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ホームレスへの偏見

駅前で帽子を深くかぶり、落ち着きなく身体を揺らしながら足踏みしていた。
左の手にはBIG ISSUE。

私は思い切って彼の前に立った。足踏みが止まった。何も声はかけてくれない。
お財布を出し、「一冊ください」と言うと、「ありがとうございます」という返事が返ってきて、彼は右の手を広げた。私は手のひらに350円をのせた。

彼の左手のBIG ISSUEは、クリアファイルに入っていて、彼はクリアファイルの開いている方を私に向けた。
彼は本に触れることなく、私は、クリアファイルの中から本を抜き出した。

本を手にし、改札に向かってスタスタ歩いていたら、涙がポロポロこぼれた。



山手線のホームで表紙を見つめた。そこには、350円のうち、180円が販売者の収入になります。と書かれていた。

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ホームレスの人が販売している本がBIG ISSUEだと知ったのは、今年のことだった。

駅近くで、雑誌を持って立っている人がそういえばいるなぁ。と思い浮かんだ。

ホームレスの方の仕事を作り自立するための支援活動なんだと知り、どんな本なんだろう。買ってみよう。と思ったが、正直買うのが怖かった。

今月、町田でBIG ISSUEを立ち上げた佐野さんの講演会を聴きに行く機会に恵まれた。
自分のなかのホームレスへの偏見を知った。

その時、まずは、自分で買ってみよう。と思った。

そして今日ようやく本を手にすることができた。

佐野さんのメッセージがよみがえる。
孤独じゃなく、孤立だって。。
孤独であることすら奪われる。って。

よく、ホームレスの方が怖いと言う方がいますが、彼らの方が怖がってますよ。
火をつけられるかもしれない、盗まれるかもしれない、嫌なことを言われるかもしれないって。怖がってますよ。
と佐野さんは仰っていた。

住むところがないと、働くことができない日本社会の中で、ホームレスの方が自立するには高い高い壁がある。

だけど、自分で本を販売することができたら、自立への道が開けていくんだろうなぁ。

今日の販売員の方も、いつか住むところができますように。と願って書かせて頂きました。

駅前で見かけたら1冊購入してみませんか?

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