「AKIRA」読了備忘録


漫画「AKIRA」を読んだのでその初期衝動をメモしておきます。


!!!!!弩級のネタバレが怒涛の勢いで現れますのでご了承ください!!!!!





・読破直後の感想「アキラの自我!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

・アキラの自我が戻ってきたところで泣いてしまった。

・ナンバーズがつらすぎるという話を永遠にしている。アキラ・キヨコ・マサル・タカシそしてミヤコ様を含むナンバーズ、一度でも自分の好き勝手にできたことがあったか?

・強い力を持つ超能力者たちのうち鉄雄と10・20番代ナンバーズの絶対的に違うところは、物心着くまで外の世界で育てられてきたか否かだと思っている。それが全能感に溺れ力に翻弄されるか否かの大きな境目だったと思う。アキラを除く10・20番代ナンバーズはあれだけの大きな力を秘めながらそれを人々を守ることに使うものだと当然考えている。アキラによる爆発を即座に察したキヨコがマサルに出来るだけ多くの人を逃すよう指示したり、ミヤコ様が身を挺して鉄雄を止めようとしたりするところからも、自らの力は災厄を止め人々を救うためにあると考えていることがわかる。当然自らの力は災厄を呼ぶことが可能である自覚はあるはずだが、そのようなことに使うものだとは考えていない。これは、もちろん彼らの性格や理性もあるだろうが、それ以上に教育が大きな影響を与えているんじゃないかと私は思う。

・鉄雄が力に溺れた背景に彼の大きな劣等感があったのは言うまでもないが、暴力が横行する社会に生きていたことも一因であると思う。20代ナンバーズは、そのような劣等感や暴力とは無縁の環境で、その時々の目的を遂行することが自分たちの役割であると重ね重ね教育されてきたのではないかなあ。ミヤコ様も廃棄されるまではそう育てられてきたのだと思う。彼らの優しさと人々への献身は、そう生きるよう育てられた結果なのだろうなと思うにつけ苦しい。

・覚醒とともに自我が吹っ飛んでしまったアキラは言わずもがな。最後に戻って本当によかった…。

・ミヤコ様の最期、カッコ良すぎないか?

・みんな「AKIRA」はミヤコ様がサングラスを外すまで読んでください。そのあとは一瞬なんで…。

・ここまででお分かりのように「AKIRA」ではミヤコ様とナンバーズが推しです。自分がああいうビジュアルのキャラクターを好きになれることを嬉しく思っている。

・鉄雄×カオリ、推しCPです。

・鉄雄×カオリ……。

・鉄雄×カオリがいつまでも穏やかに生きていくパラレルストーリーが読みたい気持ちvsあの出会い方でなければあの二人はああいう愛の育み方をしないだろの気持ちで感情がめちゃくちゃ。

・読んでてぜんぜんわかんなかったんだけどwiki読んでやっと理解したんですけどあれキメセクだったんですね、致死量の薬物摂取するとああなるんだ?

・異形の肉塊と化した鉄雄がそれでも最後までカオリの亡骸のあるアキラ冷凍カプセルを離さなかったことが本当に苦しい。あれだけ理性を失って全てがわからなくなってなお縋る先だったんですよ。

・私はカオリを撃った隊長を許さない。絶対に許さない…。

・隊長、あれだけ鉄雄の近くにいながら能力を獲るための薬物摂取や訓練などせずただ能力者を酷使するだけだったのもコスいですよね…。許さない。

・でも隊長がいなければ鉄雄とカオリは出会ってないんだよな…いや許しはしないが…。

・まあこういう「許さない」みたいな感情を読者に湧かせるキャラクターのいる作品というのは優れた作品だと思うんですよね(憎しみに収集がつかなくなってきたのでここでおしまい)。

・「AKIRA」、小説「新世界より」の前日譚ではないですか?

・以下「AKIRA」と「新世界より」の共通点。

・共にサイコキネシス、超能力を持つ人間の存在が物語の核となっていること。

・超能力がきっかけで世界規模の戦争が生じたこと。「AKIRA」ではアキラの能力覚醒によって生じた水爆規模の爆発を引き金に第三次世界大戦が生じた。「新世界より」では超能力者と非能力者の間で戦争が生じ、それによって文明が崩壊したという記述がある。

・超能力者が非能力者に干渉することで超能力を拡散させたと思われる描写があること。「新世界より」では、研究施設にて世界で初めて超能力の存在が確認されて以降、その影響で超能力に目覚める人間は世界全体に拡がったという内容の記述がある。「AKIRA」では研究施設で生み出された超能力者が非能力者に干渉したり投薬を繰り返すことで超能力を目覚めさせる描写があり、「新世界より」で記される「超能力者の拡散」の初期段階というのはこのようなものだったのではないかと想像できる。

・「新世界より」は今から1000年後の未来が舞台で、主人公たちの物語が始まるまでの1000年間に人類は超能力(劇中用語で「呪力」)を得たことによる様々な破滅を経験している。「AKIRA」はその超初期段階、呪力を持つ人間が世界に拡がっていく段階ではこのようなことも起きたのではないかな、と思ってしまうような内容だった。

・「ある作品を読んで全く関係ない他の作品の解像度が上がる」という現象に初めて出会って動揺している。

・Twitterのフォロワーがガンギマリの顔で「劇場版ウルトラマンR/Bはアナと雪の女王2」と言っているのをんなバカなと思いながら聞いてましたけども、すいません、「AKIRA」は「新世界より エピソード-0.5」でした。

・「新世界より」、鏑木肆星と日野光風の幼年時代スピンオフを頼むから出してくれ。特殊な身体と能力と風貌を持つ肆星を理解できたのは光風だけだったんだよ(※幻覚)。

・「新世界より」を完全に「AKIRA」で補完してしまっている今、「AKIRA」終盤のミヤコ様の「超能力を獲ることは人類の欲した進化」という発言を「新世界より」で描かれる文明崩壊後の世界に当てはめるとまた複雑な気持ちになりますね。

・ミヤコ様やアキラたちナンバーズは亡くなったり消えたりしたけれども、ケイをはじめとする弱い能力者たちはまだ東京に残っているんだよな。金田たちが復興させる新しい時代は、能力者とともに生きる時代ということでもあるし、ミヤコ様のような理性ある指導者・ナンバーズのような強力なストッパーはもう存在しないので、あの物語の終わりは復興の始まりなのか破滅の始まりなのか…というところはとても気になるし、もし破滅の始まりであるならばその先につながる未来の一つに「新世界より」のような社会もあるのかもしれないなと思いました。まあ能力者を開発した時点で破滅は始まってたのかもしれないけど…。

・あと絵がうますぎる!!!!!「大友克洋は絵がうまい」って「モーツァルトは作曲がうまい」みたいでバチが当たりそうなんですけど事実としてうますぎる。圧がすごい。

・結構スピード重視でグイグイ読んでしまい、じっくり画を見るということができていないので、多分ちゃんと見たらまた新しい発見があると思う。

・とにかく面白かった、というか凄かった。オタク必修科目なだけあるというか、名作は名作とされている理由があるんだなと改めて感じました。

・実験の処理待ちしている間ヒマだな…明日オリンピックだなあ…とぼんやり考えていたらあのインターネットで100回見た「中止だ中止」看板が脳裏に浮かび、そのまま何も考えずに大学の院生部屋に置かれている単行本を手に取ったのですが、ビッグウェーブに乗ることは悪いことばかりではないなと感じました。よかった!



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