるんじゃないでしょうか?

(でもこのアルバムで女の子口説いた人いたら流石に笑う。)

理由として、ラップなどのヴォーカルやサウンドがスムース、ビートの方向性に統一感はありつつも多様、かつ、歌物Hookがある曲が要所要所にうまく配置されており飽きにくい、と言った要素が挙げられると思います。これはほとんどの曲をプロデュースしているLewi Bの力量も大だと思います。

先日Lewi Bが出したこの作品も絶対チェックした方いいっす。

聞いていて思い出したのはJMEが昨年末出したアルバム、「Grime MC」やNOvelistの「Novelist Guy」ですね。それらのアルバム同様、複数の曲を「聞かせきる」力は特筆!これらに共通しているのが、独特の静謐さに溢れているところ。ラップや音は尖ってるのに、一抹の寂しさがあるんですよね。コンクリートジャングルに夕日が沈む時に感じるアレ、というか、夜の繁華街から外れたところにあるマンションだらけのエリアの感じ、もしくは夕方〜夜の古い団地というか。ロンドンのヴァイブスなんだと思います。多分。

客演陣も非常に豪華なわけですが、ゲストが主役であるMangaを喰っちゃうわけでもなく、お互いの化学反応で楽曲の完成度を高めている。客演陣とMangaの間の信頼関係がすけて見えますね。

フロアバンガーとなりそうなのはGod's Gift、Irah、Jammerが参加しているTrampleですかね。Irahのラガフロウの威力高すぎ。みんな大好きSir Spyroの提供しているFace Myselfもフロアで聞いてみたい。

さて、肝心要のMangaのラップですが、これがもうお手本のようなGrimeのラップです。Grimeのラップの教科書最新版。ケツで踏むライミングの繰り返しとそのはずし方、bar頭の弱拍から立ち上げることで産まれる独特の緩急、ラップの詰め込み方と間の作り方etc etc。

ベテランの経験値にプラスして、今のマーケットを睨んでアップデートさせられています。

今からGrimeのラップ研究しようと思うなら、このアルバムは絶対良い教材になると思います。

閑話休題、Trapが流行っている今、BPM140のラップってもう世の中的に早いラップだと全く思わないんですけど、ラップの緩急の付け方はやっぱりGrime独特だなっていうか。独特のStop & Goの繰り返しで産むグルーヴ感。俺自身はそのスタイルはあんまりやらないことの方が多いんですけど(俺自身がロンドンの真似したくないのと、そもそも、ちょっとやり尽くされた感じあるので)久々に王道なやり方で感動しましたね。

あと、もともと、Grimeって、「早いラップ」だとはあんまり思ってないです俺。BPM140を主軸にして、70と280を行き来する音楽です、Grimeって。


ちょっと脱線しましたが。

今作、非常に聞き応えあります。おすすめ!

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