コミュニティの停滞を打破するために

過去にジャズのビッグバンドに所属していたことがあり、20名前後で構成されていた。僕の活動自体は2年ほどだったが、その際に実感したのは人間が複数人集まると派閥に分かれるということだ。この感覚は今なお受け継がれており、どの組織にも派閥あるいは関係のグラデーションが存在することを実感する。

宇野常寛が指摘するように、人間は相互承認を求めざるを得ない。

SNSの「いいね」の数が目的化し、人の賛同を得るために振る舞う過程で、他者を追い落とす。その哀しい性質は人類の進化と関係するものらしく、我々の本能なのだろう。

人間の交流を中心に添えた時にコミュニティは不穏な空気に包まれるのかもしれない。それゆえに何らかの「仲介」が必要となる。僕らがウェブ上に構築しようとしているフランス語のサードプレイスは、フランス語が共通の話題となることで、人間が直接対面する方式とは形態が異なっている。

プロジェクトには共通の話題が必要であり、その話題が「モノ・コト」から「ヒト」へとスライドした時にコミュニティは危うくなる。いわばオタク的な共通の「モノ」に執心する繋がりが意味を持ってくる(そしてそんなオタサーに姫が登場したときのコミュニティの危機は今さら言うまでもない)。

今年は膠着したコミュニティのいくつかを具体的な企画で再活性化させていこうと思う。僕ら専門家は、フランス語・フランス文化を共通の「モノ・コト」と見做すことができることがまず圧倒的な幸せなのだ。

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