Fender Custom Shop ~2021 Custom Collection~1959 Precision Bass Relicについて

みなさま、こんにちは。今回はフェンダーの2021年のカスタム・コレクション(カタログ掲載モデル)のなかからジャズベースと並ぶ定番モデルとなるプレシジョンベースを紹介します。

Fender Custom Shop ~2021 Custom Collection~1959 Precision Bass Relic

いわゆる「Time Machine Series」です。1959年はプレシジョンベースにとって3回目の変革期になります。
(1回目は1954年のスラブボディからコンター加工の施された時期、2回目は1957年のスプリットコイル・ピックアップに変更し、馴染みのあるプレベの見た目に変更したとき)
ただし、1959年の変更は複数個所の変更があったためカスタムショップのリイシュー(復刻)でも様々なモデルが過去ラインナップされていました。2021年のカスタム・コレクションは指板がローズウッドに変わる前のメイプル1ピースネック、ピックガードが鼈甲柄になる前のゴールド・アノダイズド・ピックガード、ピックアップは3弦のポールピースが飛び出たスタガードからフラット・ポールピースに変更後の過渡期仕様です。

まずネックを見ていきます。ネック材は柾目のメイプル1ピースネックになります。
ネックの反りを調整するトラスロッドはネック裏から仕込まれていますので仕込んだ痕跡としてウォルナットで蓋をした「スカンクストライプ」が確認できます。

ネックグリップは「60 P-Bass Oval”C”」のネックグリップに指板ラジアスはフラット気味な9.5インチにミディアム・ジャンボのフレットが打ち込まれています。

ボディ材はアルダー材2ピースが標準となりますが、エイジド・ホワイト・ブロンドのみアッシュ材になっています。これはヴィンテージでも同様でブロンドカラーのみアッシュ材を採用していました。
ピックガードはアルミニウム素材に特殊な加工を施したアノダイズド・ピックガードになっています。これは50年代仕様のプレベの象徴のようなものです。
ピックガードを留めているビスは10個です。鼈甲ピックガードになると13個に変更されます。ちなみにカスタムショップのプレベのボディは2種類あり、それぞれピックガードによってコントロール部のザグリが違います。ピックガード交換の際にはご注意ください。

ピックアップには手巻きの「Hand-Wound ‘62 P-Bass」がマウントされています。50年代のプレシジョンベースの個性でもあった3弦ポールピースの出っ張りがフラットになるのが1959年です。2フィンガーで弾いた際にどうしても気になるという方も多かったのではないでしょうか。アノダイズド・ピックガードのプレベの宿命でもあったので、一部のプレイヤーには朗報かと思います。

フィニッシュの仕上げは近年人気の高い「Journeyman Relic」です。長年大切に使いながら、週末には時々ライブして…ってイメージです。大事に使いながらもたまにはアンプの角にぶつける時もあるでしょう。ストーリーを感じることのできる仕上げで「わざと」キズをつけていますが「わざとらしさ」を控えめにしています。

多くの人がイメージするプレベの温かみのあるイメージよりもメイプル1ピースネックによるゴツゴツしたイメージのほうが強いベースです。70年代のメイプル指板のベースもアタック感が強いですが、低音の強さは50年代のメイプルネックのほうが強い印象です。
過渡期ならではの正しい「1959年プレシジョンベース」の正解がないので、何でもありですが「この仕様を探してた!」って方にははまる1本ではないでしょうか。

今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。次回もお付き合いいただければ幸いです。

八坂
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