【小説】異世界チート記【日記風】①

※ガチめのチート知識が必要になるかもしれません。一部、よく分からない部分があるかもしれませんが、そういうものだと思って下さい。


異世界生活1日目
 前世でチートやり過ぎてスキルでチートが発現した件。わっしょい!やったぜ!と思ったけど、リアルで俺TUEEE!はちょっと。目立ちたくないし。
 そういうわけで、街で普通に暮らしつつ、不自然じゃない感じを装いつつチート使いながら暮らそうと思う。まぁ、適当に裏路地とかでいいだろ。

 日記とか書くタチじゃないんだが、興奮しすぎて大事なこと忘れてもアレだし、自分が使ったチートまとめでも作ろうと思う……だって、なんかこの前世から持ち込みのスキル、色んなゲームのが複合してて分かりにくいんだよな…自分でwiki作らないと……

異世界生活2日目
 路地裏の空き家、というか廃屋に居を構えた。というか、昨日普通に書くの忘れてたけど、一応、街中には出てた。服装が噛み合って無いから即行路地裏に逃げたけど。まぁ、これからヒッキーするし問題無い。
 つーか、実際チートでアイテム召喚出来る時点でもう外に出る必要が皆無なんだよなぁ。こっちのアイテムは知らんけど、前世のゲームで召喚出来てた食べ物アイテムが軒並み召喚できる時点でもうね。バランス終わってる。まぁ、これはゲームじゃないけど。

 ってわけで、適当に廃墟を改造して住むことにした。

異世界生活3日目
 んだが、昨日、普通に非破壊オブジェクト化だの、座標だの、色々ややこしくて普通に頭痛くなって寝た。イライラがすごかったわ。マジで。
 そういうわけだから、今日改めて、と思ったんだが、はぁ。やりたくねぇ。前世も前世で相当なめんどくさがりだった俺だ。こういうややこしいことをスキップするためにネットの海で短縮ツールを探してたってのに。

 と、ここまで考えて、ふと、自前のスキルでどうにか出来ないかと思う。
 チートスキルなんだから、何かやり様があるだろうと。

中略

 結論から言って無かった。ただ、その代わりに"俺"の項目を見つけた。
 要は、GodだのInvincibleだの、そういうやつだ。中には睡眠不要、食事不要、性欲無効なんてのもあった。……俺は人間をやめるぞッ!ってことで全部有効化。したが、すぐに無敵化系は無効にした。全能感がヤバい。脳汁ドバドバだ。こういうのはたまにでいいんだ。たまに、で。

 まぁ、息抜きで遊びはしたが、作業は続けないとならない。じゃないと俺の安全が危ない。そういうわけで、ひとまず、睡眠と食事と性欲と、それから感情値なる(たぶん最大100?)数値もあったから、それも下げてやってみようと思う。イライラってたぶん感情だからな。うん。

異世界生活?日目(改め6日目
 ハッ!?今何時!?とか、まさにそんな感じだった。
 睡眠不要は不味い。日付感覚がぶっ飛ぶ。おふざけで縦4本引いて横に一本引くタイプの日付数える落書きやってなかったら、今日が何日目か分からなくなるところだった。ちなみに1セットと1本だったから今日は6日目だ。
 食事と性欲はまぁ、不要のままでいいだろう。食事も生活リズムが危ぶまれるが、別に日の出日の入りがあるから、今がどれぐらいの時間帯かは分かる。

 あと、感情値も下げ過ぎるのは不味い。0にすると思考はクリアになるが、同時に危機感とか不安感とかも一緒に抹消されるから、俺が平穏に暮らす上で必要な感覚も全て消え去ることになってしま…うわけでもないか。
 でも、なんか、これだと生きる意味まで失いそうだ。のんびりゆっくり暮らしたい、っていう欲求まで消えてしまいそうな気がする。
 だから、そうだな。感情値は20ぐらいが丁度いいかな?0はダメだ。気が付いたら効率的思考突き詰めて発狂しそうな気がする。

 で、飲まず食わず寝ず、記憶もすっ飛ばして集中した結果、我が家はいつの間にか出来ていた。……具体的に何したかはおぼろげにしか覚えてないが、使い方はなんとなくわかる。これで使い方が分からなかったら締め出されて終わりだった。一安心だ。
 とりあえず、これで暫定一生引き込もり家完成だ。

異世界生活10日目
 チート検証終えたらすることないなった。暇で死ぬ。
 ……ん?あ、そうか。そういえばこれメモで使う予定だった。忘れてた。

チートまとめ
 相変わらず複合、どころか記憶にはあるが使ったことは無いのまで含まれてて、しかも、その時々で増減する、というか、条件を満たさないと解放されないっぽくて中々にだるい仕様になっている。…まぁ、必要な時に出て来るならいいか、ひとまず。
 こうなってくると全部書くのはだるいので、汎用性高そうなのだけ。

 非破壊オブジェクト化:座標指定すると候補の一つに浮かんでくる。
  文字通り体力無限化。何しても壊れない、はず。
 アイテム召喚:アイテムを出す。個数指定可。
  アイテム名で検索可能な他、想像しても指定できる。便利過ぎて草。
 個数変更:アイテムを指定すると候補の一つに浮かんでくる。
  そもそも召喚時に個数決めて出すので意味無し、に思えたが。
  0に指定するとそのアイテムを削除できるので、主にその用途で使う。
 TPコマンド:座標指定するとその地点に飛べる。
  特有の酔いは無く、むしろ視界が一瞬で変わるので平衡感覚が…
 トグル系:"俺"の状態を変える類のものをそう呼んでる。
  無敵化、透明化みたいな状態変化系と、
  睡眠不要、食事不要みたいな人間やめる系がある。
  病気や不調なんかもこれで、チェックを外すと無効化される。

 とりあえずこんな感じか。他は後々で。
 あ、使ったことがないってやつは壁透視とか、視点誘導とか。
 必要になる時が来ないことを祈ろう、うん。

異世界生活って書くの面倒になったから以降省略。
11日目
 暇だから散歩することにした。
 透明化して人気のない場所を見繕って、転移ポイントに指定。出るも戻るも転移で念には念を入れて、路地裏を彷徨う。
 表通りには出ない。そもそも、人気の多いがやがやした所は苦手だ。

 少し歩いて満足したら家に戻る。そんな感じだ。

中略

30日目
 死にかけた猫を見つけたので気まぐれで拾った。

 それなりに臭かったので、嗅覚遮断して水洗いした。暴れる気力もないぐらいぐったりだった。ステータスを見てみたら瀕死だったので、適当に現在HP増やしてツナ缶を食わせた。
 かなりがっついていたから美味かったんだろう。現代日本のツナ缶だったからな。フチで怪我しないように皿に出したらぺろりと平らげた。気持ちいい食いっぷりで、

 もうないの?ってな顔で俺を見上げて来たから、空のツナ缶を見せるとしょぼくれた顔をしていた。
 ……いや、ネコの表情なんか分からんが。

42日目
 ネコはだいぶ元気になったみたいで、おもちゃにしていた空のツナ缶を叩いて飯を催促することを覚えた。毛並みとかそういうのはよく分からんが、まぁ、概ね健康だろう。たぶん。
 ステータスを見ても、特に問題は……うん?なんだ?この呪いってのは?……まぁ、抱きかかえてにらめっこしても、どう見ても普通の猫だから問題ないだろう。

 感染するとかの実害は無いっぽいし、俺はそういうのに手を出すつもりは無い。平穏に生きる三カ条に引っかかるからだ。そこだけは妥協しないようにしている。
 一つ、好奇心に吞まれない。一つ、チートは最低限。一つ、目立たない。これを破った時、俺は絶対に後悔する。
 だから、この呪いとやらも放置だ放置。調べないし解呪もしない。

 そういうわけだから、そろそろ出て行ってくんないかなぁ…。

58日目
 F級冒険者が家を尋ねて来た。迷子の猫を探しているそうだ。

 なんでも、随分と長い間貼り出されているらしく、特徴も乏しくて、まぁ、虱潰しってやつだそうな。偶然だろうが、我がボロ家には1匹のネコが居ついている。試しに、と思って見せてみると、偶然にも特徴に合致した。
 物は試し、ということで、その冒険者はネコを檻に入れて運び出した。ネコは嫌がっていたが。

 ようやく居候が居なくなってのんびりできるぜ。

59日目
 と思ってたが普通に寂しい。クソ、なんでネコってのんびりくつろいでるだけで可愛いんだ?
 ……俺、ネコ飼おうかな。今度路地裏でも散歩してみるか。

62日目
 やっぱりやめとくんだった。
 まさかネコじゃなく人間を拾う羽目になるとは。

 なにもかも、こいつが猫みたいな目をしてるのが悪いんだ。しかも、起きたら起きたでうるさい。なんかめっちゃ唸って来るんだが。犬かよ。ネコみたいな目しやがって。クソ。
 ……まぁ、ツナ缶食ったら寝たし、いいんだ。寝たら静かになったしな。

 さてと、ステータスは……うっわ、病気塗れでやんの。人間ってよえーなー。チート持ちで良かったわ。
 とりあえず、デバフ消す感覚で全部消して、うん。HP上限が元に戻っ……ても10。これはクソザコ。
 ……まぁ、ガキだし女だからそんなもんか。体格もちっこいしな。

 ……こいつも元気になったら出てってくれるかな。
 まさか、冒険者が探しに来るわけは無いだろうし。

63日目
 ガキがうるさい。ずっと唸りっぱなしだから、腹が立ってツナ缶を開けずに放り投げてやった。ッハ。開かねぇからって歯ァ立ててやがるぜ。そんなんで開くかよバーカ。
 案の定、缶は開かなかったから、一際強く俺を睨みつけると不貞寝した。ツナ缶抱えたまま。

 とはいっても、飯を食わさないわけにもいかないから、新しいのを開けたら、すかさず目を開けてこっちを見やがる。
 左に右に、缶を動かすと、そいつの目も釣られて左に右にと動く。が。早々に飽きた俺は足元の皿にそれを空けて、散歩にでも出ることにした。

 帰ってきたら、口の周りを血塗れにして俺を睨み上げて来た。
 盗みが入ることはない。そういう作りにしたからだ。つまり、これはこいつの自業自得だろう。
 辺りを見回すと、ガキの近くに、机の上に乗せておいたはずの空のツナ缶が転がっていて、血に塗れている。
 あー、はいはい。そういうことね。意地汚ねぇガキがよぉ!

 とはいえ、そのままにしておくと不健康に逆戻りだ。
 ガキに麻痺のデバフを30秒。その間に現在HPを10に合わせ、唇についた血を雑に拭き取る。血塗れの缶は数を0に設定して削除。面倒でこれまでは省いてたが、こうなるんじゃするしかない。
 うーん、でも面倒だからスクリプトでも組んどくか。

64日目
 ガキが大人しくなった。たまに、俺が処分する空のツナ缶に視線をやるが、流石にバカじゃないのか、それを奪い取ろうとはしない。黙っていれば飯が食えると学習したのかもしれない。

 いや、まぁ、唸ってもやるのはやるが。
 だが、その代わりに腹の虫の主張が強くなって来た。ツナ缶では足りないらしい。
 ……俺はチートで食事不要にしてから、食事というものをしなくなったから忘れていたが、よく考えれば前世のガキの頃は普通に1日三食、おかわりだってしてたはずだった。

 それが?朝昼晩ツナ缶1つ?……ははっ。前世なら児童虐待で掴まってもおかしくないレベルな件。終わってるのは俺だった?そうかもしれない。
 どうも、チートに慣れると人間味が薄れてくるみたいだ。まぁ、そりゃそうか。なんなら呼吸だってしなくていんだしな。人間とは?

 そういうわけだから、器を使って言語レベルを開放。通常会話が出来そうなぐらいに上げておいた。
 言葉が通じないってことは、それこそ犬猫の相手をするようなもんだ。それじゃあ、人間というものを部分的に忘れてしまった俺と暮らしてると不便が多いだろう。
 そういうわけで、声を上げられるようにしたんだが。

 第一声は、腹減った、だった。
 まぁ、そうだよな。知ってた。

65日目
 会話できるようにすると別の意味でうるさくなった。
丸いのくれ、とうるさいんだ。丸いの、というのはどうもツナ缶のことらしい。今朝は5つも食って、まだくれとうるさいから、これ以上食ったら昼の分は無いぞと言ったら黙った。
 一々缶を開けるのがめんどくさくなって、食パン一斤を出すと、今度は丸いのにしろとうるさい。
 食パンには見向きもしない。結局昼はツナ缶を食った。

 食パン見てたら久しぶりにこんがり焼いたチーズトーストが食いたくなったから、こんがり焼いたチーズトーストを召喚して口を大きく開けたら、どうやってしがみついたのか、テーブルの端で爛々と目を光らせるガキと目が合った。口の端から涎が垂れている。
 おまえはそれ。と食パンを指差すが、見向きもしない。未だに俺のチーズトーストに釘付けだ。
 涎が机に垂れて水たまりを作っている。……クソが。

 当然だが、チーズトーストを突き出すとかぶりついて、俺の手からもぎ取ると机から降りて、がつがつと食い始めた。
 俺はため息をついて、口の中に一口サイズのチーズトーストを召喚して食うことにした。

 もう一つ取られちゃかなわん。あれはざっくり齧るのがいいんだけどな……。地味にめんどくさいんだ「こんがり焼いたチーズトースト召喚」のコマンドは。

つづく

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