Freedom Custom Guitar Research “Arimizo & One Point Joint”について
みなさま、こんにちは。今回は日本のブランド「Freedom Custom Guitar Research」による特許取得のジョイント方法である「Arimizo & One Point Joint」についてお話したいと思います。
そもそも楽器のボディとネックを接合する方法として、ボルトで締めこんで接合する「ボルトオン」、接着剤で固定する方法として「セットネック」があります。ちなみに、ネック材をボディエンドまで同じ素材で製作すると「スルーネック」と呼んでいます。
セットネックの代表的なものとしてはギブソンのギターであるレスポールが有名かと思います。ベースではヴィクター・ウッテンのフォデラ・モナークが分かり易いかと思います(Foderaでは”Deluxe”になります。スルーネックは”Elite”です)
ボルトオン構造自体はフェンダーが一般的にした製作方法ではないかと思います。「世界初の量産型エレキギター」を製作したメーカーですので「量産」できる製作方法として、ボディとネックを別々に組み立てる、完成したら一緒にする。といいた合理的な製作方法です。
メリットとしては製作工程の簡略化(ボディとネックを別々に木工、塗装することができます)、ボディ、ネックのどちらかに不具合があった場合交換することが容易にできます。
セットネックの場合、ネックをボディにジョイントした後に塗装作業に入りますので塗装が大掛かりになります。
今回のテーマである「Arimizo & One Point Joint」はボディとネックの接合部の日本古来の建築技法でもある「蟻溝」を楽器に取り入れたボルトオン構造になります。
ボディ側を「逆八の字」として、ネック側を「ほぞ」の形とすることで接合時に高い強度を得ることができます。
ボディ表面からはネックが入りませんので、ボディ上部からスライドし、1点のボルトでジョイントします。
これが「Arimizo & One Point Joint」ということになります。
ボルト1本でボディとネックが接合されていることに対して強度の心配をされる方もいますが、蟻溝の強度もあり不具合を聞いたことがありません。
ここからが「Arimizo & One Point Joint」のメリットとなりますが、Freedomの楽器の特徴として「ネジの締め付け具合」でサウンドを変化させることのできる「トルクマネジメント」を施したうえで出荷しています。
ネジを締める、緩めるで楽器のキャラクターを変化させることができますが、複数のボルトで止まっている楽器では各ボルトによって効果も変わってくるので調整がややこしいです。
これをプレイヤー自身が自分の手で、簡単に調整できるのが一番のメリットではないかと思います。
蟻溝の形状を見ていただけるとわかりますが、ボルトを締めこむことでネックの底面がボディと密着します。この密着具合によって減の振動具合が変わってきます。
これにより高音域や倍音感を抑えることができ、引き締まったサウンドになってきます。どちらかといえば「モダンなサウンド」。
反対にボルトを緩めることでネックのサイドがボディと密着することになります。
これにより倍音成分が豊かになってきます。ルーズな雰囲気を持ったサウンドは「ヴィンテージ・ライクなサウンド」になります。
パッシブ楽器であれば搭載されているトーンコントロールがコンデンサーを利用して高音域の出方を変化させるコントロールに対して、「Arimizo & One Point Joint」は楽器の「鳴り」をコントロールすることのできる部分となります。
知らない方も多いかと思いますがジョイント部のプレートはブラス製とアルミ製の2種類があります。
アルミ製になるとフェンダー風の響きになるのでアルダー材にはぴったりです。
レコーディング時にモダンなサウンドが求められると思いきや、ヴィンテージ風なサウンドのリクエストがあった際(もちろん逆も)にも1本で、その場で対応できる画期的なシステムです。
ちなみに、蟻溝の木工加工は非常に高い精度が求められるので職人の技術の高さの表れでもあります。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。次回もお付き合いいただければ幸いです。
八坂
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