JFLとJ3のクラブ入れ替えについて考える

今さらだが、東大阪市をホームタウンとするサッカークラブ「FC大阪」のサポーターをしている。

FC大阪は2022年までアマチュアリーグ最高峰のJFLのチームだった。JFLはあくまでアマチュアだが、Jリーグへの昇格を希望する場合、JFLで上位となり、かつ年間の観客動員数の条件をクリアするとJ3のチームになれる。

2022シーズンを2位で終わり、J3参入を決めたFC大阪

このようなJFLとJ3の関係が2023年シーズンから大きく変わろうとしている。

これまでJ3からJFLへの「降格」は存在しなかったが、今年から「J3下位チームはJFLに降格する可能性がある」ことが発表されたのだ。この決定には「J3チームに降格の危機感を与えることで競争意識を高める」といった目的があるのだろう。また、おそらくリーグ全体を通じた構造上の問題が関係しているのかも知れない。

個人的にはこの決定に少なからぬ違和感を覚えている。

僕が理解するところ、JFLはアマチュアのトップリーグだ。その下には地域リーグ、都道府県リーグがある。都道府県リーグから始まるサッカーチームが最後に到達する場所がJFLだ。従ってこのリーグには企業チームの強豪が所属している。その中に「Jリーグを目指すチーム」もあり、一定の条件をクリアすることでJリーグに「参入」できるのである。

生駒山を望むホームグラウンド

言ってみればJFLを頂点とする「アマチュアの山」と、J1〜J3の「Jの山」があり、両者は上下関係ではなく、併存しているという理解だ。しかし今回の改革では、二つの「山」が一続きと見做され、「J3からの降格」が生じるようになる。

むろん、JFLからの参入チームが毎年のように増えれば、J3のチーム数が膨れ上がってしまう。そのために両リーグの上下関係を明確にし、J3を降格ありのリーグにすることによって、構造が安定するのだろう。だが、JFLには「JFLを最後の到達点とし、Jリーグに移動せずにサッカーを続けるチーム」が存在する。僕自身は多様な目的でサッカーに対峙するチームが混在するところにJFLの面白さを感じていた。それゆえにJFLはアマチュアの頂点として「Jの山」とは異なるものとして存在していたのだ。今回の決定はその価値観の転換を試みるものである。

僕が覚えた違和感がどう変質していくか、それはFC大阪のJ3でのプレイを見なければわからない。人間は慣れていくので、案外すんなり馴染んでしまう可能性もある。この決定を受けて、JFLは「アマチュアを含むJの下部リーグ」として生まれ変わる。部分的に交流してきた「アマチュアの山」と「Jの山」の境界線が変質し、両リーグの文化が接触し・変容する。地域や企業に密着し、独特な魅力に包まれていたJFLの文化をどう変質させるのか、そして上だけを見ていればよかったJ3にどのような変容があるのか。2023年はFC大阪を応援しながら地域サッカーの文化変容に立ち会ってみたい。

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