『今日、数奇になりました。利尻編』 見事カップル成立した3組のキセキ
現役債務者の男女10人が、19泊20日でウン命の恋を探すドキュメンタリーショー「今日、数奇になりました。」
season2となる今回の舞台は、1月下旬の利尻島。
寝てる間に勝手に連れてこられ、いきなり全裸で文句ばかり垂れる参加者たちでしたが、お互いを知るにつれて距離が縮まっていき……?
本編は見るに堪えないということで全カットとなってしまいましたが、本記事では特別に、成立した3組のカップルについて、オンエアで語られなかった部分まで詳しくお伝えします。
冬の始まりは、これを読んでキュンキュムしちゃおう!
1組目:ぬりかべカップル
拾ったスーツを躊躇なく着れる、しっかり者の柴田塗塗吾(ぬりぬりご)
♡
想像を絶する天然さと教員免許を併せ持つ、三十路の荻野壁宙(かべちゅう)
お互いに、第一印象は良くなかったようで……。
柴田「寒すぎるだろ!!!」
利尻島の海岸に響き渡る絶叫。
寝ている間にベッドと身体だけ冬の利尻に転送された柴田は、ヘソに積もった雪を手で払いながら激怒した。
柴田「なんだいおめえら、なんの許可もなくこんなところに送りやがって! 俺が8億円も借金してるからか!? 図星だなあ、図星って顔してらあ!」
荻野「あなたも、8億借りてるの……?」
柴田「誰だお前は!? 女か? 女じゃないのか? はっきりしろ! さもなくばお前のMiiを作って、でっかくなったワルイージで轢き潰しちゃる!」
荻野「なにコイツ……。こんな奴の声まで、山寺宏一が担当してるっていうの……?」
敵意100%で睨み合う二人。
——ふっふっふっ
柴田「誰だお前は!?」
天の声にもブチギレる柴田。
——お目覚めのようザウルスねえ
あやうく語尾で身バレしそうになる天の声(これ、裏でめちゃ焦ってました笑)。
荻野「ま、まさか、債務者男女を極寒の島に集めて、19泊20日で絆を深め合い、恋を実らせていく様子を観察するドキュメンタリーに招待されたわけじゃないでしょうね!?」
——お前たちは今、債務者男女を極寒の島に集めて、19泊20日で絆を深め合い、恋を実らせていく様子を観察するドキュメンタリーに招待された。
柴田「なんだって、債務者男女を極寒の島に集めて、19泊20日で絆を深め合い、恋を実らせていく様子を観察するドキュメンタリーに招待されただって〜!?」
(カメラ超ズームアウト)
(地球を脱する)
(銀河の星々が「フルーツ」の四文字の形に並んでいる)
(カメラ超ズームイン)
(雲のちょい下でカモメにガチゴチぶつかる)
(利尻にCOME BACK)
柴田「ぐすっ……なんでよりにもよってこんな時期に……」
両目から涙を流し、それを全て下顎で受け止めて飲み込み、再び目から流す柴田。
柴田「節分にかこつけて真向かいの居酒屋に砂利を投げ入れるのだけが、唯一の生き甲斐だったのにぃ……」
荻野「泣かないの、債務者なんだから。あらゆる感情が枯れてることだけが私たちの取り柄でしょ」
荻野は、雪で凍らせた自らのビチ糞をおしぼりに見立てて、柴田の涙を拭う。
荻野「とりあえず、服を着て食糧を探しましょう」
柴田「そうだな……あ、あんなところに」
柴田が見つけたのは、お誂え向きに上陸してきたアジアンの二人。
荻野「あら、いいじゃない。あなた、馬場園いっていいわよ」
柴田「え? 悪いよ、お前が馬場園いけよ」
荻野「いいのよ、あなたが馬場園いきなさい」
柴田「いや、いいって。馬場園いけよ、ほら」
そのまま五時間モメた二人は、最終的にクッキングパパ暗唱バトルで決着をつけた。
柴田「もう腹ペコだぜ……」
三巻分しかセリフを思い出せず、馬場園をいくことになった柴田は、肩を掴んで頭からちゅるっと啜る。
荻野「まったく、誰のせいよ……」
食用アジアンを跡形もなく啜った二人は、地面に落ちた服をそのまま拾って着用した。
柴田「こんな衣装だったっけ?」
アジアンが着ていたチマチョゴリは、なぜか乳首の高さに穴が三つ開いていた。
荻野「そうね、なんか違和感があるような……」
不審がってタグを見た荻野は、驚いてすぐに柴田に見せた。
荻野「見てよこれ、尿溶性って書いてある。もしかしたら近くに、世界最大のシッコタンク・オオサンニョウウオが潜んでいるのかも!」
柴田「散尿魚が? トイ・ストーリーのエイリアンの変態プレイかと思った俺がバカだったぜ……」
??「自分はそうは思いません」
荻野「誰よッ!?」
後ろから声がして振り向いた荻野。
柴田「どうした?」
しかし視界に広がるのは、広大な銀世界と利尻の海だけ。
荻野「今いたのよ、あばれる君が!」
??「動かないマネキンに、」
荻野「ほら!!」
素早く振り向くも、視界にとらえることはできない。
??「怖くないって言ったら嘘になります」
荻野「聞こえないの!?」
柴田「ほんとだ、居る」
荻野「真冬の離島で無一文、しかも頼りない男とあばれる君に挟まれて……。こんな状況、誰だって不安に」
あばれる君「感じざるを得ません」
荻野「きゃぁっ!?」
荻野は、ついにあばれる君と目が合った。
柴田「荻野……み、見ろよ……」
柴田に言われ、360度見回す荻野。
荻野「なにこれ……完全に包囲されてるじゃない!」
いつの間にか二人は、あばれる君のお面をつけたコモドドラゴンに囲まれていた。
二人の怯えた表情を見て、それらはゆっくりと回転し始める。
あばれる君「I am god child この腐敗した」
浜ちゃん「お前が歌うんかい!」
あばれる君「世界に堕とされた」
柴田「目が回りそうだぜ」
荻野「待って。一体だけ、違うのがいる」
柴田「どういうことなんだぜ……?」
荻野「目を凝らしてみて」
柴田は酔い止めを飲みつつ、回転するあばれる君の群れを注意深く観察する。
柴田「ほんとだ。一体だけ、実家のアルパカみたいな匂いがする」
荻野「でしょ? どれだか分かる?」
柴田「クンカクンカ……あれだっ!」
仲間はずれを突き止めた柴田は、駆け出してそいつのお面に手をかける。
柴田「正体を表せ!!」
ビリッ
姿を現したのは——
荻野「伝説の……」
柴田「伝説の……」
荻野&柴田「大散尿魚さまやぁぁ〜〜〜〜!!!!」
散尿魚「バ、バレちゃったニヨ!」
ビシャアッ……!
散尿魚は二人に向けてパワフルしっこをお見舞いする。
宙を舞う黄色い飛沫は、チマチョゴリを溶かし、二人の間にある緊張感も溶かした。
柴田「なんか俺たち、さながら運命の出会いのようだな」
荻野「ほんっと。今日出会ったばっかりなのが信じられない」
二人が打ち解けたことで、あばれる君を名乗るコモドドラゴンたちは浄化され、左隣のドラゴン*アナルに首を突っ込み、一つの輪っかになって泡の膜を張った。
散尿魚は地面に潜り、二人の足元から上空に向かって力強くアルカリ性の息を吐く。
泡の膜からできた、大きな大きなシャボン玉。
散尿魚「シャ〜ボン玉飛んだ、屋根まで飛んだ〜♪ニヨ!」
シャボン玉に包まれて、浮かび上がっていく二人。
小躍りする散尿魚が、みるみるうちに小さくなっていく。
柴田「このシャボン玉の原料さ、ぜってーオシッコだよな」
荻野「もう、なんてこと言うのよ! せっかくロマンチックだったのに〜笑」
そのシャボン玉はなかなかの高度で割れ、首から着地してしまった二人は残りの日数を寝て過ごした。
それでも二人の恋は、揺るぎないものだった——。
インタビュアー:二人は遠距離恋愛になるわけですが、不安はありますか?
荻野:ありますあります、もちろん。
柴田:彼女が網走で、僕がアルカトラズですからね。海を隔てるとなると、かなり不安です。
インタビュアー:最終日に柴田さんが披露したオリジナルソング、かっこよかったですね
柴田:あざす。最後照れちゃって、三番の歌詞を全部「かき氷」に変えちゃいましたけど。
荻野:びっくりしましたよ。かき氷高校応援歌かと思いましたもん!(笑)
インタビュアー:ありがとうございました。もし街中でお二人を見かけたら、手刀で気絶させてから鼻を千切って肛門に接着し、顔面血まみれの人間アナル鼻にしてやりたいと思います。末長くお幸せに!
柴田&荻野:あざした!
2組目:しゃんくすカップル
流しそうめんを流さずに食べる、破天荒な前田上海蟹乃朝(しゃんはいがにのあさ)
♡
何を見ても「ダンジョン飯のパクリ」としか思わない、強情な内間楠々軒(くすのきくすのきのき)
ここはお互いに一目惚れだったらしく……?
前田「ここに来てから一日経つけど、衣食住が揃っただけで何も進展がないぜ……」
内間「ここに来てから一日経つけど、超新塾の全員の住所を特定できただけで何も進展がないわね……」
途方に暮れる二人は、二日目の朝、利尻富士の麓で出会った。
前田「あれ、キミ、何してるの?」
内間「私は、暇すぎて近所の老人ホームに忍び込んで一人王様ゲームしてて、罰ゲームのノリで8億円借金したら、いつの間にかここに……。あなたこそ、ここで何をしているの?」
前田「俺も全く同じだよ。チンポの金管楽器を発明しようとしてて、地下鉄の中で暇すぎて制作の続きをやってたら、普通に通報されて罰金8億。それで仕方なく借金したら、いつの間にか来てたってわけ」
内間「まあ、全く同じね! こんな偶然があるのかしら」
すぐに内間と意気投合した前田は、昨日完成させた自らの拠点に案内した。
前田「普段は何をやってるの?」
内間「私は、Vtuberを。あなたは?」
前田「俺は、ニコ生主を。職業まではさすがに一致しないか」
前田の家はデデデ大王城と寸分違わぬ外装をしており、内間はその完成度の高さに、思わず舌の裏に含んでいたペタグーを噴き出してしまった。
前田「昼飯繕ってくるから、それまでくつろいでてよ」
内間「すごーい。もしもこの壁一面にみちょぱのプライベート写真が貼ってあったら、あなたはみちょぱのストーカーってことになるわね」
感心して部屋の中を歩き回る内間は、一台のラジカセを発見した。
内間「まあ、昨日浜辺に落ちていたラジカセじゃない。どこからどう見てもミミックだったけど、拾う人いたのね」
内間は近くの棚からCDを取り出し、蓋から生えてきた無数の歯に指をムシャムシャ食べられながらセットする。
流れ出したのは、前田が小学生の頃に飼っていたザリガニが死んでしまい、その弔いに作った交響曲。
ザリガニというのは、真向かいの家に住んでいた無職歴28年・自称映画評論家のジジイに、前田が個人的につけた名前である。
内間「なんて感動的な曲なの……ベートーベンの『田園』がコピペされてるのも斬新……」
前田「お、それ聞いてるのか」
昼飯のパイを採ってきた前田は、春麗の雑なコスプレをしていた。
内間「パイなんて、どこにあったの?」
前田「利尻富士の中腹で、ゴブリンが手作りしてたんだ。こだわりがあって、一個作るのに三日もかかるらしいぜ」
内間「へぇ、いただきまーす。久々に食べるわ〜」
内間が一口かぶりつくと、前田は驚いた表情を見せた。
前田「あれれ、そのまま食べちゃうの?」
内間「? なにかまずかった?」
前田「いやあ、僕ならね……」
前田は立ち上がってパンツを脱ぎ、パイの中心にチンポをセットする。
不審がる内間を横目に、前田はパイ全体におしょんおしょんを染み渡らせ、そのままパイを高速で回しながら外気に晒し、遠心力と温度差で一瞬にして結晶化させた。
前田「こういう味付けのやつは、結ションしてやらないと話にならん」
そう、前田は付き合いたくない男の条件第一位の、シッコ固め奉行だったのだ!!
内間「えーん、ヤバい男に引っかかっちゃったよ〜〜〜」
??「そんな奴は……」
山の方から声がする。
内間「この声は!」
前田「こ、この声は!?」
ドゴォッ(家の壁を破壊)
大散尿魚「許しておけないニヨ〜!」
内間・前田「お、オオサンニョウウオさまぁぁ!!!!」
大散「他人が丹精込めて作ったパイにまで、自分の凝り固まったお思っ考を持ち込む穢れた心……見逃せないニヨねえ」
前田はヒレアタックによって空高く打ち上げられ、おしおきとして「首相就任パレード」を四周喰らった後、火山の中を走るボロいトロッコに乗せられた。
天の声「上地雄輔は、どっち?」
前田の目の前には、二つの選択肢画像が表示された。
左はイソジンの親カバ、右はイソジンの子カバ。
とてもじゃないが、どちらも上地雄輔には見えない。
前田「こ、こんなの、どうしろってんだィ!!」
前田はパニックになりながら、子カバの方にトロッコを傾ける。
岐路を右に進んだトロッコは、たちまち溶岩に落下して溶解し、前田は煮え立つマグマの中をずぶずぶと沈んでいく。
天の声「ざんねーん! そっちはイソジンの子カバっすよ、普通に考えて笑」
前田「ゴポゴポ」
溶岩を抜けた前田は、とある予備校の教室の中に降り立った。
周りに座る生徒たちは、みんな千利休のそっくりさん。
前田「なんだここは……まるで高熱の恵俊彰が見る夢みたいだ」
講師に化けた大散尿魚が、生徒たちに見せつけるように黒板にイカゲソを接着している。
講師「みんな、聞けぇ。イカゲソはな、タダじゃねえんだ。海の幸、居酒屋の幸、バイトルの幸なんだよ。ありがとぅ……ありがとぅ……」
ありがたき講師の言葉を吸収した生徒たちは、ルーズリーフに「尿道にてホカンス 一泊」とメモをとった。
講師「わたしの〜 お墓の〜 前で〜」
講師はイカゲソをぺろっと一舐めし、黒板に接着する。
講師「泣かないでください〜〜〜」
スタジオで見ていた羽鳥慎一、中継先のフィリピンから見ていた羽鳥慎一、脇道に側溝の中に潜んで見ていた羽鳥慎一も、一斉に歌い出す。
全員「そこに〜 私は〜 いません〜」
前田はテリー伊藤の100人隊によって身ぐるみ剥がされ、椅子と共に近くの窓から外に射出された。
全員「眠ってなんか〜 いません〜」
前田は肘掛けに必死でしがみつき、人智を超えたスピードで上空を突っ切っていく。
🎵 千の風に
すれ違うすべての鳩が前田の頭皮にフンを残していき、前田はいつの間にかウンチの大王様になってしまった。
🎵 千の風になって
前田は気がついた。椅子は、利尻に向かっている。
🎵 あの大きな空を——
前田「ぐほっ」
内間「これで懲りたかしら?」
前田「懲りた。懲りた哲平」
内間「しょうがないねぇ〜。もう、これが最初で最後の夫婦喧嘩ってことね」
前田「えっ、それって……!」
内間「グフフ」
このあと前田はめでたくウンチの相談役に昇格し、二人は永遠っていう言葉なんて知らなかった〜よね〜をした——。
インタビュアー:別に、聞くことないです。末長く爆発しろください。
前田:なんだこいつ
内間:きも
前田:ふざけんな
内間:ありがとうございました。
3組目:まこなりカップル
たった今生まれた男、三森マコ助(まこすけ)
♡
今のところ不老不死の女、佐倉成り行きまかせの恋に落ち時には誰かを傷つけたとしてもその度心痛めるような時代じゃない(なりゆきまかせのこいにおちときにはだれかをきずつけたとしてもそのたびこころいためるようなじだいじゃない)
この二人は、他の参加者たちとはこの企画に臨む姿勢が違ったようで……?
三森「利尻貸し切り……これはネットフリックスだな」
口から吐き出したチャリで島内を一周し、ベトベトのまま参加者全員と一旦すれ違った三森は、二日目にして企画の全容に気が付いた。
佐倉「ネット……なんとかって、何よそれ!」
考察を聞いて目を覚ました佐倉が、オタトマリ沼から浮き上がってきた。
佐倉は一日目の朝にノー躊躇で自らの首に切り込みを入れ、エラ呼吸を解禁することで、オタトマリ沼に沈む朽ちた海賊船を住処とすることに成功した。
三森「俺たちがもがく様子をスタジオでケタケタ笑って見てる、山里亮太とYOUがいるってことだよ!」
佐倉「はあ!? そんなの聞いてないわよ!!」
実際にスタジオで見ているのは、庄司智春、庄司智春2、庄司智春3、庄司智春3のコピーの四人なのだが、三森は知る由もない。
三森「とにかく、俺たちがやるべきこと、それは……」
佐倉「それは……?」
三森「ここを脱出することだッッ!」
そう宣言した三森の大声は、遠く離れた東京の、名実ともに終わってしまったジジイが住む一軒家にまで届き、耳だけまともな白アリ以下の痴呆ハゲから「うるせ」との苦情が入った。
三森「脱出のメインミッションは、イカダを作ることだ。佐倉もテレビで見たことがあるだろ?」
佐倉「ええ。病院の待合室で、何度か」
三森「ひとまずは、それに倣ってやってみよう。俺は木材を集めてくる」
佐倉「私は使える船がないか探してくるわ」
三森は佐倉の言葉で、ここは無人島ではなく利尻なのだということを思い出したが、引くに引けなくなって木材を探しはじめた。
数時間に及ぶ森林探索の末、三森はやっとのことでウィスピーウッズを探しあて、ゴルドーで全身ゴチゴチになりながら大量の木材をゲットした。
三森「佐倉ぁ、持ってきたぞ〜〜〜」
佐倉「こっちもあったわよ!」
三森「ァ……」
利尻には普通に漁港があり、二人サイズの船もちゃんと置いてあった。
佐倉「さあ、これに乗って、この狂ったショーから抜け出しましょう!」
三森「應ッ!」
三森はオールを手に取り、沖に向かって漕いでいく。
佐倉「どこを目指してるの?」
三森「留萌。方角はこっちで合ってるはず」
佐倉「何日ぐらいかかるのかしら……」
三森「ん?」
違和感をおぼえる三森。
佐倉「どうかした?」
三森「波が起こってないか」
後方から、謎の波が二人の船を揺らす。
三森「この高さ、この間隔……」
佐倉「こ、この波は……」
ザッパーン!
大散尿魚「企画倒れとはいかせないニヨ〜〜!!」
三森&佐倉「お、オオサンニョウウオさまぁぁぁぁ!!!!」
姿を現した大散尿魚に二人は仰天し、佐倉もオールを手に取って全力で漕ぐ。
三森「まさか本当に遭遇するとは。くりびつてんぎょういたおどろ」
佐倉「早く漕いで! ブチ殺すわよ!!」
大散「抜け駆けのイケナイ二人は、いただきま〜〜すニヨ!」
大散尿魚が口を大きく開けると、二人が身を委ねる海水が物凄い勢いで逆流し始めた。
三森「まずい! 呑まれる!!」
大散「もうとっくに三森と佐倉の口ニヨ〜!じゅるり……」
三森はとっさに常備用の毒槍を取り出し、大散尿魚の前歯の裏に突き刺した。
大散「ギエッ!」
ダメージを受け、両目が♡に、舌の色がオール巨人の頭髪と全く同じ色になった大散尿魚。
前歯がスライドして、テレビ画面が現れた。
映っているのは、はねるのトびら。
大散「ヒ、ヒギギ……毒ッ槍をポータブルってる悪童三森きゅんたちには、キョ、強烈なのをお見舞いお見舞いニヨ〜〜〜〜ッ……」
ブルブルと蠢く大散尿魚の喉奥。
大散「喰らうニ〜〜〜〜ヨッッッ!!!」
そう叫ぶと同時に大散尿魚の喉ちんこがヘッドギアになり、二人の頭蓋に吸着した。
佐倉「な、なによこれ!」
三森「頭が持ってかれる!」
画面の中の虻川「おせち、おせち、おせチーズ」
大散「小散尿魚のみんなもご一緒に〜〜」
気がつけば、あばれる君のお面をつけた夥しい数の魚が海上を舞っている。
画面の中の和田アキ子「おせち、おせち、」
大散尿魚「すぱ〜〜〜〜〜〜〜く!!!!」
三森&佐倉「ぎやああああぁぁぁぁ————」
>>>>
三森「おせチンコ!」
ヘッドギアが作り出した乱磁流トンネルを抜けた瞬間、三森は思ってもいない言葉を口走っていた。
世紀の放送事故に湧くスタジオ。隣に居る女は虻川の姿をしているが、三森には佐倉だと分かった。
インパルス板倉「昔ついてましたもんねw」
悪びれない和田アキ子を演じながら、三森は親指と人差し指でモールス信号を表現して佐倉と会話する。
三森(ここから逃げよう)
佐倉(あたぼうよ)
三森(あたぼうよって何)
佐倉(当たり前よって意味)
三森(ふーん。あんまこういうとき、分かんない言葉使わないけどね)
佐倉(あんたが知らないだけでしょ)
三森(いや、普通にみんな知らないと思うけどね。現に40数年生きてきて一回も聞いたことないわけだし。こういうときは絶対万人に伝わる、当たり前よ、とかで言うべきじゃない? 知らなかった場合のリスクも考えてさ。佐倉って社会人経験ないんだっけ)
佐倉(あるわよ)
三森(あるんだ。じゃあ、よっぽど変な会社で働いてたんだね。自分の常識が世界の常識って考え、もう古いからやめな。社会の先輩からの助言だから、メモするんならしてもいいし、メモしなくても覚えられるよーっていうなら全然しなくてもいいし。でも聞き流すっていうのはさ、それはさ、違うから。そんなことされたら俺だって悲しいし、佐倉のためにもならないと思うし。あ、ちょっと待ってて)
三森「おもチンコ!」
三森(ごめんごめん、で、どこまで話したっけ)
佐倉(興味本位でミニドラのアナルをほじったら本体よりデカいラ•フランスが出てきた、ってところまでよ)
三森(なにそれ笑 どういうこと? 普通に嘘ついただけ?笑)
佐倉はインパルス堤下の腕の骨を抜き、三森の両目をすり潰した後、脊椎を丁寧にカチ割った。
虻川が突然狂っちゃったと思い、大いに慌てる共演者たち。
佐倉「あんたは本物の三森じゃない。散尿魚! 三森をどこにやったのよ!!」
叫ぶ佐倉に、カジサックがケツの隙間から尾鰭をチラつかせてニヤリと笑う。
カジサック?「どないしたんや虻ちゃん。そんなん、俺らに聞かれてもなぁ。三森言うたって、誰かも分かれへんニヨし……」
佐倉は舌打ちし、偽三森の両乳首に自慢のビチグソを塗りつけてスタジオを後にした。
佐倉「三森! 聞こえてるんなら答えなさい!」
虻川の身体で暴れ回る佐倉は、適当な居酒屋に入った。
佐倉「なによあんたら、ぬるい飲み会しやがって! おじゃる丸のコラボカフェじゃあるまいし!?」
??「うるせえな、姉ちゃん」
ヤンヤンつけボーを獺祭に溶かして少しずつ食べていた茶髪の男が、佐倉を止めにかかる。
佐倉「なによ。って、アンタ……」
茶髪を見た佐倉は、ハッとして立ち止まった。
佐倉「兄さん?」
兄「……チッ、なんで分かった」
佐倉「だってその茶髪、ただの茶髪じゃない」
兄「……カーッ、ペッ、ただの茶髪以外、何があるってんだよ」
佐倉「つむじから生えてるそれ、裂けるみのもんたの剥製チーズじゃない。兄さんがどうしても欲しいって言って、私が東京までわざわざ狩りにいったやつ」
兄「……ブッ、オエッ、ゲーーッ、覚えてねえなあ」
佐倉「何言ってんのよ。局アナからはドロップしないって全滅させるまで気付かなかった話、笑ってくれたじゃん」
兄「……オエッ、オロロロロロッ、ロロロッ、ウーッ、そんなこともあったかなあ」
周囲のテーブルをびしょびしょにしながらも、妹の話に付き合ってくれる優しい佐倉の兄。
兄「まあ、なんでもいいや。一つ言っとく。待ち人に会うには、とある一文を唱えるといい。簡単な道ではないがな」
佐倉「とある、一文……?」
兄はニヤリと笑い、口を開く。
兄『任せてください、アナル路線バスの刑』
佐倉「任せて……」
兄「おおっと、これは本当に大事な時にだけ使うんだ。俺も、よほど会いたい人が居るとき以外は、この文言を口に出さない」
佐倉「う、うん。でも、いま兄さんが口に出したってことは……?」
兄「言わせんない!」
兄は照れ隠しに佐倉の皮膚の柔らかいところをつねりまくり、中半身を裸にしたあと横隔膜にウド鈴木のアクリルスタンドを立てた。
居酒屋を後にした佐倉は、夜空に浮かぶバニラ宣伝用の小惑星に向かって叫ぶ。
佐倉「……任せてください、アナル路線バスの刑!!!」
その声を聞いた小惑星が、目や鼻や口を生やし、佐倉に微笑みかける。
小惑星「レッツ、ライド〜ン!」
掛け声に反応し、小惑星を囲む星々が回り始めた。
🎵 め〜ちゃギントン
土星「鍛錬」
木星「しこしこしこ、しこしこしこ」
🎵 め〜ちゃギントン
木星「ヘソを掃除した翌朝のうんこ」
火星「ビチビチビチ、ビチビチビチ」
🎵 め〜ちゃギントン
火星「行政」
佐倉「ぷりぷりぷり……」
火星の罠にまんまとハマった佐倉は、芋洗坂係長のコスプレをしたえなこがぎゅうぎゅう詰めになっている満員電車の中に放り込まれた。
岡村「ハハハw(こめかみをグーで叩いて笑う)」
矢部「アッハッハw 三百年前に見た地獄界もこんなんやったさかい」
佐倉「くそう、屈辱……」
頬を赤らめる佐倉。ふと、電車内の中吊り広告に目がいった。
佐倉「ちょっと待って。これ……」
佐倉「うろ覚えすぎるトモコレ新生活のジャケット絵じゃないのよ!!」
茨城県に生まれ、中吊り広告といえばバカリズムの両目が赤く光っているエン転職exeしか見たことがなかった佐倉は、未知の広告の衝撃に腰を抜かした。
ついでに八月のシンデレラナインの廃課金データも消えた。
同じマンションに住む汁男優からジモティーで買ったやつなので、心理的ダメージは少ない。
佐倉「は、はひ、ひぃいいあああああ!!!!」
抜けた腰が運転席に纏わりつき、佐倉と大勢の豚洗坂シコり長を乗せた単行列車は出発する。
岡村「どこいくねーん!」
後藤「それ陣内さんのやつですやん笑」
まだ笑い事だと思っているめちゃイケメンバー。
車両はマッハの速度でスタジオを抜け出し、分厚いお台場の雲の中を駆け上がっていく。
佐倉「これだったのね、アナル路線バス……」
り長「なんのこと?」
佐倉「ううん、こっちの話」
車両は光る雲を突き抜けFly away (Fly away)、大気圏を突破して水星に突っ込んでいく。
佐倉「ぶ、ぶつかる!」
水星の地面に激突する寸前で、フロントガラス体当たり男(ずっとロケロケットの中で待機していた)が飛来し、運転席のガラスを割った。
佐倉「ウプッ……」
車両内の空気が抜けていく。
佐倉「ここで、終わってしまうのかしら……」
車両は気圧に耐えきれず破裂し、放り出された佐倉は緩やかに回転しながら意識を失った。
……
……気がついたかな?
佐倉「はっ、ここは、どこ?」
庄司智春「おっ、目が覚めましたよ!」
ぼやけた視界が、だんだんと鮮明になっていく。
佐倉がいたのは、この番組のスタジオ。
庄司智春3のコピー「どうして、脱落しないんだい」
佐倉「そんなの、決まってるじゃない」
佐倉は力を振り絞って立ち上がる。
佐倉「三森とまた会いたいからよッ!」
そう叫び、四人の庄司智春の後頭部にできたイボイボを強く押す。
四人の庄司智春は呻き声をあげて倒れた。
佐倉「さあ、出てきなさい、三森!」
三森「よっ」
駆け出した佐倉を、三森は熱い抱擁で受け止めた。
大散尿魚「うんうん、これがTRUE LOVEってやつニヨねえ」
このあと二人は、食堂の廃棄食材だけで指輪を作った。
二人の式に、大散尿魚はフロントガラス男の姿で出席したという——。
インタビュアー:終わった?
三森:寝るな
佐倉:インタビュアー辞めて、腕に止まった蚊をスケッチする日雇いで暮らしなさい
さいごに
いかがでしたか?
残りの人たちはみんな、大散尿魚の餌食になったそうです。
それでは次回、スウェーデン・ホルガ村編でお会いしましょう!
ちゃお〜〜👋
※記事の内容は全てフィクションであり、実在の団体等とは一切関係ありません。
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