【RPG】『アウラルと光の竜~Gathering Light~』感想
【概要】
『アウラルと光の竜~Gathering Light~』は、2024年7月にリリースされたばかりの長編RPGだ。
DLsite.comで販売されており、2024年8月9日までセール中となっている。
ある日タイムラインに流れてきたこちらの作品、一目見た時点でもピンと来るものはあったのだが、「(プレイヤーの分身ではない)男キャラが仲間キャラとして存在している」のが大きな決め手となってすぐに購入&プレイ。
可愛い女の子は大好きだけど、カッコいい男キャラも同じくらい好きなんですよ。
こんな純粋なのか不純なのかよく分からない理由で手を出した「アウひかGL」であったが、結果として、非常に心地良くて、それでいて最後まで飽きさせないメリハリもある、とても満足できた作品となった。
【とりあえずこんな人にオススメ!】
「オーソドックスなコマンドRPGがやりたい」
「がっつり遊べる長編作品が好き」
「魔物娘が好き」
「というか可愛い女の子ならなんでも好き」
「でも魅力的な男キャラも仲間にいて欲しい!」
「あんまり暗い世界観やストーリーは苦手」
「でも最初から最後までほのぼのなんじゃなくて、適度に緊張感やシリアスなシーンも欲しい」
もし貴方がこれらに共感を覚えるのであれば迷わずプレイして損はない。
当てはまっているものが多ければ多いほど、きっとあなたに刺さる作品になるはずだ。
ここから先は、個人的な感想として本作の好きだったところ、そして少量の気になったところを述べさせて頂こうと思う。
ゲーム序盤~中盤あたりのネタバレを含むため、ご注意いただきたい。
頂きたいっていうか、気になるけどまだ遊んでないって人はこんな記事読んでなくていいからすぐプレイしよう。
【好きなところ①】大ボリュームを通して描かれる人魔団結の物語
この世界では人間と、様々な種族の魔物(娘)たちが生活している。
この手の作品の世界観としては珍しく、人間と魔物娘たちは仲が良いということはまったくなく、魔物娘同士でもそれぞれの種族がそれぞれのテリトリーで過ごし、慣れ合ったりはしていない。
むしろ全体的にはかなり険悪寄りで、異なる種族が対峙すれば互いに警戒、最悪命の危険も十分にある。
そんな世界における変わり者中の変わり者が、人間と魔物の絆の可能性を信じ続けている人間の男性、『グレン』だ。
彼がアウラルネの魔物娘にして本作の主人公、『アウラル』によって窮地を救われるところから「アウひかGL」の物語が幕を開ける。
ひょんなことからグレンとアウラルの2人は自称伝説の光の竜、『セレ』と出会い3人で旅をすることになる。
その旅路の中で、世界のあちらこちらで戦火を散らしながら、ワーウルフ、マイコニド、リザードマン、ハーピー、スライム、そして人類の最大の敵であったはずの魔族とも巡り合う。
そうして、この世界の誰しもが想像しえなかったであろう、様々な種族が団結した異種族混合隊が結成されるのだ。
その連合軍の中心として、異種族の絆の橋渡しを努め続けたのが主人公のアウラル、そしてグレンだ。
人間からも魔物からも奇怪なものを見る視線を浴び続けながら、さしてそれを意に介することもなく彼女たちは冒険を続けた。
実際のところ改めてになるが、人間にとって多くの魔物が危険な存在であることは間違いなく、逆に魔物にとっては人間は命を脅かす大敵となりうる。
そんな世界で、そんなことは承知の上だと、それぞれ違ったやり方で異なる種族同士が共存できる可能性を信じ続けたアウラルやグレンの姿には、胸をうたれるものがあった。
一方で異種族同士が対面するリスク自体を無視している訳ではないのが本作のとても真摯で、印象的なところだ。
人間だから、魔物だから信じるのではなく、信じられる相手だから信じる。本当の意味で「分け隔てが無い」スタンスを貫くグレンの姿は、自分にとっては間違いなくアウラルと並ぶ主人公であり続けた。
種族の垣根を越えて結成された混合隊は、世界に対してどのような影響を与えるのか。
それが描かれる中盤以降の盛り上がりは、掛け値無しに素晴らしく、本作の大きな見所にして魅力と断言して差し支えないだろうと思う。
【好きなところ②】優しくて魅力的で温かいパーティメンバーの面々
先の項目で触れたように、世界観そのものは割と殺伐気味である。
ただ、だからこそ和気あいあいとしたパーティメンバーの雰囲気がとても心地よい。
種族は違えども優しさの連鎖で繋がっていった仲間たちの結束は強い。
ギスったりすることも皆無と言ってよく、とても微笑ましい。
更にフリートークシーンやスキット(おまけエピソード)など、彼女たちの会話を楽しめる場面が本編とは別個に用意されているのも嬉しいところ。
シンプルにテキストが良く、賑やかな年少組、巻き込まれるグレン、それを見守る年長組…などなど、種族も立場もばらばらな彼女たちの掛け合いは、できることならば無限に見続けていたかったほど魅力的だった。
【好きなところ③】キビキビとテンポ良く動くサイドビューバトル
ストーリー面、キャラクター面と書いたところでバトル面。
戦闘はとにかくキャラクターの動きのテンポが良いのが非常に良かった。
いわゆるRPGツクール製の作品のデフォルト戦闘システムの域を大きく逸脱している訳ではないのだが、演出の鋭さや敵・味方の火力のバランスによってとにかくサクサクで快適。
特にキャラクターのテンポの良さについては公式の作品紹介でも推されている要素なだけはある。
一方で戦闘バランスについてはかなり独特なゲームではあった。
自分のプレイの場合だと、中盤あたりまではボス戦では毎回一進一退の攻防、白熱したバトルが展開されていたのだが、グレンくんが途中から何かよく分からない数字を叩き出す破壊神となり、そこからはほぼ全てのボスを2~3ターンで粉砕するゲームになった。
自分としてはこれはこれでものすごく楽しかったし、なによりグレンのこのスキルが(おそらく)作中屈指の強力さを誇るのは世界観的に素晴らしいものがある。
また、本作はキャラの育成やカスタマイズ、そしてみんな大好き戦闘中のターン消費無しキャラ入れ替えによる戦術の幅が広く、かなりバトルの自由が高い。
だからこそ、こういうゲームを破壊する壊れムーブを見つけられると凄く楽しいという一面があるのだろうと思う。
ただ、他の人がプレイしたらどのような戦闘になって、どのように感じるのか、ちょっと想像できないというのも確かではある。
それもまた本作の魅力であろう。
ぜひ、自分だけの強戦術を見つけて楽しんで欲しい。
【好きなところ④】魔物娘を主人公とした全年齢対象の長編RPGであること
公式ストアページのサムネイルからして強調されているが、本作は全年齢対象のゲームとなっている。
「なぜこのえっちさで全年齢対象のゲームなんだ」と言われているのをよく見るのだが、自分としては必ずしも魔物娘とR-18を結びつける必要はないと思っているし、ていうか、むしろ全年齢対象であることでえっちさが際立つ面もあると思っているのだが?えっちな雑誌に載ってるえっちな漫画とジャンプに載ってるちょっとえっちな漫画だったら俺は後者のほうがえっちだと思う。でもえっちな雑誌に載ってるえっちな漫画もまた素晴らしいとは思うので要するに全年齢対象でもそうでなくてもえっちなものはえっちであるからこそ必ずしもR-18に拘る必要は俺はないと思うあとなんていうか凄く説明が難しいんだけどなんかこのゲームで合間合間にモロのえっちシーンとか挿入されてもなんか違うんじゃないかってなる気がするぴよ!!!!!!!!!!あとこれはメチャクチャ個人的な事情なんだけど単純に昔からツクール製のゲームに慣れ親しんできたせいでツクールゲーでえっちシーンがあってもなんか自分の部屋で知らない人がえっちなことしてるのを見てるみたいなものすごい微妙な居心地の悪さを感じてしまってたぶんこれ共感してくれる人この世にいないと思うんだけどなんか居心地が悪くてそういう個人的な嗜好により本作はあくまで全年齢対象のゲームとしてしかも俺の好きな長編RPGとして作ってくれたことが本当にすごく嬉しくて負けないでくれこの世の中に溢れ続ける18禁RPGの大海にそしてツクール製RPG=エロゲみたいな認識を覆してくれという願いをこめてそうそれこそが光の王道Gathering light―――えっ次回作18禁ゲームなの!?絶対プレイします!
【気になったところ】
最後に、プレイしていて少し気になった点も挙げさせて頂こうと思う。
それは通常戦闘のBGMについてだ。
本作は通常戦闘のBGMを手動で切り替えることができる。
これはストーリー性の薄い、バトルメインの作品であればいつでも気軽に気分転換ができる良いシステムだと思う。
ただ「アウひかGL」はストーリーもまた秀逸、しかも章仕立てとなっており、更にその中で前編、中編、後編という極めて分かりやすい区切りが存在する構成になっている。
自分はここで切り替わらなかったらいつ切り替わるんだよと強く思いながら中編、後編の開始時とラスダンの突入時に手動でBGMを変更したが、射精のタイミングの調整に似た虚しさはぬぐえなかった。
正直なことを言わせてもらえれば、物語の節目節目で自動で通常戦闘BGMが切り替わって欲しかったというのが本音だ。
ちなみにラスダンの通常戦闘のBGMは前編の通常戦闘BGMと同じものに回帰するかマップBGMシームレスにするかで悩みました。そう。
大ボスを倒し、章が切り替わり、新たな物語が始まる予感を抱きながらなんとなしに突入した初ザコ戦で、突如としてこれまでとは違う通常戦闘BGMが流れる。
何度でも無限に味わいたいこの体験を、本作で得られなかったのは非常に惜しく思う。
【総評】
「心地良かった」。
本作を一言で表現するならその言葉に尽きる。
自分たち以外の種族は敵、場合によっては同じ種族でも敵。
そんなシビアな世界観の中で、優しさに満ちた仲間たちと、彼女たちだからこそ紡ぐことができた光の物語。
バトルの難易度や自由度の高さも丁度よく、よりストーリーを楽しませてくれる、王道のコマンドRPGだ。
そんな本作をプレイしていて感じたのは「めっちゃ面白い!」「死ぬほど楽しい!」と言うよりは、やはり心地良さだった。
「波長が合った」、「こんなゲームがやりたかった」と言い換えてもいい。
その思いはグレンとアウラルが出会った最初の邂逅から最後の最後までずっと続いて、「できることならいつまでも終わらないで欲しい」と思った久しぶりのゲームだった。
素晴らしい作品をありがとうございました。
次回作、楽しみに待ってます。純粋に。
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