引用の表紙絵

通信制大学生へ贈るレポートの書き方(11)

引用と参考文献リストのルール

前回は5W1Hについて説明しました。今回は資料から文を引用する際のルールと参考文献の表記方法について説明します。

1.課題要件の把握

2.課題要件を満たすために必要な資料を探し、資料を調べ、内容をまとめる

3.レポートのおおまかな内容を決める

4.レポートを実際に作成する

5.完成したレポートを提出する


引用とは何か?

引用は主題の説明の際に利用します。また、別の人が提示した意見や推測、事実をトピックの説明に用いるのにも利用します。レポートに必ず必要というものではなく、必要であれば使えば良いというものです。

引用は便利ではありますが、使いすぎないことと、ある人が引用した他人の文章を引用(孫引き)しないことが注意点です。必ず原典(オリジナル)から引用しましょう! 翻訳書に関しては、訳者を含め明記します。

本日はレポートの本文中の引用方法について説明し、その後にレポートの最後に添付する参考文献の書き方について説明します。


レポートの本文中の引用

最初に書籍からの引用を使って引用について説明します。引用方法には別の例もありますが、今回は「引用文」(①著者名②発行年③ページ数)の引用方法を説明します。


【引用文「」】

サツマイモは甘くて美味しい。それに栄養価も高い。ただ、それだけがサツマイモの素晴らしさではない。サツマイモは我々の生命を維持するためにも非常に優れた食品なのだ。例えば江戸時代初期の「メキシコのサツマイモは単位面積あたりカロリーが最も高い作物で、10アールの農地で養う人口でみると、小麦が一人ぶん、米が三人ぶんであるのにくらべると、サツマイモなら五人以上が養える」(松岡2007,p.94)という。美味しいだけでなく、みんなの飢えをしのぐのにも有効なのである。


上記は松岡正剛『誰も知らない世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義』(春秋社 2007)より引用しました。

引用部分は「」でくくった部分です。引用文は誤字を含めそのまま引用します。漢字を平仮名に変えたり、平仮名を漢字に変えるのも当然禁止です。

そして引用元の情報は引用文の後の()の部分になります。著者の姓の後に文献の出版年を書き、〔,〕で区切りどのページからの引用なのかを示します。出版年は西暦で書きます。これは個人的に一番多く使う引用法です。

では、引用方法をもう少し見ていきましょう。

【引用文「『』」】

引用文中に「」でくくられた部分があれば、引用としては下記のように引用文の「」を『』に変えて引用します。

サツマイモのことはメキシコの漂着民ドン・ロドリゴによって、江戸幕府を開いた徳川家康も知っていた。しかし「日本でサツマイモが『甘藷』として国内栽培されるのは、ご存知のように琉球経由で青木昆陽が着手したころ」(松岡2007,p.94)十八世紀に入ってからである。


【引用文の省略「……」】

また引用文が長文になる場合は〔……〕を使って省略します。

サツマイモのすごさを物語るには、中国の人口の変化を見ればわかる。サツマイモは明代に中国に入り、救荒作物として普及した。「漢代に六000万人ほど……十八世紀には一挙に四億人になるんです。」(松岡2007,pp.94-95)と明代にサツマイモ効果で飢饉での人口減を食い止め、一挙に六.五倍にも人口が増加しているのだ。


以上が引用の基本です。

では次に引用元の表記について以下にまとめます。

以上が文中に引用する際の引用元記載例です。(※名前は全て架空です。)

レポート作成の際に注意したいのは引用が多すぎないようにすることです。論文となるとそうはいかないでしょうが、レポートなら引用が全くなくても作成できます。


参考文献リスト作成方法

本日の最後はレポート完成後の参考文献リストについて説明します。ここでは

「引用文」(①著者名②発行年③ページ数)の引用方法を使った場合の参考文献リスト作成方法についてお伝えします。

参考文献の記載順序の基本は次の通りです。発行年は西暦で表記します。またリストの順番は〔あいうえお順〕または〔アルファベット順〕です。海外文献の翻訳書はファミリーネーム(=姓)を先に記します。そのため、ファミリーネームを基準に〔あいうえお順〕〔アルファベット順〕に並べます。


参考文献表記例

※名前は全て架空です。


参考文献は別紙に記載し、レポートとともに提出します。下記に著者名を〔あいうえお順〕に並べた参考文献リストと〔アルファベット順〕に並べた参考文献リストの表記例を載せます。参考にしてください。


参考文献リストを〔あいうえお順〕で並べた例

漢字の読みに迷うようなら、参考文献の最後のページのあたりに、著者名と出版社名、出版年月日がのっている箇所があります。著者の漢字の読みが不明な場合はそこで確認するようにしましょう。


参考文献リストを〔アルファベット順〕に並べた例


アルファベットのABCD順に並んでいます。一番うえに翻訳書の著者が来ているのは、彼のファミリーネーム(=姓)がHから始まるからです。ホール・ジョンの下の磯辺和豊の磯辺を平仮名にすると「いそべ」となり、姓のアルファベットは「I」から始まります。Hの次のアルファベットはIなのでホールの次は磯辺になるのです。


引用と参考文献については以上です。

ここまで読めば、レポート作成の基礎はできています。あとは実践あるのみです・・・・・・ということで、次回は実践でレポートの作成過程を紹介しようと考えています。


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