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地銀同士の合併に対する補助金交付は銀行にどのような影響を与えるか?【金融機能強化法の改正】

こんにちは!

このnoteでは、現役銀行員や銀行出身者の方に役立つ情報をお伝えしています。

今日は、今国会で提出された金融法令改正法案のうち、金融機能強化法の改正案について、その中身を紐解いた上で、銀行における影響について検討していきたいと思います。

昨日は銀行法の改正案について検討しておりますので、よろしければこちらも合わせてお読みください。

金融機能強化法とは?

金融機能強化法とは、公的資金による資本増強で金融機関の財務基盤を強化し、企業などへの円滑な資金供給を後押しする法律です。

2004年の6月に公布され、元々は2008年3月末までの時限立法でしたが、リーマンショックや東日本大震災といった危機を受けて延長が重ねられ、現在は2022年3月末まで期限が延長されています。

今回の改正の内容

人口減少地域等において、ポストコロナの地域経済を支える金融機能を維持することを目的に、合併等を行う地方銀行等が、経営基盤の強化に向けた計画を策定し、その計画について国の認定を受けた場合に、預金保険機構から資金の交付を受けることができる制度が創設されました。

【計画の記載事項】
・経営基盤強化の内容・時期
・金融サービスの提供の維持に関する事項
・地域経済の活性化に資する方策
・計画の適切な実施に必要な経営体制 等
【計画の認定要件】
・提供する金融サービスが地域経済にとって不可欠
・人口減少等により金融サービスの持続的提供が困難となるおそれ
・計画実施により金融サービスの提供が維持されると見込まれる 等
【資金の交付額】
経営基盤強化に必要な追加的な初期コスト(ITシステム投資等)の一部

菅首相は就任前から、地銀の再編・合併の促すと表明しており、本件補助金は肝煎りの政策の一つといえます。

銀行に対して与える影響

地域金融機関(地銀・第二地銀)同士の合併には100億円程度の統合コストがかかる例が多いようで、特にITシステムの統合には多額の費用がかかるようです。

そのため、地域金融機関同士の再編に二の足を踏む可能性がありました。

今回の制度では、金融機関の規模に応じて、20億〜30億円を補助するという報道もあります。補助金の財源は預金保険機構の剰余金を活用するようですが、現在350億円程度の剰余金があるとのことであり、10件程度の再編を支援できる可能性があります。

期間が5年間に限られていることや、件数に上限があること等を考えると、この数年で地銀の再編が一気に進む可能性もありますね(個人的には、第四のメガバンク構想を掲げるSBIホールディングスが、この補助金を活用して、再編を加速させるのではないか、とも思ってます)。

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