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Fender Custom Shop MBS 1959 Precision Bass Relic by Greg Fesslerについて

みなさま、こんにちは。今回はフェンダーのカスタムショップの中でも一人の職人が責任をもって1本の楽器を作り上げるマスタービルドの中から「Greg Fessler」の手掛けたベースを紹介します。

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Greg Fesslerは1990年にフェンダー・カスタムショップのメンバーとなり、1993年にマスタービルダーに昇格したビルダーになります。海外ではジョー・ボナマッサ、ジェフ・ヒーリー、ハンク・マーヴィン、ジョン・メイヤー、ニール・ショーンのギターを手掛けていますが、ベーシストとしてはロンダ・スミス、ピート・ウェンツの楽器を手掛けています。日本国内ではL’ark-en-CielのKen氏、さらにはLUNA SEAのJ氏のシグネイチャー・モデルを手掛けたことでベーシストにもなじみのある名前となっています。細部にまでこだわった造りと楽器の鳴りを意識した木材選定眼は他のビルダーからも高い信頼を得ています。


今回紹介の1本はフェンダー・ベースの中でもプレシジョン・ベースにとって過渡期の仕様となる1959年をモチーフとしたベースになります。プレベにとって1959年はこれまでのメイプル1ピースのネックから、ローズウッド指板が登場する年になります。また、ピックガードもゴールド・アノダイズドから鼈甲柄ピックガードに変更となります。
ただし、「モチーフ」にしているだけあって、本機は完全な1959年スペックではなくグレッグのアレンジが効いています。

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まず、ボディは当時、ブロンド・カラーのみ採用となっているはずのアッシュ材。ただ、アッシュ材の中でも加熱処理を施したロースト・アッシュを採用しています。木材内部の水分を加熱することで減少させることで乾いた響きとなり、重量も軽量に仕上がります。
ネックはメイプルの柾目材となっています。ボディのロースト加工に合わせて、ネックをロースト加工にすることもありますが本機は通常のメイプル材です。


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指板にはローズウッドのスラブ貼り、指板のラジアスはヴィンテージ・スペックに倣った7.25インチになります。フレットは細身の幅のヴィンテージ・アップグレードになっています。1960 P-Bass Oval”C”のネックグリップで幅の広さはありますが、ラジアスを小さくすることで体感的にスリムなネックグリップとなります。


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ピックアップにはホセフィーナ・カンポス女史によるハンド・ワウンドの1962 P-Bassがマウントされています。1950年代を象徴する3弦のポールピースが飛び出たスタッガード・ピックアップではない、フラット・ポールピースになっています。


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過渡期の仕様なのでアノダイズド・ピックガードか鼈甲柄ピックガードが取り付けられるはずですが、70年代を意識させるブラックの3プライのピックガードが取り付けられています。ピックアップフェンス、ブリッジカバーは取り付けられていませんが、これは過去にも扱ったことのあるグレッグのプレベと共通したスペックです。


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フィニッシュの仕上げは「Relic」になっており、導管の凹凸を感じられる薄いラッカーフィニッシュとなっています。ローストしたアッシュ材を使用しているので、ボディの地の色が茶色くなっている影響もあり、サンバーストのカラーリングも赤みが強くなっています。



ヴィンテージを意識しながらも特定の年代に固執することなく「良い楽器」を作っているビルダーのイメージがあるグレッグ・フェスラー。「鳴りの良さを生かした木材構成を追求したら軽量に仕上がった」的な印象を感じさせてくれるベースです。ヴィンテージ好きではなくプレベ好きなプレイヤーに試していただきたいベースです。


今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。次回もお付き合いいただければ幸いです。


八坂
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