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VERBE〜動詞的な日常

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「動詞としての文化」とは何かの考察
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2023年9月の記事一覧

空と地を繋ぐ

子供の小学校の校内放送で「白鳥の湖」が流れるらしい。そんな折、近所のコンサートホールでキーウ・クラシック・バレエの公演があったため、子供と二人で鑑賞してきた。バレエを見るのは初めてである。

僕は文学研究をしているが、文芸以外のところではポピュラーカルチャーに接する機会の方が多い(いや、文芸もエンターテインメント系を読むことが多いが)。だがたまにクラシック音楽に触れると演者の技量に圧倒される。過去

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親と子の共犯関係に甘んじながら

飛鳥応援大使の仕事で明日香村に行き、ついでに家族と遊んでいたら、いつもの古墳(新沢千塚古墳群)で子供を抱いたまま転倒してしまった。結果、次男が足を挫いてしまい、大きな怪我ではないものの、1〜2週間ほど足を固定して生活することになった。

甘えた次男を抱きかかえ、自分が好きな古墳で遊び、二人で転んで怪我をする——親子の関係性が引き起こした事故だろう。

『アリスとテレスのまぼろし工場』は、ある意味で

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可視化されぬ認知の歪み

フランスでラグビーのワールドカップが開催されており、日本や強豪国の試合を視聴している。

今回の大会で興味深いのは「バンカーシステム」の導入だ。ラグビーでは危険なプレイにはイエローカードを出し、10分間プレイを禁じられる(シンビン)。だが特に危険と見做されたプレイはイエローカードからレッドカードへと変更され、ゲームを通じて戻ることが許されない。イエローか、レッドか——これはゲームを通じて数的不利を

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社会の「喪失」の二重性

九月になり、例年のプロジェクトで故郷の青森県弘前市に滞在した。弘前では基本的に宿は取らず、実家に泊まっている。実家を離れて長いので、生まれ育った家ではあまり落ち着かず、妹家族に招かれるなどして、「客」としての時間を過ごす。

結婚、死別、出産を経て、家族は変質し、新たな家族へと接続される。

この期間にクローネンバーグの新作を見たり、戦争ドキュメントを見たりしていたのに、今から語るのが『クレヨンし

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